シカゴ — ギャレット・クロシェは、金曜日にシカゴでメディアと話したとき、他の誰も知らない何かを知っていたのだろうか?
「マウンドに立つたびに、偉大さを追い求めているんだ」と、敵地レート・フィールドのレッドソックス側ベンチで語ったクロシェ。「みんなそうだよ。完投ノーヒットノーランを投げたいんだ。そして最初のヒットを打たれた瞬間に『ああ、仕方ない。次に進もう』ってなる。でも、毎回どれだけゼロを並べられるか、それがすべてさ。」
ノーヒッターの言及に加えて、古巣ホワイトソックスとの対戦で初めてレート・フィールドに戻ってくるという状況は、日曜日の午後の試合への期待を高めるには十分だった——そしてクロシェはその期待にしっかりと応えた。ホワイトソックス戦で、クロシェは6回まで完全試合を、8回までノーヒットノーランを維持し、シカゴ打線から11三振を奪い、7回1/3をわずか1失点に抑える快投。ボストンは3-1で勝利し、スイープ(3連敗)を回避した。
ホワイトソックスの最初の出塁者となったのは、6回裏の先頭打者、右翼手のブルックス・ボールドウィンだった。彼は四球を選んで出塁。そして、そのあと5つのアウトカウントをとったところで、クロシェはこの日96球目で、シカゴの二塁手チェイス・メイドロスに初ヒットを許した。
その瞬間、監督のアレックス・コーラがベンチから出てきて、25歳の左腕クロシェからボールを受け取った。クロシェがマウンドを降りると、場内はスタンディングオベーションに包まれた。
「まだ余力はかなり残ってたと思うよ」とクロシェは語った。「球速も後半になってから上げ始めた感じだし、あと5イニングは投げられた気がする。それくらい体の感覚はよかったんだ。」
通常、相手チームにヒットを打たれたときに、監督が「ほっとする」なんてことはない。だが、メイドロスにヒットを許した瞬間、アレックス・コーラ監督は少しだけ安堵の気持ちを抱いたという。
「正直、ちょっとホッとしたよ」とコーラ監督は語った。「もし彼(クロシェ)がノーヒッターのまま終盤を迎えていたら、どうするか判断が難しかっただろうからね。でも、彼は本当によく投げた。これまでで一番の内容だったんじゃないかな。」
多くの人にとっては、それはやはり落胆の瞬間だった。もちろん、ノーヒッターが途絶えたこと自体が残念だったし、しかもそのヒットを放ったのがクロシェとのトレードでホワイトソックスからボストンにやってきた“見返り”の一人、チェイス・メイドロスだったという事実が、その感情にさらに拍車をかけた。
だが、コーラ監督にとっては、「落胆」だけではなかった。
「正直言って、相手にヒットを打たれて、あんなに嬉しかったのは初めてだよ」とコーラ監督は語り、報道陣から笑いが漏れた。「チェイスがヒットを打ってくれて、『よし、これで次に進める』って思ったんだ。」
もちろん、コーラ監督としても、クロシェがノーヒッターを最後まで投げ切る姿は見たかった。もし達成していれば、レッドソックスにとって実に約17年ぶりの快挙だった。
だが、クロシェはすでに100球近くを投じており、前回・前々回も100球超えの登板が続いていた。さらに、クロシェは2024年が初の先発ローテーションシーズンという背景もある。そのクロシェをこれ以上投げさせることに、コーラ監督は正直、不安を感じていたという。
とはいえ、最終的にその判断はクロシェ自身が打たれたことで下されることとなった。
「もちろん、たくさん議論したよ」とコーラ監督は語った。「監督ってのは決断を下さなきゃいけない。簡単なことじゃない。ベンチにいて、歴史的な瞬間に立ち会えるかもしれないっていう気持ちもある。でも同時に、シーズン全体を見渡して考えなきゃいけない。彼なしでは我々の戦いは難しくなるだろうしね。96球投げて勝ち投手になったんだ。今は全員ハッピーさ。」
6回にはトレバー・ストーリーの2点タイムリーツーベースでレッドソックスが先制し、9回にはストーリーがソロ本塁打を追加。リリーフ陣もギャレット・ウィットロック、アロルディス・チャップマンとつないで無事リードを守り切った。
つまり、日曜日の試合は、何よりクロシェの圧巻のピッチングがすべてだった。
11奪三振は、2024年6月30日以来の最多記録だった。クロシェがマウンドにいる間に出塁を許したのは、ボールドウィンとメイドロスの2人だけ。まさに圧巻の内容で、レッドソックスが彼に6年1億7,000万ドルという大型契約を結んだ理由を改めて示す登板となった。
クロシェ自身は、今回がトレード後初めての古巣での登板であることを過度に意識しないようにしていた。「いつもの登板と変わらない」と自分に言い聞かせて臨んだという。
アレックス・コーラ監督も「週末を通してずっと冷静だった」と振り返り、チームメイトのトレバー・ストーリーは「彼はいつだって全開でギアを入れてるタイプだから、普段と違う様子は特に感じなかった」と語っていた。
それでも、クロシェは古巣に戻ったこの日、歴史に迫る投球を披露した。
先発投手としての初年度に、ホワイトソックスのファンが何度も目撃してきた圧巻のピッチング。それを今回、対戦相手としてもう一度見せつけた形となった。
そして、新天地であるレッドソックスにとって、直近6試合で5敗と苦しい流れの中、クロシェはその流れを断ち切る存在となった。
「本当に必要な勝利だった」とストーリーは語った。「彼が立ち上がって、しっかりと結果を出してくれた。止めてくれる投手が必要だったし、まさに彼がその存在だよ。」
引用元:mlb.com