2024年にブレイクしたハンター・グリーンが新たなステージへ

ハンター・グリーン レッズ MLB

ハンター・グリーンはその本来のポテンシャルに到達しつつあるのか?2025年シーズン序盤の結果を見る限り、非常に有望な兆しが見えている。

高校時代にはカリフォルニアで二刀流のスター選手として注目を集め、2017年のドラフトでレッズに全体2位指名されたグリーンは、昨シーズンついに本格的にブレイク。150回1/3を投げて防御率2.75、奪三振169を記録し、初のオールスター選出、さらにナ・リーグのサイ・ヤング賞投票では8位に入った。

そして今シーズン、彼はその成功をさらに上積みし、より高いレベルへと上昇している。ここまでの先発4試合で防御率0.98、奪三振31、与四球わずか4。1901年以降、シーズン最初の4先発で30奪三振以上・与四球5未満・自責点3以下を記録したのは、グリーンを含めてたったの5人しかいない。

「私は彼と一緒に過ごした時間は他の人ほど長くないが、彼の取り組みを見ていて思うのは、まさに“若くて優れた選手が次のギアを見つけた”ということだ」と、レッズのテリー・フランコーナ監督は、グリーンの前回登板後にMLB.comのマーク・シェルドン記者に語った。「彼は登板翌日からしっかりトレーニングに取り組んでいるし、学んでいる。優れた選手というのは、そうやって成長していくんだ。」

実は、グリーンのこの支配的な投球は昨年のシーズン後半からすでに始まっていた。2024年7月1日以降、80イニング以上を投げた先発投手の中で、グリーンの防御率1.00はリーグ最少。FIP(投手の真の実力を示す指標)でも2.46を記録し、これはブレイク・スネル、ポール・スキーンズ、クリス・セール、タリク・スクーバルに次ぐ数値だ。

土曜日のボルティモア戦を前に、25歳のグリーンは今や「MLB最高の先発投手の一人」としての地位を築きつつある。その進化を支えている要因とは?――その詳細に注目が集まっている。


球質がさらに進化している

ハンター・グリーンといえば、以前から「球威抜群のピッチャー」として知られていた。

実際、2022年から2024年の間に1,000球以上のフォーシーム(4シーム)を投げた先発投手150人の中で、平均球速が最も速かったのがグリーンの98.2マイル(約158km/h)。加えて、右打者をえぐるスライダーも凶悪で、この3年間で206個の三振を奪っており、この数字はMLB全体で6位に相当する。

そんなグリーンの「速球+スライダー」の二枚看板が、今季はさらに進化している。2025年は全投球のうち90.3%がこの2球種だが、それぞれの球質指標を見ても圧倒的だ。

フォーシーム(4シーム)の進化

指標2022–242025
平均球速98.2 mph99.4 mph
空振り率26.0%24.1%(微減)
被OPS.764.534(大幅改善)
Stuff+(球質指標)108120

→ 平均球速が約1.2マイル上昇し、球質指標(Stuff+)も大きく上昇。被打率も激減しており、質の高さが顕著。

スライダーの進化

指標2022–242025
平均球速87.4 mph88.2 mph
空振り率38.9%54.1%(大幅アップ)
被OPS.598.000(被安打ゼロ!)
Stuff+(球質指標)130142

→ 球速が微増し、空振り率が驚異の50%超え。被打率は完全ゼロ、文字通り「打たれないボール」に変貌。スライダーの質は今、MLBトップクラス。

このように、もともとエリートクラスだった2球種の「速さ・キレ・結果」がいずれも向上しており、グリーンは単なる「速球派の若手」ではなく、本物のエースへの階段を着実に登っている。

ハンター・グリーンの“Stuff+”によるピッチの質を見ても、今季はこれまで以上にエリート級の数字を叩き出している。

◆ すべての球種の中でもトップの“Stuff+”スコア

Stuff+(ピッチの物理的特性を基に評価される指標)は、「純粋な球質」の良さを測る非常に有効な統計モデルだが、グリーンの2025年の数値は先発投手(10イニング以上)で全体1位の126

これは過去3年(2022–24)の平均119からさらに伸びたもので、当時ですらMLB全体でジェイコブ・デグロムに次ぐ2位だった。

◆ 新たな武器:スプリッターも高評価

グリーンは2024年からスプリッター(スプリット・フィンガー・ファストボール)を投げ始め、今季も使用率は8.2%と限定的ではあるが、非常に効果的な球種となっている。

  • 空振り率:30.8%
  • 被OPS:.600
  • Stuff+:115以上(先発投手中5位)
  • Location+(コマンド評価):99

スプリッターは“決め球”というよりも、打者に対する「予測の裏をかく」第3の選択肢として機能しており、フォーシーム&スライダーの2ピース投手だったグリーンが、いよいよ「真の多彩なレパートリー」を持つ投手に進化しつつある証でもある。

