記者による今シーズン残りの期間に関する「大胆予想」


野球は予測不可能。それでも予想するなら、思い切って大胆にいこうじゃないか。

というわけで、MLB.comとYahoo Sportsの記者6人に、それぞれ今シーズン残りの期間に関する「大胆予想」を1つずつ考えてもらった。これらの予想が実現する可能性は高いか? いや、おそらく低いだろう。だが、もし実現したときには、「最初にここで読んだ」と胸を張って言えるはずだ。

以下の記録・データはすべて現地水曜日の試合終了時点のものです。

目次

ピート・アロンソがナ・リーグ三冠王を獲得する
ジョーダン・シュスターマン(Yahoo Sports)

ピート・アロンソは今シーズン、どんな成績を残すかにかかわらず注目の存在だった。オフシーズンには大型契約が噂されながらも、最終的にはクイーンズ(メッツ)に短期契約で残留するという展開になり、この冬の大きな話題のひとつとなった。つまり今季は、アロンソが他球団の評価を覆すのか、それとも懸念が的中してしまうのかを証明するシーズンだったわけだ。

ところがふたを開けてみれば、2024年のキャリア最低とも言えるシーズンからの“再評価”どころか、それ以上のインパクトを与えている。特に目を引くのが、驚異の打率.328という数字だ。この「打率」が、今回の大胆予想――三冠王――のカギを握っている。アロンソが本塁打王または打点王を争うのは毎年のことで、まったく不思議ではないが、今季開幕前に「通算打率.249の選手が首位打者争いに加わる」と予想するのは、さすがに無理があっただろう。それが、今まさに現実になろうとしているのだ。

今季のアロンソのスタッツのすごさは、見た目の数字だけでなく、裏付けとなる指標でもしっかり証明されている。元々ハードヒットが持ち味だったアロンソだが、今季はコンタクト率も大幅に向上。空振り率は自己最低の21.6%、三振率も17.2%とキャリア最小を記録しており、四球率はキャリア最高の15.4%に達している。すでに一流のパワーを持っている彼にとって、この“出塁力”の向上は全体の攻撃力に大きく跳ね返ってきており、今やナ・リーグMVPレースの本命の一角に名を連ねるまでになっている――それも、チームメートにフランシスコ・リンドーアやフアン・ソトがいる中で、だ。

アスレチックスがア・リーグ西地区を制覇する
マイク・ペトリエロ(MLB.com)

ちょっと話を聞いてほしい。開幕前、多くの人が期待していた「ヒューストン vs テキサス vs シアトル」の三つ巴の優勝争い――どうやらそんな展開にはなっていない。レンジャーズはすでに「打撃コーチ解任モード」に突入し、アストロズは勝率5割ながらヨルダン・アルバレスの健康状態に不安を抱えている。マリナーズは意外にも好調な打撃を見せているが、「ホルヘ・ポランコがOPS .700超えを維持できるか?」というと、そこには疑問符がつく。つまり、チャンスの扉は開いているということだ。

ここまで20勝18敗のアスレチックスは、「何とか食らいついている」どころか、本格的に優勝争いに加わっている。これは、メイソン・ミラー(防御率4.61)やローレンス・バトラー(OPS+ 103)といった主力級がまだ期待通りの活躍を見せていないことを考えると、驚くべき事実だ。

オフシーズンに加わったルイス・セベリーノが投球でチームに貢献しているのは予想通り。ブレント・ルッカーがパワーを発揮しているのも想定通り。だが、タイラー・ソダーストロムがマーク・マグワイアばりの打撃を見せたり、ジャスティン・スターナーがデニス・エカーズリーばりの救援をしているなんて、誰も予想していなかっただろう。だが、それらの“サプライズ”が勝利に貢献しているのは間違いない。

想像してみてほしい――もしミラーとバトラーが本来の力を発揮し始めたら?
もしジェフリー・スプリングス(防御率4.81)が、かつてタンパベイで見せた中堅先発投手としての姿を取り戻したら?
もしジェイコブ・ウィルソンが「ショートも守れるルイス・アラエス」だと本当に証明されたら?
もしアストロズ王朝の終焉がいよいよ現実になったとしたら?

FanGraphsによれば、アスレチックスが地区優勝する確率はわずか5%。
でも「不可能」ではない。
これは大胆な予想だ。


大谷翔平はポストシーズンで登板しない
ジェイク・ミンツ(Yahoo Sports)

大谷翔平が世界中で名を知られるようになったのは、「二刀流」だったからだ。100年以上のプロ野球の歴史の中で、投打を同時にこなし、しかもオールスター級のレベルでプレーできた選手は他にいなかった。それこそが彼の“ウリ”であり、大谷はこの唯一無二の才能によって、スーパースターの地位を手に入れ、2度のMVPと7億ドルの契約を勝ち取った。

だが、すべては2023年9月の故障で一変する。当時エンゼルスに所属していた大谷は、キャリア2度目となる右肘の再建手術を受けた。その後、投手としてのキャリアは一時的にストップすることになったが、大谷はバッターとしての能力をさらに高め、まさに“異次元”のレベルに到達した。

現在の大谷は、まさに“50-50”の男。打撃と走塁の両方で異能を見せるユニコーンのような存在であり、バットと脚の力だけで3度目のMVPを獲得した。

大谷翔平は、間違いなく現在のMLBでトップ3に入る打者だ。この事実は、彼を雇う球団――ドジャース――にとって難しい判断を迫る要素となる。10月(ポストシーズン)が近づき、大谷が投手としてのリハビリを一歩ずつ進める中で、ドジャースは“贅沢なジレンマ”を抱えることになる。

