“調子は問題ない” カブスとタッカーがオープン戦の結果を気にしない理由

メサ(アリゾナ州)— 2年前の春、ダンズビー・スワンソンはカブスの目玉補強として長期契約を結び、チーム再建の象徴として迎えられた。 しかし、スプリングトレーニングでは打撃面で苦しみ、カクタスリーグで厳しいスタートを切った。

「でも、開幕戦では彼一人でブルワーズを倒しましたけどね。」と、カブスの打撃コーチ、ダスティン・ケリーは笑いながら語った。


金曜日の朝、ロッカーで椅子にもたれかかりながら、スワンソンは2年前と同じように、カブスと7年1億7700万ドルの契約を結んだ当初は「すぐに結果を出さなければならない」というプレッシャーを感じていたと振り返った。

しかし、今オフにカイル・タッカーの取り組みを間近で見てきたことで、彼には同じようなプレッシャーがないと感じている。

タッカーは12月にアストロズから大型トレードで獲得され、カブス打線の中心となることを期待されている。 だが、新天地での最初の7試合は17打数無安打と結果が出ていない。スワンソン自身も、2023年の春季キャンプでは最初の10試合で22打数1安打、最終的に打率.122(41打数5安打)という厳しい成績に終わった。

「僕たちはタイプが違う選手だからね。」 とスワンソンは語る。
「僕の場合は、契約のこともあって多少のプレッシャーがあったと思う。それは人間として当然のこと。でも、春季キャンプの目的は、自分のプロセスを確立することだからね。」

「タッカーは彼自身のやり方を持っていて、それを信じている。その姿勢を間近で見ていると、すごく新鮮に感じるよ。もし彼がプレッシャーを感じているとしても、それを僕は全く感じないし、見てもいないね。」


スワンソンは2023年の春季キャンプを不調で終えたが、最後の2試合で本塁打を放ち、その勢いを持続させた。開幕戦のブルワーズ戦(4-0の勝利)では3安打を記録し、レギュラーシーズンの最初の4試合で3度の3安打試合をマーク。5月2日の時点では打率.306を維持していた。

カイル・タッカーのような実績のあるスター選手にとっては、スプリングトレーニングの成績よりも、日々のプロセスやルーチンの方が重要だ。

タッカーは3度のオールスター選出に加え、シルバースラッガー賞を獲得し、2023年のア・リーグMVP投票では5位に入った選手である。春季キャンプでヒットが出ないことを心配する必要はない。

「スプリングトレーニングだからね。」とカブスのクレイグ・カウンセル監督は語る。

「彼ほどの実績がある選手なら、多少の不振は気にする必要がない。それが結論だよ。それに、もしこれまでの例がなければ心配するかもしれないけど、実際にはそんなことはない。僕自身も見てきたけど、これはただの偶然さ。優れた打者だって、シーズン中に17打数無安打の期間があっても、最終的に素晴らしい成績を残すものだ。」

スワンソンは、タッカーの裏での取り組みを「新鮮」だと感じている。

「彼はシンプルなルーチンを貫いていて、少ないスイングの中でも最大限の成果を上げようとしている。それが見ていて刺激的なんだ。」

現在、タッカーは打撃フォームの中で、タイミングの取り方とバットの軌道を同期させることに重点を置いている。

「今の感覚は悪くない。」とタッカーは語る。

「目指している状態にはまだ完全には到達していないけど、それに近づいている。これまでの打席の内容にも不満はないし、いくつかの球はほんのわずかに捉え損ねただけ。あともう少しのところまで来ていると感じているよ。」

タッカーは、スプリングトレーニングでは「ゾーンの感覚を取り戻すこと」が重要だと考えている。オフシーズンの間にライブピッチングから離れていたため、まずはゾーンの感覚を掴み、そこからタイミングを合わせていく。

現在の課題について、タッカーとケリー打撃コーチは、「バレル(バットの芯)がボールの軌道に乗り切っていない」ことを指摘している。

「打撃では、ほんの少し遅れるか、ほんの少し前に出るかの違いが大きい。」
とケリーは説明する。

「映像を見ながら、そのズレがどの程度なのかをチェックしている。タッカーの場合、今はほんの少し遅れ気味なんだ。バットの出が少し遅れると、バレルが十分にボールを捉えられない状態になってしまう。」


ケリー打撃コーチは、ここ1カ月間タッカーと打撃についてじっくり話し合ってきた経験から、シーズンが始まり本格的な試合準備が加われば、彼は間違いなく結果を出すと確信している。

スプリングトレーニングでは、対戦投手が特定の球種や課題に取り組んでいることが多く、レギュラーシーズンとは異なる環境にある。 また、マイナーリーグの投手が多く登板したり、中継ぎ投手が早いイニングから登場することも珍しくない。そのため、打者も通常のシーズンほど戦略的な打撃プランに時間を割いていない。

「シーズンが始まり、本番の舞台に立てば、彼らはしっかり対応できる。」とケリーは語る。

「もうこのレベルの選手たちは、感覚が良ければ結果が出なくても慌てることはない。」

とはいえ、少しでもポジティブな結果が欲しいのも事実だ。

「少なくとも1本くらいはヒットが欲しいですね。」とタッカーは笑顔を見せた。
「それが出たら、気分も良くなると思うよ。」

ジョーダン・バスティアン:MLB.comカブス担当
引用元:mlb.com

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