新しいチームに適応するのは難しい。それに加えて、新しい文化に順応しなければならない選手にとっては、その挑戦は何倍にもなる。
2020年の終わりに、パドレスはブレイク・スネルをレイズとのトレードで獲得し、韓国出身のキム・ハソンをFA契約で迎え入れた。2人にとっては、ドラフトされた球団以外で初めてプレーする経験だった。
「最初に移籍したときは、本当に大変だった」とスネルは語った。「2021年は特に厳しかった。ただ、タンパではなくサンディエゴにいる今の自分は何者なのかを考えることが多かったね。」
キムは、韓国プロ野球(KBO)のキウム・ヒーローズで7年間プレーした後、さらに大きな環境の変化を経験することになった。プレー面では、より速い球速や異なるレベルの野球に適応する必要があったが、調整は試合が終わった後も続いた。
初めて海外で生活することになったキムは、故郷の当たり前の快適さから遠く離れた環境で過ごさなければならなかった。しかし、最も苦労したのは言葉の壁だった。
「自分の気持ちを言葉で伝えたり表現したりしたいんですが、それには限界があります」とキムは通訳のデビッド・リーを通じて語った。「すぐに会話をしたいのに、通訳を介することで時間のずれが生じてしまうんです。」
やがて、スネルとキムは会話を交わすようになった。スネルが積極的に話しかけ、キムが理解しやすいように簡単な言葉を使うようにした。その結果、時間が経つにつれて二人は親しい友人となった。
キムは、スネルとの初期の会話が自分のメジャーリーグ移籍の助けになったと振り返る。新しいリーグや文化に適応する中で支えられていると感じ、適応期間を経た後、MLBレベルの才能を確立。2023年にはナショナル・リーグのユーティリティ部門でゴールドグラブ賞を獲得し、打撃面でも高いポテンシャルを発揮した。
KBOからMLBへ移籍することの難しさを理解しているキムは、同じ道を歩もうとしている韓国人選手たちのサポート役を買って出ている。
しかし、最近MLB入りを果たした元ヒーローズのチームメイト、イ・ジョンフ(2024年にジャイアンツと契約)やキム・ヘソン(2025年にドジャースでメジャー入りを目指している)とはすぐ近くで接することはできなかった。
元チームメイトであり同郷の選手たちが、偶然にもスネルが所属していたチームと契約したため、現在レイズに所属するキム・ハソンはスネルにこう頼んだ。
「彼らにも、あなたが僕にしてくれたように助けてほしい。」
「ハソンは韓国出身の選手たちをとても気にかけていて、できる限り彼らの助けになろうとしているんだ」とスネルは語る。「すべては彼が『時間があれば、彼らと話して、何を期待すべきか、どんなことが起こるのかを伝えてあげてほしい』と言ってきたことから始まった。」
「スネルが助けてくれたことで、自分もメジャーリーグでの生活に慣れることができた」とキムは振り返る。「だからこそ、イ・ジョンフやキム・ヘソンにも同じように感じてもらうことが大切だと思った。」
KBOからMLBへ直接移籍する韓国出身の選手は、比較的少ない。2015年にパイレーツへ移籍したカン・ジョンホが、その先駆けとなる野手だった。それ以前の韓国出身メジャーリーガーの多くは、国際アマチュアFAとしてMLB球団と契約し、マイナーリーグからキャリアをスタートさせるルートを歩んでいた。
これは、1994年にドジャースでメジャーデビューを果たし、MLB史上初の韓国出身選手となった右腕、パク・チャンホも歩んだ道だった。パクはこれまでに、キム・ハソンを含む多くの韓国人メジャーリーガーのメンターとして助言を与えてきた。
キムは、パクやカン・ジョンホといった先輩選手たちを頼ることができたが、メジャーリーグに挑戦する韓国出身の選手として、彼が成し遂げようとしていたことには前例がほとんどなかった。そんなとき、気持ちを落ち着かせるために電話できる相手がパクだった。
しかし、クラブハウスの中で気軽に話せる存在が必要だったキムは、スネルが頼れる相手であることを次第に理解するようになった。そして時間が経つにつれ、2人の関係は…
「…親友になったよ」とスネルは、記者の言葉を引き取って答えた。「ただ話していただけさ。いつも話してたし、お互い気が合ったんだ。2人とも野球が大好きで、同じような見方をしているんだよ。」
スネルとの関係が自分にとってどれほど大切なものだったかを深く理解していたキムは、新たな韓国人チームメートのメンターになってほしいと彼に頼んだ。その流れで、まずはイ・ジョンフのサポートが始まった。春季キャンプではキムがアリゾナで心強い存在になり(「ハソンは料理が上手なんだよ」とイは話した)、そしてジャイアンツのクラブハウスではスネルが頼れる存在となった。
「僕らはクラブハウスの中で毎日のように話していたよ」と、通訳のジャスティン・ハンを通じてイは語った。「彼はメンタル面で僕が本当に取り組むべきことについてたくさん話してくれたんだ。」
そしてこの春のキャンプでは、キム・へソンにもその関係が続いている。キムによると、スネルの方から最初に声をかけてくれたという。
「『俺は今まで何人もの韓国人選手と一緒に過ごしてきた。彼らがどんな気持ちか分かるから、君とも話したいし、自分の考えを伝えたい』って言ってくれたんです。」
これは偶然ではなかった。イ・ジョンフはスプリングトレーニングの序盤にスネルと食事をともにし、かつてキム・ハソンがスネルに頼んだのと同じように、「僕を助けてくれたように、へソンのこともよろしく頼むよ」と伝えたという。
「彼はまだ若いし、今どんな状況にいるかもよく分かるよ」とスネルは語る。「ハソンが本当に彼を助けてほしいと言っていたし、彼のメンターになることを誇りに思っている。ハソンが最初にMLBに来たときよりも、もっと早く順応できるように手助けしたいんだ。」
キム・へソンは、スプリングトレーニングを異なる地域で過ごしているにもかかわらず、キム・ハソンとは頻繁に連絡を取り続けている。また、カクタスリーグの試合が始まる前にイ・ジョンフと何度か食事を共にした。しかし、スネルが同じクラブハウスにいることで、よりスムーズな適応ができているという。
「野球の世界では、豊富な経験が必要です」とキム・へソンは国際スカウトのディーン・キムを通じて語った。「自分が実際に経験する前に、そのような経験を持つ人から話を聞き、共有してもらえることは、本当に素晴らしいことです。」
キム・ハソンが同胞のために尽力してきたことを考えると、スネルも友人のためにできる限りのことをしたいと考えている。そして、新たな環境に慣れる手助けとして、タンパの人々に向けてキムを温かく迎えるように伝えた。
「タンパのみんなには、彼に愛情を持って接し、大切にするように伝えたよ」とスネルは語った。「彼はきっと、あそこでの生活を楽しめるはずさ。」
アダム・ベリー:MLB.comレイズ担当
マリア・グアルダード:MLB.comジャイアンツ担当
ソニア・チェン:MLB.comドジャース担当
引用元:mlb.com