というのも、現実は冷酷である。もし大谷が全力で投手復帰を果たせば、再び大きな故障を負うリスクも高まる。その故障が10月に起こってしまえば、大谷を打線からも失うという、最悪のタイミングでの戦力ダウンにつながる。

したがって、大谷をポストシーズンで「投手」として起用することは、あえて背負う必要のないリスクだという見方にも説得力がある。最悪の場合、それがこのドジャースという“超強力戦力”を沈めてしまうかもしれない。たしかに、2025年のドジャースは先発陣が度重なる故障に見舞われているが、それでも10月には十分な数の健在な先発投手が揃っている可能性は高い。

だからこそ、大谷のポストシーズン登板を見たいと願う人(対戦相手の打者を除いて)が多い一方で、ファンの願望とチームにとって最適な判断が一致するとは限らないのだ。


ライリー・グリーンがア・リーグMVPを受賞する
アンソニー・カストロビンス(MLB.com)

正直に言えば、この記事の見出しはむしろ「アーロン・ジャッジがア・リーグMVPにならない」かもしれない。というのも、今この瞬間に投票が行われたとすれば、結果はおそらくこんな感じになるだろう:

ジャッジ
ジャッジ
ジャッジの生まれたばかりの娘
ジャッジ
ボビー・ウィット Jr.

とはいえ、昨冬の恒例「超フライングなシーズン予想」で、私はリピート受賞者(ジャッジのような)を避ける方針のもと、タイガースの外野手ライリー・グリーンをMVPに予想していた。なので、良くも悪くも今季はその予想に「契約上」従わねばならない(ちなみにナ・リーグのサイ・ヤング予想はもうシーズン絶望だが、それには触れないでほしい)。
今のところ、ジャッジが他の選手を完全に圧倒しているが、それは2023年の今頃も同じだった。そしてその後、彼は中足のケガで離脱した。もちろん、彼にケガをしてほしいとは思っていない(それでたまたま自分の予想が当たったとしても嬉しくない)が、ケガがキャリアの一部であることは否定できない。つまり、何が起きてもおかしくはないということだ。

とはいえ、今回の本当の目的は、24歳のライリー・グリーンの評価をもっと上げることだ。彼はシーズン序盤の不振から立ち直り、先週は「プレイヤー・オブ・ザ・ウィーク級」の活躍を見せた。昨年示した選球眼の進化は今年に完全には引き継がれていないが、開幕直後の深刻なスランプを乗り越え、今ではタイガースで最も安定した日々の戦力としてチームを牽引している。そしてタイガースは、本当に「咆哮」する準備が整ってきたように見える。

…いや、でも結局ジャッジが私や投手陣を黙らせる活躍を続けるかもしれないけどね。

ルイス・アラエスは今季の三振数が20未満になる
デビッド・アドラー(MLB.com)

この予想、大胆すぎるだろうか?むしろ「三振15以下」あるいは「10以下」と言ったほうがよかっただろうか?
とはいえ、アラエスは「三振しない王様」であり、今季はその傾向がさらに強まっている。パドレスの一塁手となった彼は、なんと今季ここまで30試合・131打席で三振はわずか3回。三振率にして驚異の2.3%だ。現在のペースでいけば、135試合出場・590打席で、最終的な三振数はわずか14回という計算になる。

ちなみに、過去30年間で規定打席に到達しながら三振が20未満だった選手は、パドレスのレジェンド――トニー・グウィン――ただ一人。彼はキャリアで5度もシーズン三振数20未満を記録しており、その最後は1998年(505打席で18三振)だった。なお、アラエスはすでに3年連続で首位打者を獲得しており、今季もその資格を十分に持っている。

もちろん、たとえアラエスであっても、このペースを1年間維持するのは容易ではない。彼のキャリアで最も三振数が少なかったのは昨年の29回で、首位打者を獲得した3年間の平均は35回。そこからさらに10回近く三振を減らすというのは、相当ハードルが高い。それでも、もしそれを成し遂げられる選手がいるとすれば、それは間違いなくアラエスだ。

昨年、彼は141打席連続ノー三振という“狂気の記録”を打ち立てている。さらに、昨年の6月以降、1か月で3三振以上したことすらない。アラエスは、いまのMLBで唯一、トニー・グウィンに匹敵する“コンタクトヒッター”の後継者として見られる存在なのだ。


オリオールズは今季90敗を喫する
ラッセル・ドーシー(Yahoo Sports)

まだメモリアル・デー(5月最終月曜)すら迎えていないが、すでに今季のオリオールズは失速の気配を見せている。2023年と2024年に90勝以上を挙げてポストシーズンに進出したこの球団にとって、2025年は本来「飛躍の年」となるはずだった。しかしここまでを見る限り、その期待は裏切られている。

そして2025年になっても、オリオールズの“弱点”は依然として変わらない。それは先発投手陣だ。

オフシーズンにコービン・バーンズがFAで退団したが、球団はローテーション補強にほとんど手を打たなかった。そのツケが今、明らかになっている。現在オリオールズの先発防御率は5.77で、MLB全体28位に沈んでいる。

昨シーズン、先発防御率で25位以下だった6チームのうち、5球団は90敗以上を喫している。唯一90敗を免れたのはリーグ随一の打撃力を誇ったアリゾナ・ダイヤモンドバックスだったが、今のオリオールズはそこまでの打線を持っているとは言いがたい。

それだけに、「ボルチモアの優勝ウィンドウは閉まりかけている」という感覚は、にわかには信じがたいものの、現実味を帯び始めている。

引用元:mlb.com

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