サンディエゴ発 — 大谷翔平とドジャースは、彼の投手復帰に向けて慎重に“長期的視点”でリハビリを進めてきました。しかしここ数週間でペースが加速しており、火曜日の午後、ペトコ・パークで行われた3度目の実戦形式セッションでは、打者相手に3イニング・44球を投げ込むまでに回復しています。
一般的には、大谷がメジャーのマウンドに立つのはオールスター後と見られていました。というのも、今季は指名打者として出場しながら投手としてもシーズン中に完全なビルドアップを行う必要があるからです。
しかし、ここまでの進捗を受けて、大谷がオールスター前に投手として復帰する可能性はあるのでしょうか? デーブ・ロバーツ監督は、「ゼロではない」と語りました。
「誘惑はあるよ」と、シリーズ第2戦でパドレスに11対1で敗れた数時間前にロバーツ監督は語りました。「翔平自身も、もう思い切ってメジャーの試合で投げたいと思っているはず。でも私たちは我慢強く進めているつもりだよ。」
大谷が最後にメジャーで登板したのは2023年8月。約1か月後に右肘の内側側副靱帯(UCL)の修復手術を受けました。これは彼にとって2度目の投球腕の大手術です。さらに昨オフには左肩の関節唇の手術も受けており、ドジャースは一層慎重にリハビリを進めています。
今回の登板では、アリゾナ複合施設(ACL)のドジャース傘下チームの打者相手に、これまでで最も多い投球数を記録。5月31日の前回セッションでは2イニング・29球でしたが、今回は3イニング・44球まで増加しました。最初の2イニングは順調に投げ終え、3イニング目はやや球数を要しましたが、6三振を奪い、四球1、安打1と好内容でした。
ドジャースは、大谷がメジャーの試合に復帰するための具体的な投球数の目安を設けてはいませんが、先発投手の場合は通常6イニング・90球程度が目標とされます。
「必ずしもフルビルドアップ(6回・90球)である必要はないと思う。彼がどれだけ投げられるか、それ自体が大きな戦力になる」とロバーツ監督。「でも最終的な判断は彼自身、エラトラッシュ医師、そしてトレーニングスタッフが下すことになる。私はただ、次のセッションが待ち遠しいだけさ」と話しました。
Shohei Ohtani threw 44 pitches across three simulated innings. Today marked his third time facing hitters. Here's him striking out his final batter: pic.twitter.com/StYQ0DxaBP
— Sonja Chen (@SonjaMChen) June 10, 2025
ドジャースは先発投手の故障が相次いでいることから、ブルペンデー(継投で試合を組み立てる戦略)を定期的に採用しています。そのため、大谷翔平が投手として復帰した際に、序盤は短いイニングしか投げられなくても、中継ぎ陣への負担はそれほど大きくならないと見られています。
また、大谷が「二刀流選手」として登録されていることから、ロースターの柔軟性も確保されています。もし状況が整えば、完全な投球数に達していなくても先発登板させることが可能で、しかも13人の投手枠を1つ埋める必要がありません。
重要な要素の一つは、大谷が現地火曜日の登板で3イニングにわたって安定して球威と球速(約94〜96マイル=約151〜154キロ)を維持できたことでした。これは、ドジャースが注目しているポイントの一つであり、登板数の増加とあわせて順調な進捗を示しています。
ドジャースのマーク・プライアー投手コーチはこう語りました。
「球数が44球に近づいてきて、それが60球、70球と増えていけば、実戦登板を現実のものとして思い描けるようになる。なぜなら、それだけの投球量を積んでいれば、実際の試合で複数イニングをこなせるということだからだ。」
大谷翔平の復帰が近づいている中で、監督のデーブ・ロバーツと投手コーチのマーク・プライアーは、大谷の特異な状況により、その調整過程が必ずしも直線的に進まないことを認めています。
例えば、大谷の本格的な投球練習は通常週末に行われますが、セントルイスでの悪天候の影響で、今回のライブピッチングは月曜に予定されました。しかし、日曜に左足に死球を受けたため、安全策としてさらに1日延期されました。
プライアーはこう語っています。
「大谷には通常の投手とは異なる、日々変化する多くの要素があります。私たちが他の投手では経験しないようなことが、彼にはあるんです。」
大谷の回復と並行して、ドジャース投手陣にも明るい兆しが見え始めています。ブレイク・スネルとタイラー・グラスナウの両投手も調子を上げてきており、2人とも火曜日にブルペン入りしました。ドジャースは先発ローテーションが万全でない状態でここまでしのいできましたが、ようやくトンネルの出口が見えてきたようです。
ロバーツ監督は次のように語っています。
「今いる選手たちで前に進み続けることに集中する一方で、負傷者が戻ってきてチームが万全になるという期待もあります。…私たちはようやく、反対側の光を見られるところに来ているんです。」
ソニア・チェン:MLB.comドジャース担当
引用元:mlb.com