最新の先発投手パワーランキングで、新たなNo.1が誕生しました。そしてその座に就いたのは、これまで常連だった投手たちではなく、今季サイ・ヤング賞レベルの飛躍を遂げているブレイク中のエースです。
前回のランキングでは、前年のサイ・ヤング賞受賞者であるタリク・スクーバルがトップでしたが、今回はその座が入れ替わる結果となりました。
このランキングは、MLB.comのデータチームが構築した独自の指標に基づいており、過去365日間の成績を評価しつつも、今季の成績および直近のパフォーマンスにより大きな比重を置いています。
以下が最新の先発投手パワーランキングです(すべての順位と成績は火曜日の試合終了時点のものです)。
1位:ハンター・ブラウン(アストロズ)【前回:2位】
ブラウンは、まさに今サイ・ヤング賞候補として頭角を現しています。2024年のブレイクシーズンを経て、2025年は圧巻のパフォーマンスを見せています。アストロズの若き速球派右腕は、今季ア・リーグ最多の6勝に並んでおり、ERAは2.04、投球回数61回2/3で71奪三振を記録しています(水曜日のレイズ戦終了時点)。さらに、9イニングあたりの被安打数は5.2で、規定投球回到達者の中で最少となっています。
2位:タリク・スクーバル(タイガース)【前回:1位】
前回のランキングでトップに立っていた昨季のア・リーグ サイ・ヤング賞受賞者スクーバルは、今季も引き続き圧巻の投球を見せています。今季はすでにア・リーグ最多となる79奪三振を記録しており、昨年のMLB最多228奪三振に続く数字です。
これで2024年以降の通算奪三振数は300超となり、これはザック・ウィーラーを上回り、全投手中最多となっています。支配的な投球内容は変わらず、堂々たる2位キープです。
3位:マックス・フリード(ヤンキース)【前回:5位】
フリードは、ヤンキースが2億1800万ドルという大型契約で獲得したエースとして、まさに期待通りの活躍を見せています。今季ここまで10先発で無傷の6勝0敗、防御率はメジャー全体トップの1.29を誇ります。
驚くべきことに、今季の登板で一度も自責点3以上を許していません。安定感抜群の左腕が、ヤンキースのローテーションをけん引しています。
4位:ザック・ウィーラー(フィリーズ)【前回:8位】
ウィーラーは2020年にフィリーズ入りして以降、MLBでも屈指のエースとして君臨してきたにもかかわらず、いまだサイ・ヤング賞を獲得していないのが不思議なくらいです。しかし、今年こそそのチャンスが巡ってきているかもしれません。
現在、ウィーラーは5勝1敗、防御率2.67、ナ・リーグトップのWHIP 0.891、そして80奪三振という圧巻の成績を残しています。さらに、メジャー2位の64投球回を誇り、例年通りタフなワークホースぶりを発揮しています。今季もまた、サイ・ヤング賞争いの本命のひとりです。
5位:ネイサン・イオバルディ(レンジャーズ)【前回:9位】
イオバルディは、テキサス・レンジャーズにとって“頼れるベテラン”として君臨しています。そしてチーム在籍3年目の今季、その安定感はキャリアでも最高のスタートを切っています。
現在の成績は4勝2敗、防御率1.61、61回1/3で65奪三振。特に圧巻なのは、直近5先発でいずれも1失点以下に抑えている点です。イオバルディは、レンジャーズのローテーションの柱として、文字通り「安心と信頼の右腕」となっています。
6位:クリス・ブビッチ(ロイヤルズ)【前回圏外】
昨年はセス・ルーゴとコール・ラガンズという2人のサイ・ヤング賞候補を輩出したロイヤルズですが、2025年の今季は思わぬ新星が台頭しています。それが27歳の左腕、クリス・ブビッチです。
ここまでの成績は10試合に先発して5勝2敗、防御率1.47、奪三振61。特筆すべきは、5月の登板でわずか1失点しかしていないという驚異的な安定感。これまでのキャリアではローテの裏を支える存在だったブビッチが、今季は堂々たるエース級の働きを見せており、ロイヤルズの快進撃を支える大きな原動力となっています。
7位:ギャレット・クロシェ(レッドソックス)【前回7位】
ボストンがオフに敢行した大型トレードは、今のところ大成功と言えるでしょう。クロシェはレッドソックス移籍後も圧倒的な投球を続けており、今季11先発で防御率1.98、メジャートップの68回1/3を投げて78奪三振というハイレベルな数字を残しています。
特に注目すべきは、すでに5度も7回以上を投げている点で、これはローガン・ウェブやフランバー・バルデスと並びメジャー最多タイ。短いイニングで起用されていた過去を考えると、今季のスタミナと支配力は大きな進化の証です。レッドソックスのローテーションの柱として、今後も目が離せない存在です。
8位:ポール・スキーンズ(パイレーツ)【前回6位】
スキーンズは前回登板でその実力を再び証明しました。自身初の完投(8回1失点9奪三振)をマークしたものの、打線の援護に恵まれず1-0の惜敗。それでもこの試合は、彼がすでに「真のエース」級の投球をできる投手であることを示す内容でした。
今季は62回2/3を投げて62奪三振、防御率2.44と安定感も抜群。まだメジャーキャリアは浅いものの、すでにリーグ屈指の先発投手の一人として定着しつつあります。今後もパイレーツの浮沈を握るキーマンとして、大きな注目を集めることは間違いありません。
9位:ジェイコブ・デグロム(レンジャーズ)【初ランクイン】
ここ3登板の内容は、まさに“ヴィンテージ・デグロム”。
- 5月10日:昨年4月以来となる10奪三振
- その次の登板:アストロズ相手に8回無失点・7奪三振の快投
- 5月29日 ヤンキース戦:敵地で7回2失点・9奪三振
肘の故障から復帰後、ついに本来の投球を取り戻しつつあり、今季は4勝1敗、防御率2.33、62奪三振/58回という堂々たる数字を記録。
2度のサイ・ヤング賞受賞者である彼が完全復活すれば、レンジャーズのプレーオフ進出にも大きな追い風となるでしょう。球界随一の剛腕が再びその輝きを取り戻しつつあります。
10位:山本由伸(ドジャース)【前回3位】
山本は現地火曜日のダイヤモンドバックス戦で圧巻の投球を披露。
- 7回途中までノーヒットピッチング
- 最終的に7回1安打無失点・9奪三振
これで今季の成績は
- 防御率1.86
- 68奪三振/58回
- 10先発
MLB2年目にして、すでにサイ・ヤング賞候補にふさわしい安定感と支配力を見せており、ドジャースのローテーションを力強く支えています。球威・コントロール・変化球のキレがすべて高水準で、日本時代を彷彿とさせる圧巻の投球内容です。
■ 次点の候補(Honorable Mentions):
以下の投手たちも素晴らしいパフォーマンスを見せており、ランキング入り目前です:
- マッケンジー・ゴア(ナショナルズ)
- マイケル・キング(パドレス)
- パブロ・ロペス(ツインズ)
- ヘスス・ルサルド(フィリーズ)
- クリス・セール(ブレーブス)
- A.J.スミス=ショーバー(ブレーブス)
- ローガン・ウェブ(ジャイアンツ)
- ブライアン・ウー(マリナーズ)
※次回のランキング更新では、これらの投手がトップ10入りしてくる可能性も十分にあります。
デビッド・アドラー:MLB.com ニューヨーク支局
引用元:mlb.com