カブスの東京遠征 ドジャースとの激突はすでに忘れられない経験に

東京 – カメラのフラッシュが止むと、今永昇太はカブスのチームメイトである鈴木誠也の肩に腕を回した。二人は無表情でポーズを取っていたが、数人のカメラマンが「笑顔をください」とリクエストすると、今永は満面の笑みを浮かべ、鈴木はやや照れくさそうに微笑み、会場から笑いがこぼれた。

これは、東京ドームの隣にある東京ドームホテルで行われた開幕記者会見の締めくくりとなった微笑ましい瞬間だった。ここから、カブスとドジャースが3月18日・19日に対戦する「東京シリーズ」に向けて、イベントやエキシビションゲーム、そしてMLB開幕戦といった目まぐるしい一週間が始まる。


「アメリカにいる間は、この実感が湧かなかったけど、日本に来てみて初めて感じました」と鈴木は通訳のエドウィン・スタンベリーを介して語った。「みんな楽しんでいるし、フィールドに立つとチームメイトたちの表情を見て、『準備は整ったな』と思いました。」

その前夜、今永と鈴木は、東京・神田明神でチームの歓迎ディナーを開催。侍戦士による伝統的な演武が披露され、また、日本料理の数々が並んだ。特に、選手たちが自ら解体を手伝った大きなマグロの姿には、会場から歓声が上がった。


今永は、チームメイトたちがこの特別な体験を楽しむ様子を見て、喜びを感じていた。

「とても嬉しいです」と今永は通訳のスタンベリーを介して語った。「多くの選手が日本の文化に興味を持ってくれたことが、とても印象的でした。」

カブスのクレイグ・カウンセル監督は、この夕食会を「素晴らしかった」と称賛しつつも、マグロの解体が始まった際には少し緊張したと冗談交じりに語った。

「何人かの選手がその作業に参加していたんですが」とカウンセル監督は笑顔で話した。「選手たちが包丁を手にしているのを見て、一瞬ヒヤッとしましたよ。でも、それ以外は本当に素晴らしい時間でした。」


カブスのセンターを守るピート・クロウ=アームストロングは笑いながらこう話した。

「まさかあんなに大きな包丁だとは思わなかったよ。でも、フォームはそこそこ良かったんじゃないかな。でも最初の切れ目を最後まで入れきることはできなかったね。」

カウンセル監督は、選手、家族、コーチ、スタッフ全員がこの特別な体験を共有できたことを心から喜んでいた。162試合の長いシーズンを戦い抜き、10月に向けてポストシーズンを目指す中で、シーズン序盤にチームの結束を深めることは非常に重要だ。

そのため、長時間のフライトや時差の影響があるにもかかわらず、カウンセル監督は今回の日本遠征をネガティブには捉えていない。この機会を通じて、チームが長いシーズンを共に戦う上で必要な絆を築くことができると考えている。

「“絆”という日本語の言葉がある。それが、昨夜の素晴らしいパーティーを通じて、我々のチームにとっての始まりになったと思う」とカウンセル監督は語った。「ショウタとセイヤが主催してくれたパーティーは本当に素晴らしかったし、心から感謝している。あれが、チームにとっての“絆”の始まりだった。」

カブスは、土曜日に阪神タイガース、日曜日に読売ジャイアンツと対戦する予定だ。東京シリーズに向けた調整試合であると同時に、選手たちが東京ドームの熱狂的な観客の雰囲気を体感する貴重な機会にもなる。

そして、いよいよ東京シリーズが開幕すると、今永と鈴木に加え、ドジャースの日本人スターである大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希が大舞台に立つことになる。

「これまでの日本人選手たちが築いてくれた土台のおかげで、今の自分たちがここにいることができる」と鈴木は語った。「自分もまた、未来の日本人選手たちがMLBでプレーするための“踏み台”になりたい。」

カウンセル監督も、この東京での一週間が、カブスの選手たちにとって、日本人選手がアメリカで挑戦する際に直面する困難を垣間見る機会になると考えている。

「共感とは、他人の立場に自分を置くことだ」とカウンセル監督は語った。「彼らが何を感じているのかを理解すること。誰にとっても、成長は“居心地の悪さ”を経験するところから始まる。だからこそ、アメリカに渡り、MLBでプレーする日本人選手たちが直面する困難に対する尊敬の念が生まれる。

それは単なる仕事上の困難や、野球の挑戦だけではない。人生そのものの挑戦でもある。そして、それには大きな勇気が必要だ。慣れない場所で過ごす数日間で、そのことを実感するはずだ。36時間ほど経った頃に、自分がどれだけ居心地の悪さを感じるか。それこそが、成長のきっかけになる。」

この言葉に対し、外野手のクロウ=アームストロングも強く共感した。

「間違いなく、視野が広がったと思う」とクロウ=アームストロングは語った。「最初は、彼ら(日本人選手)がどれほど大変な思いをしているか、深く考えたこともなかったし、十分に評価していなかったかもしれない。でも、それに気づけたのが今回の楽しい部分でもある。僕たちはほんの短い期間しかいないけど、それでも少し苦労しながら学んでいくのは面白い。

そして、セイヤとショウタが『お前らを放っておく』って冗談で言ってたけど、実際はすごく親切で助けてくれてる。本当に感謝してるし、今までとは違う視点を持てるようになったよ。」

ジョーダン・バスティアンMLB.comカブス担当
引用元:mlb.com

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