新シーズンの順位予想の発表はMLBオフシーズンの定番であり、複数のサイトがデータに基づいた予測を提供し、来たるシーズンの展望を示しています。
スプリングトレーニングが間近に迫る中、最も信頼されている2つの情報源から2025年シーズンの予測順位が発表されました。それが、Baseball Prospectusの「PECOTA」と、SteamerおよびZiPSのプロジェクションシステムを組み合わせたFanGraphsの予測です。
今年は多くの点で両者の予測が一致していますが、すべてのチームについて見解が一致しているわけではありません。
特にポストシーズン進出確率に関して、6つのチームで両サイトの予測に15パーセント以上の差が生じています。以下、その6チームを差の大きい順に紹介します。
※プレーオフ進出確率は2月6日時点のデータです。
1. レッドソックス:37.3ポイントの差
FanGraphs:51.0% | PECOTA:13.7%
レッドソックスは2024年シーズンを勝率.500で終え、2018年のワールドシリーズ制覇以降、6年間でプレーオフ進出は1回のみとなっています。しかし、2025年シーズンに向けて新たな期待が高まっています。
その大きな要因の一つが、エースのギャレット・クロシェの加入です。彼は2024年のオールスター選出メンバーであるラファエル・デバース、ジャレン・デュラン、タナー・ハウクとともに、12月にホワイトソックスからトレードでボストンに加わりました。さらに、レッドソックスはMLB Pipelineのトップ12プロスペクトのうち3人を擁しています。ローマン・アンソニー(2位)、クリスチャン・キャンベル(7位)、マルセロ・メイヤー(12位)らは、今シーズン中にメジャー昇格が期待されています。
それにもかかわらず、PECOTAはボストンのプレーオフ進出に悲観的で、最下位となる78勝84敗の成績を予測しています。一方で、FanGraphsはレッドソックスのプレーオフ進出確率をアメリカン・リーグ東地区で2番目に高いと評価(ヤンキースに次ぐ)し、ワイルドカード獲得を予測しています。
2. オリオールズ:31.6ポイントの差
PECOTA:75.6% | FanGraphs:44.0%
オリオールズは若いロスターで2年連続のプレーオフ進出を果たしましたが、2025年シーズンを迎えるにあたり、いくつかの大きな課題を抱えています。中でも最大の懸念は、エース投手コービン・バーンズと強打の外野手アンソニー・サンタンデールがFAで退団した穴をどう埋めるかという点です。新加入のタイラー・オニール、チャーリー・モートン、菅野智之には、その穴を埋める大きなプレッシャーがかかることになります。
PECOTAは、バーンズとサンタンデールの退団を乗り越え、ヤンキースとア・リーグ東地区の覇権を争うと予測しています。一方、FanGraphsはオリオールズの評価を大きく下げており、ア・リーグ全体でプレーオフ進出確率が8位と見ています。
3. カブス:30.5ポイントの差
PECOTA:85.8% | FanGraphs:55.3%
4年連続でプレーオフ進出を逃しているカブスですが、このオフシーズンで最も積極的に補強を行ったチームの一つとなりました。中でも、外野手カイル・タッカーとクローザーのライアン・プレスリーの獲得は、大きな注目を集めています。一方、昨季ナ・リーグ中地区王者のブリュワーズは、遊撃手ウィリー・アダメスとクローザーのデビン・ウィリアムズを失い、戦力が大幅に低下しました。
FanGraphsとPECOTAの両方とも、カブスが2025年に地区優勝を果たすと予想していますが、その優位性についての見解は大きく異なります。FanGraphsはカブスとブリュワーズの差を約3ゲームと見積もり、接戦になると予測。一方、PECOTAはカブスがブリュワーズに10ゲーム差をつけると見ており、プレーオフ進出確率はMLB全体でドジャースとブレーブスに次ぐ3位という高評価を与えています。
4. タイガース:23.8ポイントの差
FanGraphs:46.9% | PECOTA:23.1%
タイガースは2024年に衝撃的な快進撃を見せ、10年ぶりのプレーオフ進出を果たしました。8月11日の時点で借金8という苦しい状況から巻き返し、最終的にはア・リーグ・ワイルドカードシリーズでアストロズを撃破。続くディビジョンシリーズではガーディアンズと5戦の激闘を繰り広げた末に敗れましたが、そのシーズンは”マジカル”なものとなりました。
この成功をさらに発展させるべく、タイガースは二塁手グレイバー・トーレスをはじめ、先発投手ジャック・フラハティ(情報筋による)とアレックス・コブ、リリーフのトミー・ケインリーをフリーエージェントで補強しました。すでにチームには前年のア・リーグ・サイ・ヤング賞受賞者であるタリク・スクーバル、才能あふれる外野手ライリー・グリーン、そして層の厚いブルペンが揃っています。
FanGraphsはタイガースが再びワイルドカード争いに加わると予想している一方で、PECOTAは2025年のデトロイトを5割を切るチームと評価しており、その見解には大きな隔たりがあります。
5. メッツ:18.5ポイントの差
PECOTA:84.5% | FanGraphs:66.0%
昨季ナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)に進出し、オフシーズンにはフアン・ソトの獲得をはじめとする大型補強を実施。さらに水曜日には一塁手ピート・アロンソの再契約(情報筋による)を決めるなど、まさに”バナーオフシーズン”とも言える動きを見せたメッツ。しかし、2025年のナ・リーグ東地区の優勝候補としては、FanGraphs、PECOTAのいずれもメッツを筆頭とは見ていません。
昨季地区優勝を果たしたフィリーズも同様に優勝候補から外れており、代わりに両サイトともブレーブスがトップと予想しています。
しかし、メッツとブレーブスの差に関してはPECOTAとFanGraphsで大きく見解が分かれています。
- PECOTAは接戦を予想し、フィリーズを3位と評価。
- FanGraphsはブレーブスが大差をつけて首位に立ち、メッツとフィリーズが2位争いを繰り広げると予想。
このように、メッツの戦力評価には大きなばらつきがあるようです。
6. レンジャーズ:17.5ポイントの差
PECOTA:76.5% | FanGraphs:59.0%
2023年のワールドシリーズ王者として臨んだテキサス・レンジャーズだったが、連覇を目指した2024年は78勝84敗でポストシーズン進出を逃す結果となった。しかし、優勝時の主力メンバーは依然としてチームに残っており、内野のコーリー・シーガー、マーカス・セミエン、ジョシュ・ヤング、外野手アドリス・ガルシア、先発投手ネイサン・イオバルディなどが引き続き戦力として期待される。
さらに、2度のサイ・ヤング賞受賞歴を持つジェイコブ・デグロムがトミー・ジョン手術から完全復帰。今オフにはジョク・ピーダーソンとジェイク・バーガーを補強し、打線の強化も図った。
FanGraphsとPECOTAの両サイトとも、ア・リーグ西地区においてレンジャーズを最も高く評価しているものの、プレーオフ進出確率の数値には大きな開きがある。
- PECOTAは、レンジャーズがアストロズやマリナーズを2ゲーム以上上回る戦力と予測。
- FanGraphsは、レンジャーズ・アストロズ・マリナーズの3チームが拮抗する展開を想定。
このように、レンジャーズの実力評価に関しては予測モデルによって異なる見解が示されている。
トーマス・ハリソン:mlb.com記者
引用元:mlb.com