ニューヨーク — 火曜日にシティ・フィールドで予定されていたマーリンズ対メッツの試合は、夜間の寒さが予想されたため、当初の午後7時10分(東部時間)から午後4時10分に開始時間が変更された。
試合が終わる頃には、マイアミは10対5で敗れ、まさに“冷たい気持ち”に包まれていたが、それとは対照的に、センターのデレク・ヒルに対しては温かい気持ちを抱いていた。ヒルはマーリンズの一員として自己最高の活躍を見せ、6回表には2ランホームランを放って6対5まで追い上げたうえ、6回裏には28,861人の観客を驚かせる今季最高とも言えるスーパーキャッチを披露した。
試合開始時の気温は43度で、試合が進むにつれて風が強まり、外野でのプレーは厳しかったとヒルは語った。
「今日は風が本当に強かった。外野のどのポジションも何かをしていた。普段と全然違ったよ」とヒルは言った。「いくつかのボールはギャップに向かって飛んでいく途中で急に落ちたし、逆にいくつかのボールは急に飛び出した。今日は本当に面白い一日だった。」
6回裏、メッツがこの回に3点を追加して9対5とリードを広げた直後の場面だった。満塁、ツーアウト、マウンドには右腕ロニー・エンリケス。タイロン・テイラーがセンター深くに打ち上げた打球に対して――
センターのデレク・ヒルは、シングルヒットでの本塁返球を狙って浅めに守っていたが、打球に反応すると約110フィート(約33.5メートル)を全力で駆け抜け、ウォーニングトラックで完全に体を投げ出し、ちょうどグラブのヒール(手首寄りの部分)でボールをつかみ取った。
ボールを捕っていたかはすぐには分からなかったが、腹ばいのままヒルが右手でボールを高く掲げた瞬間、スタンドは驚きに包まれた。
「マジですごかったよ。信じられない」とテイラー。「打った瞬間は分からなかったけど、数歩走った後に誰もいないのが見えて、『これはいける!』って思ったんだ。そしたら彼が“スーパーマン”みたいに飛んできて……ほんと信じられないプレーだったよ。」
マーリンズのクレイトン・マッカラー監督もこう語った。
「今まで生で見た中でも、あれは最高クラスのキャッチだった。あそこまで全力で、ウォーニングトラックで完全に体を伸ばして、フェンスに向かって突っ込んでいく――あれ以上のキャッチはなかなか見られないよ。」
ヒルは、このプレーで少し体にダメージがあったことを認めた。
「ニューヨークのグラウンドって、けっこう硬いんだよね。ちょっと凍ってるみたいな感じだったよ」とヒル。「でもあの打球を捕れたのは別に驚いてないよ。地面に叩きつけられながらもボールをしっかりつかんでいられたのはよかった。」
この日、ヒルにとって特別だったのはあのスーパーキャッチだけではなかった。6対5と1点差に迫る2ランホームランを放ったときの打球も、大切に自分のロッカーに置いてあった。
この試合、ヒルは4打数1安打。その1安打が貴重な一発となった。
昨年のヒルにとっては、まさにジェットコースターのようなシーズンだった。レンジャーズ、ジャイアンツ、マーリンズの3球団を渡り歩きながらも、それぞれで一定の成果を残した。
29歳のヒルは、その経験について否定的なことは一切語らなかった。彼は2020年にメジャーデビューし、タイガースでキャリアをスタート。その後、ナショナルズでもプレーした。そして今、マイアミに自分の居場所を見つけたいと願っている。
「マイアミは本当に大好きなんだ。去年、チームの仲間たちはみんなすごく温かく迎えてくれた。今年はまた新しい顔ぶれも多いけど、ここは“家族”みたいな感じがするよ」とヒルは話す。「去年は本当にワイルドだったね。妻と一緒に、ほとんど車の中で生活していたようなもんだった。でも、それも楽しい経験だったよ。クレイジーだったけど、どんな経験も無駄じゃないと思ってる。」
マッカラー監督が火曜日の試合後に語った内容から判断すると、ヒルはしばらくマイアミに残ることになりそうだ。
「デレクは素晴らしいチームメイトであり、人としても素晴らしい人物だ」とマッカラーは語った。「彼は本当に懸命に努力してきた。」
「デレクにとって、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。でも、彼は真のプロフェッショナルだよ。打撃コーチ陣が彼に伝えてきたことを、しっかり受け入れて取り組んできたと思う。春季キャンプのときからずっと素晴らしい働きをしていたし、守備面でも試合にインパクトを与える力があるのは誰の目にも明らかだ。デレクはいつも準備万端で試合に臨んでくれる。攻守両面で素晴らしいことをやってのけているよ。」
ビル・ラドソン:MLB.com記者
引用元:mlb.com