フィラデルフィア — クリストファー・サンチェスのチェンジアップは、今やメジャーで最も「エグい球種」のひとつと言っても過言ではありません。
フィリーズ左腕のサンチェスは、現地木曜夜にシチズンズバンク・パークで行われたジャイアンツ戦で、キャリアハイとなる12奪三振を記録し、6対4の勝利に大きく貢献。これにより、フィリーズはシリーズを2勝2敗のタイに持ち込みました。
フィリーズの左投手として1試合で12奪三振以上を記録したのは、2015年7月25日のコール・ハメルズ(カブス戦ノーヒッターで13奪三振)以来の快挙です。ちなみにこの登板は、ハメルズのフィリーズでのラストゲームでもありました。
かつてハメルズは「最強のチェンジアップ」を武器としていましたが、今やその称号はサンチェスにもふさわしいものとなっています。
この試合での12奪三振のうち、なんと11個がチェンジアップによるものでした。この「1試合でチェンジアップによる三振数11」は、2008年以降で最多タイ(アレックス・コッブ:2013年5月10日、ルイス・カスティーヨ:2019年8月5日)という記録。
さらに、22個のスイング空振り(whiff)をチェンジアップで奪ったのは、ピッチトラッキング時代(2008年以降)におけるレギュラーシーズンおよびポストシーズンを含めた中で史上最多の記録です。
サンチェスのこの圧巻のパフォーマンスにより、彼のチェンジアップは文字通り「歴史に残る一球種」となりました。
サンチェスは今季これで4試合目の登板となり、成績は2勝0敗、防御率2.96に。さらに特筆すべきは、彼が登板した4試合すべてでフィリーズが勝利しているという点です。
そして興味深いのは、その4試合すべてが「フィリーズが前日に敗れた直後」の登板だったということ。まさに“連敗ストッパー”としての役割を完璧に果たしています。
試合は初回、サンチェスが1点を失うスタートとなりましたが、同時にチェンジアップで3つの三振を奪う圧巻の立ち上がり。その裏、フィリーズ打線がジャイアンツ先発のジョーダン・ヒックスから5点を奪取し、一気に5対1と逆転に成功しました。
試合を序盤で掌握できたのは、サンチェスの落ち着いた投球と、彼の“魔球”チェンジアップがあったからこそと言えるでしょう。
サンチェスにとって、この日の5点の援護は十分すぎるリードでした。
彼は4回にもチェンジアップだけで三者連続三振を奪うなど、試合を完全に支配。まさに“魔球”と言うべきチェンジアップがこの日も唸りを上げました。
2008年から2015年までフィリーズに在籍したコール・ハメルズは、フィリーズ時代に657個の三振をチェンジアップで奪取。現エースのアーロン・ノラは2015年から2025年で216個。そしてサンチェスはすでに186個を記録し、球団史上3位に浮上しています。
さらに特筆すべきは、2023年6月17日にローテーション定着して以降、サンチェスはMLB全体で最多の164個のチェンジアップ三振を奪っているという点です。
以下はそのランキング(2023年6月17日以降):
順位 | 選手名 | チェンジアップによる奪三振数 |
---|---|---|
1 | クリストファー・サンチェス | 164 |
2 | タリク・スクーバル | 127 |
3 | ベイリー・オーバー | 124 |
4 | タイラー・アンダーソン | 123 |
5 | マイケル・ワカ | 119 |
フィリーズにとって、サンチェスは“ハメルズ以来のチェンジアップ使い”として、その存在感を急激に高めつつあります。今後もこの球種を武器に、リーグ屈指の左腕へと成長していくことは間違いなさそうです。
トッド・ゾレッキ:MLB.comフィリーズ担当
引用元:mlb.com