開幕から約1カ月 ヤンキース・ジャッジは4割超のアベレージを維持


クリーブランド発――水曜日、ガーディアンズとのシリーズ最終戦の試合開始およそ1時間半前、プログレッシブ・フィールドのビジタークラブハウスでは、アーロン・ジャッジがひときわ注目を集めていました。

――ただし、その注目のされ方は少し“変わった形”でした。

普段はMLBネットワークを映していることが多いクラブハウスのテレビが、このとき流していたのは、前夜のジャッジの4安打猛打賞ハイライト集。この活躍で彼の打率は.411まで上昇していました。

クラブハウスのテレビは、通常は選手たちの会話や移動の“背景音”に過ぎません。
ですが、この日は様子が違いました――
アーロン・ジャッジのハイライトが画面に映ると、オズワルド・ペラザ、パブロ・レイエス、ジョービット・ビバスの3人は会話を止め、真剣な表情でジャッジの活躍分析に見入っていました。

そして――ジャッジは彼ら3人だけでなく、プログレッシブ・フィールドの観客23,981人にも見事な“アンコール”を披露してみせました。
この日のガーディアンズ戦でジャッジは4打数2安打を記録し、ヤンキースは5対1で勝利。
ジャッジの今季成績は打率.415/出塁率.513/長打率.734(94打数)となり、打点は26でMLBトップ(メッツのピート・アロンソと並ぶ)に浮上しました。

「またしても“卓越”のひと言だよ」とアーロン・ブーン監督は称賛しました。

ジャッジは初回、ガーディアンズ先発ルイス・L・オルティスから打球速度110.9マイル(約178.5キロ)、飛距離424フィート(約129メートル)の特大トリプルを放ち、チームの攻撃に火をつけました。この打球はあと数インチで今季8本目のホームランという当たりでしたが、結果的にはジャッジの通算6本目の三塁打(2018年以降では3本目)となりました。

さらに2回には、1死からセンター前ヒットを放ち、この日2本目の安打をマーク。

「彼がバッターボックスに立つたびに驚かされるよ」とブーン監督は語ります。

なお、初回のヤンキース打線はジャッジのトリプルだけでは終わりませんでした。

ベン・ライスが四球で出塁し、ジャッジの三塁打で先制。
さらにコディ・ベリンジャーが四球を選び、ポール・ゴールドシュミットがタイムリーツーベースを放って、ノーアウトで2点を奪う猛攻を見せました。

ヤンキースは2回にもライスとゴールドシュミットのタイムリーでさらに2点を追加し、試合の主導権を完全に握りました。


昨年の開幕から25試合を終えた時点で、アーロン・ジャッジは打率.191、ヒットはわずか18本というスロースタートでした。しかし今年はその数字の3分の1以上を、わずか3試合で上積み。今回のクリーブランド3連戦では12打数7安打(.583)と爆発し、圧巻の打撃を披露しました。

とはいえ、ジャッジ本人は昨年と比べて“何か特別なこと”をしている感覚はないと言います。

「これが野球さ」と、ジャッジは淡々と語ります。「今はこうしていい流れだけど、もしこれが“苦しい月”だったとしても、僕は同じことを言ってると思うよ。」

「大事なのは、とにかく“シンプルでいること”。去年より良い4月にしたい――それだけを意識してるんだ。」


ゴールドシュミットはフィールド上でジャッジをホームに返すなど、試合での貢献はもちろんのこと、クラブハウス内でも大きな存在感を放っているようです。

「彼が僕の後ろを打ってくれるおかげで、打席でのプレッシャーがだいぶ楽になるんだ」とジャッジは語ります。

「でも、それだけじゃない。彼やジャンカルロ(スタントン)と一緒に話をしたり、スカウティングレポートを共有したりできることも本当にありがたい。
彼はまさに“プロフェッショナル”だよ。」


ゴールドシュミットはこの日もマルチヒットを記録し、先発カルロス・ロドンの快投をしっかりと援護しました。

ロドンはこの試合で7回を投げて被安打4、与四球2、8奪三振、失点1(自責点0)という素晴らしい内容を披露。テンポ良くアウトを重ね、ガーディアンズ打線を封じ込みました。

これはロドンにとって2試合連続の好投。前回登板ではレイズ相手に6回無失点の力投を見せており、調子を上げてきています。

「またしても素晴らしい内容だった」とブーン監督は称賛。

「試合が進むにつれてリズムがどんどん良くなっていったし、特に速球の存在感が際立っていた。しっかりとゲームを支配してくれたよ。」


カルロス・ロドンは、ホワイトソックス時代からジャイアンツ時代までの8年間、アーロン・ジャッジを「遠くから見る立場」として対戦してきました。そして今、彼はジャッジと同じユニフォームを着ている。

「彼と対戦するのも面白かったけど、チームメイトとして一緒にいるほうが断然楽しいよ」とロドンは笑顔で語ります。

「今週の彼は“トニー・グウィン”。来週には“ハンク・アーロン”になってるかもね」と、冗談交じりにそのすごさを表現しました。

一方、ゴールドシュミットにとっては今季がジャッジと初めて同じチームでプレーするシーズン。これまでの9年間は“敵”としてジャッジと対峙してきた彼も、今や世界最高の選手のひとりの後ろで打つ喜びを実感しています。

「彼の打席を見てるだけで楽しいよ」とゴールドシュミットは語ります。

「彼は究極のプロフェッショナルであり、リーダー。“キャプテン”である理由がよく分かるよ。」


この日の勝利で、ヤンキース(15勝10敗)は今季初のスイープ(同一カード全敗)を回避することに成功しました。月曜・火曜と精彩を欠いた内容でガーディアンズに連敗していた中、シリーズ最終戦で見事に巻き返しました。

次の対戦相手は、ア・リーグ東地区で背後に迫るブルージェイズ(12勝12敗)。ヤンキースは再び足元を引き締め、直接対決に臨みます。

「うちにはいいチームがある」とポール・ゴールドシュミットは語ります。

「チームとしての自信もある。でも、シーズンはまだまだ長いからね。」

ヘンリー・パラテッラ:MLB.com記者
引用元:mlb.com

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