タイガース・カーペンター 対左腕へのビッグスイングで”ケリー・ボンズ!?伝説”の序章なるか

タイガース ケリー・カーペンター MLB

デトロイト — タイガースの監督A.J.ヒンチはスプリングトレーニングの時点で、今季ケリー・カーペンターを起用する際に、相手監督が左投手を早めに投入してくるような駆け引きを仕掛けてくるだろうと予想していた。とはいえ、ホワイトソックスの監督ウィル・ベナブルが金曜日、4回2アウトの場面で先発ジョナサン・キャノンからボールを受け取りにマウンドへ向かっても、ヒンチはあまり気にしていなかった。

「相手に“4回で決断させた”ってことが、すでにこちらにとっては有利なんだよ」とヒンチは語った。「まだ試合はたっぷり残っているんだからね。」

タイガース打線は右腕キャノンに対して、3回2/3で88球、3失点を記録させるなど、しっかりとプレッシャーをかけていた。特に初回には、カーペンターが初球を右翼ファウルポール直撃のソロ本塁打とし、試合を動かしていた。ただその後、キャノンは4者連続でアウトを取り、4回にはランナーを出さずにカーペンターを迎えていた。


ベナブルが新人左腕ブランドン・アイサートをブルペンで準備させていたのは、カーペンターと続くライリー・グリーンの左打者コンビを警戒してのことだった。

しかし、2点リードの状況で、ヒンチはまったく動じなかった。


「2アウト走者なし――そんな場面でケリー・カーペンターを交代させることはないよ」とヒンチ監督は語った。「もし他の監督たちが見てるなら言っておきたいけど、そういう場面で彼を追い出そうとしても無駄だよ。ホワイトソックスがそうしようとしてたのかは分からないけどね。でも、試合の流れ、状況、点差――いろんな要素を考慮した上で、彼は与えられたチャンスでしっかり結果を出している。だからこそ、みんなもっと彼のプレーが見たくなるんだ。」


スプリングトレーニングから左投手との対戦機会をもっと増やしてほしいと訴えていたカーペンターは、その期待にしっかりと応えた。そしてこの日、レフト方向への流し打ちで貴重な追加点を叩き出したことで、タイガースの7対4の勝利に大きく貢献しただけでなく、「ケリー・ボンズ伝説」に新たな一章を加える結果となった。

それはまた、彼が「右投手専門の強打者」ではなく、「左右関係なく対応できる万能打者」であることを証明する一打でもあった。


「それが何かメッセージになったかはわからないけど」とカーペンターは語った。「でも、今の自分のスイングとアプローチには本当に手応えを感じてる。今日は、そのスイングとアプローチがうまくかみ合った結果として、いいことが起きたってだけさ。」

カーペンターは、タイガースのホーム開幕戦で2本塁打を記録した初めての選手となった。これは2013年4月5日にプリンス・フィルダーがヤンキース戦で2本塁打を放って以来の快挙であり、当時フィルダーも左投手(ブーン・ローガン)から右中間に本塁打を放っている。

ただし、フィルダーはすでに当時、左右関係なく打てる「全方位型スラッガー」として確固たる地位を築いていた。一方のカーペンターは、そうした機会を自らのバットで勝ち取ってきた。


カーペンターがこれまでメジャーで放った44本の本塁打のうち、左投手から打ったものはわずか4本しかなかった。昨季の18本のうち、左投手からの一発は1本だけで、それはボストンのリリーフ、ブレナン・ベルナルディーノから逆方向に放ったものだった。ただし、2024年は左投手との対戦がわずか28打数3安打と、そもそも出場機会自体が限られていた。

今季も、タイガースが右打者の控えをベンチに多く抱えている限り、左投手に対してカーペンターが先発する機会はあまり多くないだろう。しかし、金曜日のように途中から登板してくる左投手との対戦は、彼にとって“間を取る”絶好のチャンスとなる。アイサートはメジャー経験の浅い新人であり、その投球スタイルは、左対左の場面でカーペンターが狙う「左方向への打撃」に適していた。

「特に左投手相手だと、高校時代も大学時代もマイナーでも、ボールを引きつけて逆方向に打つのが得意だったんだ」とカーペンターは語った。「だから、あの打席でもそれを意識していた。彼はシンカーを試してるように見えたけど、基本的には全部外に逃げていくタイプ。そういう投手相手に無理に引っ張ろうとは思わなかった。スライダーが外角から入ってくるのが見えたから、それをしっかり左方向に打ち返したかったんだ。」

そしてその言葉どおり、カーペンターは外角に沈むスライダーを力強いスイングですくい上げ、打球は左翼のアンドリュー・ベニンテンディを背走させながら、タイガースのブルペンに飛び込んだ。359フィート(約109メートル)のその一発は、スタットキャストのデータによれば、メジャー30球場のうち7球場でしか本塁打にならない打球だったという。それでも、広いコメリカ・パークでいつも“損な目”に遭っているタイガースにとっては、文句のない価値ある一発だった。

この試合での2本塁打は、カーペンターにとって昨年9月22日のボルチモア戦以来となるマルチ本塁打だった。


カーペンターはこれまでにもデトロイトで多くの大舞台を経験してきたが、ホーム開幕戦という特別な日に満員の観客の前で2本塁打を放った今回の試合は、間違いなくその中でも印象深い一日となった。

「これはかなり上位に入るね」とカーペンターは語った。「本当に大きな祝福だった。この街にとっても特別な日、ホーム開幕戦という大きな瞬間で、あの歓声の前で打てたことが最高だった。あれは本当に楽しかったよ。」

ジェイソン・ベック:MLB.comタイガース担当
引用元:mlb.com

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