日本の最も華々しい実績を誇る投手2人が、2025年のMLBシーズン開幕戦で激突します。
東京シリーズ第1戦(日本時間火曜午前7時)では、ドジャースの山本由伸が先発マウンドに立ち、シカゴ・カブスの今永昇太と対戦します。また、ロサンゼルスの大谷翔平や佐々木朗希(第2戦で先発予定)、そしてカブスの鈴木誠也など、他にも多くの日本人スター選手が登場予定です。
以下は、山本と今永の投げ合いに関するプレビューです。
メジャーへの道のり
山本由伸は、日本球界史上でも最も注目を集めた投手の一人です。右腕の山本は、2017年に19歳の誕生日直後にNPB・オリックス・バファローズでプロデビューを果たし、その後7年間にわたり圧倒的な成績を残しました。通算967回2/3を投げ、防御率1.72、奪三振986、与四球216という驚異的な数字を記録しました。
2023年は、山本にとって大きな転機となった1年でした。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンの一員としてその実力を世界に示し、NPBでは3年連続で沢村賞(日本版サイ・ヤング賞)を受賞。そして11月にはポスティング制度を利用してMLB挑戦を表明し、翌月、ドジャースと史上最高額となる12年総額3億2,500万ドル(約475億円)の契約を結びました。
一方、今永昇太は山本ほどの派手な評価や話題性こそなかったものの、日本での実績は申し分ありませんでした。横浜DeNAベイスターズで8年間プレーし、防御率3.18、通算1,002回2/3で1,021奪三振をマークしています。
両投手のメジャー初年度
メジャー初年度に関しては、山本が今永を上回る成績を残すだろうというのが一般的な予想でしたが、レギュラーシーズンではそうはなりませんでした。
今永は、初登板で6回無失点・9奪三振の快投を披露し、その後も安定したパフォーマンスを継続。29試合の登板で、防御率2.91、173回1/3を投げて174奪三振・28四球という素晴らしい成績を残しました。特にデビューから9登板までの防御率0.84は新人記録となりました。
今永もまた2023年WBCでその存在感を示し、日本以外のファンにもその実力が広く認知されるようになりました。大会後にポスティングでMLB挑戦を表明し、カブスと4年5,300万ドル(約77億円)の契約を結び、5年目の球団オプションも付帯しています。
今永はメジャー初年度で自身初のオールスター出場を果たし、ナショナルリーグ新人王投票で4位、サイ・ヤング賞投票では5位に入りました。これらの快挙を支えたのは、今永の代名詞とも言える「浮き上がる」ような90マイル台前半のフォーシーム(ストレート)、鋭く落ちるスプリッター(分離球)、そしてスウィーパー(横滑りするスライダー)、さらに卓越したコマンド(制球力)でした。
一方で山本は、登板時には素晴らしい投球を見せたものの、肩の故障により約3か月間戦線を離脱しました。そのため登板数はわずか18試合にとどまりましたが、健康な状態での内容は間違いなくエース級でした。
90イニングを投げて防御率3.00、奪三振105、与四球22という成績を残し、先発陣の中心としての資質を示しました。95.5マイル(約153.7キロ)のフォーシーム(ストレート)を軸に、鋭く落ちるスプリッターとカーブのコンビネーションで空振りを量産。球威と制球力の両面で高いレベルを誇示しました。
山本の10月の活躍
今永が所属するカブスはポストシーズン進出を逃しましたが、山本とドジャースはワールドシリーズ制覇へ向けての戦いに突入しました。9月10日に故障から復帰した山本は、以降のポストシーズンでドジャースの快進撃を支える重要な役割を果たしました。
NLDS(ナ・リーグ地区シリーズ)第1戦のパドレス戦では3回5失点と苦しみましたが、その後は見事に立ち直り、3試合連続で安定した投球を披露しました。パドレスとの第5戦、勝てば進出が決まる大一番では5回無失点と好投し、チームをNLCS(リーグ優勝決定戦)へ導く勝利投手に。
続くNLCSの第4戦メッツ戦では、4回1/3を投げて8奪三振2失点。さらにワールドシリーズ第2戦ヤンキース戦では、6回1/3を1失点に抑える圧巻の投球で、ドジャースに2勝目をもたらしシリーズをリードするなど、大舞台でその真価を発揮しました。
2025年の展望
この優れた日本人先発投手2人にとって、メジャー2年目はどのようなシーズンになるでしょうか?
昨年のシーズン開幕前と同様、山本が今永よりも上位の先発投手として高く評価されています。FanGraphsのZiPSによる予測では、山本は3.5WAR(勝利貢献度)を記録するとされており、これはすべての先発投手の中で11位タイに位置します。一方の今永は2.6WARが予想されており、先発投手全体の上位40人に入る見込みです。
山本にとって最大の課題は、シーズンを通して健康を維持し、昨年のようにシーズン半分を欠場せずに済むかどうかです。もし山本が150イニング以上を投げて、昨季と同等の成績を残せば、サイ・ヤング賞候補として名を挙げる可能性も十分にあり、ドジャースのエリート投手陣を牽引する存在となるでしょう。
今永にとっては、2024年の好成績を再現できるかが焦点となります。カブスがポストシーズン復帰を目指す中で、今永が再びエース級の投球を披露できれば、チームの大きな力となるでしょう。予測では昨季から多少の成績後退が見込まれていますが、今季も堅実な先発投手としてオールスター出場の候補となることが期待されています。
ブレント・マグワイア:MLB.com記者
引用元:mlb.com