ロサンゼルス — ダスティン・メイがドジャー・スタジアムのマウンドに戻ると、目を閉じて深く息を吸い込み、その瞬間をかみしめるように立ち尽くした。そして、静かに戦いを始めた。
メイは火曜日の夜、ブレーブス戦の初回にいきなり三者連続三振を奪う圧巻の立ち上がりを見せ、そのまま5回を投げて6奪三振、自責点0(失点1は失策によるもの)、被安打1、与四球3の力投を披露した。これはメイにとって、実に685日ぶりとなるメジャーの実戦登板だった。
登板序盤は真剣そのものだったメイだが、試合を終えるときには、喜びを隠しきれず、まるでスキップするようにマウンドを降りた。5回を無失点で締めくくるダブルプレーを誘い、2023年5月17日以来となる先発登板を完了させた直後のことだった。
「たとえ内容が悪かったとしても、メジャーのマウンドに戻ってこられただけで最高だったと思うよ」とメイは語った。「本当に、自分にとってすべてだった。このマウンドにもう一度立てたことが。8か月前には、もう戻れないかもしれないとすら思っていたから。」
この日メイに勝敗はつかなかったが、ドジャースは終盤に逆転し、3対1でブレーブスを下した。これで開幕から無傷の7連勝となり、1958年のロサンゼルス移転後では球団史上最高のスタート、フランチャイズ全体でも3番目の記録となった。エリアス・スポーツ・ビューローによれば、2025年のドジャースと1933年のヤンキースは、開幕7連勝を記録した史上唯一のディフェンディング・チャンピオンだという。
ブレーブスがメイから奪った唯一の得点は2回だったが、実は無失点で切り抜けられる場面でもあった。1アウト一・二塁の場面で、ムーキー・ベッツがショートでの今季初エラー。併殺を狙えるゴロの送球動作でボールをこぼし、悪送球となって1点を許した。
しかしその後、ベッツはそのミスを帳消しにする一打を放つ。6回に、かつてのレッドソックスのチームメイトであり、昨年のナ・リーグサイ・ヤング賞投手でもあるクリス・セールから、勝ち越しの2ラン本塁打を放った。
「彼が歩んできた道のりを思えば、本当に感動的だったよ」と、メイについて語ったムーキー・ベッツ。「…今日の彼のピッチングに対して、僕らはそれ以上何も望めないし、戻ってきてくれて本当にうれしい。」
メイの才能はずっと高く評価されており、27歳の右腕は調子が良ければドジャース投手陣の中でも屈指の球を持っている。過去5シーズンで通算防御率3.10という実力の持ち主だ。ただしその間に投げたのはわずか191回2/3イニングで、右ひじには2度の大きな手術を経験している。
2021年にはトミー・ジョン手術を受け、さらに2023年には同じ右ひじの屈筋腱断裂を修復する手術を受けた。そして昨年の夏、メイはマウンド復帰に向けて順調にリハビリを進めていたが、妻や友人たちとの食事中に命に関わる事故に遭遇した。サラダの一口が喉に詰まり、食道が裂ける重傷を負い、緊急手術を受けることとなった。
「当時、復帰まであと1か月もないくらいだった」とメイは語る。「本当にすぐそこまで来ていると感じていた。でもあの食道の件が起きてしまって、もう完全にリセット。あの時は“今は何もできない”っていう気持ちだった。」
「野球のことなんて頭の片隅にもなかった。ただただ健康を取り戻して、家に帰って、明日を迎えられることだけを願っていたんだ。」
Welcome back, Dustin! pic.twitter.com/QndgY9HuAi
— Los Angeles Dodgers (@Dodgers) April 2, 2025
今では、メイがグラウンドで過ごす一瞬一瞬が、これまで以上に深い意味を持っている。
メジャーのマウンドから遠ざかった約2年間は、彼にとって大きな成長の時間となった。過去には、その激しい気性がピッチングに影響を及ぼす場面も見られたと、ロバーツ監督は振り返る。しかし今では、感情をうまくコントロールできる成熟した姿のメイがそこにいるという。
復帰までの道のりには、数えきれないほどの感情の波があった。その中で「感情を整理して投げる力」はメイにとって極めて重要だった。
「もっと不安や緊張が表に出て、球の精度に影響するんじゃないかとも思っていた」とロバーツ監督は語る。「でも彼はそれをしっかりと抑えて、本当に素晴らしい対応を見せてくれたよ。」
メイにとって、長く険しい復帰への道のりの中で常に冷静さを保つ術を見つけてきたことが、マウンド上でも同じように冷静さを保つ助けとなっている。
「当時は、トンネルの先に明るい光が見えるわけでもなかったけど、それでも前向きな面を探そうとしていた」とメイは語った。「這いつくばってでも抜け出そうとし、自分の道を見つけてここまで戻ってきたんだ。」
ソニア・チェン:MLB.comドジャース担当
引用元:mlb.com