◆ 奪三振率・空振り率もキャリアハイに迫るペース

まだ2025年シーズンはわずか4登板とはいえ、これまでのデータは説得力に満ちている。

指標キャリア平均2025年
奪三振率29.6%31.3%
空振り率30.9%33.3%

今の“球質+球種のバランス”が維持されれば、1シーズン通してこの数字が維持される可能性も十分ある。

◆ 本人の手応えも◎

「ようやく“ピッチを組み立てられる段階”に来たと感じている。それが本当にうれしいんだ。これはメジャーという舞台で投手として成長するうえで大事なことだからね。」

– ハンター・グリーン(MLB.comの取材にて)

今季ここまでの内容からすれば、「圧倒的な球威」だけではなく「知性と技術を兼ね備えた完成形エース」に向かっているハンター・グリーン。仮にシーズン後半に多少の調整が必要となったとしても、彼がリーグを代表するエース級の一人であることに疑いの余地はなさそうです。


ストライクゾーンを狙い撃ち —— 99マイル超の速球を武器に

ハンター・グリーンは今季、「球威」だけでなく「制球力」の面でも大きく成長している。

MLB公式のアナリストであり、Marquee Sports Network のピッチング専門家ランス・ブロズドウスキー氏も最近の投球分析でこう述べている:

「グリーンの今季のアプローチはシンプルだ。
“速球で打者を力でねじ伏せる”—— それが今のところ、見事に機能している。」

グリーンが2025年に見せている「急成長の本質」は、“速球の威力” × “ゾーンへの積極性” の融合にあります。

キャリア最高の速球使用率と「ゾーン攻め」

今季のグリーンは、キャリアで最も多く速球(フォーシーム)を60.8%の頻度で使用しています(前年は55.2%が最高)。特に驚くべきは、「初球」の攻め方の変化です。

  • 初球速球率:
     2022~24年 → 55.3%
     2025年 → 64.6%

つまり、「カウントを整えるための変化球」ではなく、最初から力勝負でゾーンを攻めるスタイルに変化しています。

コマンド面の飛躍的な向上

その結果、以下のように「制球力」が劇的に向上しています。

指標2022–242025年
与四球率(BB%)9.3%4.0%
ストライクゾーン投球率48.8%59.2%(+9.5pt ※MLB先発投手で最大)
初球ストライク率63.6%73.7%(+11.5pt ※MLB先発で3位)
打席あたり平均球数4.183.84
チェイス率(ゾーン外の空振り誘発率)29.0%33.5%

つまり、「球数を抑えつつ、三振を奪う」「ゾーン内にガンガン投げる」「初球からストライクで勝負」 という理想的なエース像に近づいています。

「良いボールはゾーンに投げるだけ」で支配力アップ

「お前の球が良いなら、とりあえずストライクゾーンに投げておけ」

これは一見シンプルなアドバイスですが、実際にそれを実行できる投手は稀です。この考え方は、ここ数年のレイズ投手陣の成功(グラスナウ、スネルなど)にも共通するアプローチです。

そして2025年のグリーンは、まさにこの“シンプルかつ強力な投球哲学”を体現しつつあります。

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グリーンの今後の展望
――これからが“本当の勝負”の始まりです。

今後注目すべきは、「グリーンの新たな積極的アプローチに、打者たちがどう対応してくるか?」という点です。

初球の約3分の2がフォーシーム(速球)だとわかっていれば、打者はその攻め方に対して対抗策を練る動機が生まれます。とはいえ、時速99マイル超の剛速球をバレルゾーンで捉えるのは簡単なことではありません。 ですが、「初球の読みやすさ」は今後、攻略の糸口になる可能性もあります。

一流の先発投手たち――たとえばタイガースのエース、タリク・スクーバルは昨シーズン以降、初球に4つの球種をそれぞれ15%以上投げています。パイレーツの注目右腕、ポール・スキーンズも同様に、3つの球種を初球で18%以上使用しています。彼らのように、多彩な配球で打者の狙いを外す投手も多く存在します。

おそらくグリーンも、打者が対応してくる前にこの点に調整を加えるはずです。あるいは、グリーンの球威があまりにも優れているため、初球がある程度予測できたとしても、それでも打てないという状態が続くかもしれません。

実際、グリーン自身もその予兆を見せています。ツーストライク時のスライダー使用率を2022〜2024年は41.4%だったところ、今年(2025年)は32.1%にまで減少させています。つまり、追い込んでからの配球に変化を加え、球種のバリエーションを広げているとも読み取れます。

今後は、初球から終盤の決め球まで、どのように配球を進化させるかが注目されるポイントです。

フォーシームとスライダーをツーストライクで巧みに使い分けることで、グリーンは驚異的な成果を上げています。
フォーシームで17奪三振、スライダーで13奪三振――これは、今季13三振以上を複数の球種で記録している唯一の投手という快挙です。

これまで数年間にわたって才能の片鱗を見せながらも、ケガや安定感の欠如に苦しんできたグリーン。しかし、今季はついにその殻を破り、メジャー屈指の先発投手としての階段を上り始めました。

これらの改善が今後も継続されれば、グリーンは今後何年にもわたってサイ・ヤング賞争いに名を連ねる存在となるでしょう。

ブレント・マグワイアー:MLB.comレポーター
引用元:mlb.com

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