打撃でチームをリードする意外な選手10人とは?

MLB ジョナサン・アランダ ハリソン・ベイダー

シーズンが進むにつれて、ケガ、スランプ、そしてブレイクにより打順が入れ替わり、思わぬ選手がチームの主軸となることがあります。2025年シーズンも例外ではなく、予想外の選手たちが打線の中で最も生産的なバッターとして活躍しています。メモリアルデー(5月末)の到来を前に、「現在チーム内で最も打撃成績が優れている意外な選手」トップ10をご紹介します。

※以下のランキングは、wRC+(Weighted Runs Created Plus)を基準にしています。wRC+ は、打者の総合的な得点創出能力を示す指標で、リーグ平均と本拠地球場の影響を考慮してスコア化されています。100が平均値で、100を超えるほど優秀です。(対象:今季120打席以上の選手/データは現地木曜日時点)

目次

ジョナサン・アランダ(レイズ/一塁手)

今季のレイズ打線は不調が目立ち、90打席以上の打者10人のうち6人がwRC+100未満(=リーグ平均以下)という厳しい状況。しかし、そんな中でひときわ輝いているのが26歳のジョナサン・アランダです。彼は現在wRC+177(リーグ全体5位)を記録しており、文句なしのチームNo.1打者。しかも単なる運ではなく、しっかりした裏付けもあります。

  • ハードヒット率:58.7%(98パーセンタイル)
  • 期待打率(xBA):.310(93パーセンタイル)
  • 期待wOBA:.420(96パーセンタイル)

本格的なブレイクイヤーとなる可能性が高く、長打力・選球眼・コンタクト能力のバランスに優れた打者として、今後も注目が集まりそうです。


ハリソン・ベイダー(ツインズ/外野手)

ベイダーは本来守備力に定評がある外野手として知られていますが、2025年シーズンは攻守にわたってバランスの取れた活躍を見せています。30歳のベテランはここまで39試合で打率.300、4本塁打、wRC+146という成績を残しています。とはいえ、ベイダーがwRC+でチームトップに立っているという事実は、ツインズ打線全体の不振を物語っている側面もあります。

最近は12連勝中と好調を取り戻しつつありますが、依然としてwRC+が106を超えている打者(100打席以上)は、ベイダーとバイロン・バクストン(wRC+130)の2人だけです。ベイダーの今季の打撃貢献は、ツインズの攻撃陣において極めて貴重な存在となっています。


リース・ホスキンス(一塁手/ブリュワーズ)

2025年シーズンを迎えるにあたり、ホスキンスの全盛期はすでに過ぎたのではないかという見方もありました。2023年シーズンを左膝の前十字靱帯断裂からの回復で全休し、2024年にブリュワーズで復帰したものの、当時フィリーズで見せたようなインパクトには届かない、悪くはないが物足りないシーズンに終わりました。

しかし、2025年のホスキンスは完全に復活しています。バットに当てる頻度が増しただけでなく、スイートスポット率やハードヒット率、引っ張り方向のフライボール率も上昇しており、より質の高い打撃内容を記録しています。

その結果、打率.292/出塁率.396/長打率.462、wRC+140という好成績をマークし、打線をけん引。ウィリアム・コントレラス、クリスチャン・イエリッチ、ジャクソン・チョーリオといった主力がやや低調な中で、ホスキンスの存在がブリュワーズの勝率5割前後を支える原動力となっています。


ライアン・オハーン(DH/オリオールズ)

ボルチモア・オリオールズの15勝27敗という期待外れの成績の最大の要因は投手陣の不調とされていますが、攻撃面も事前の予想に比べると大きく物足りない状況です。

ガナー・ヘンダーソン(wRC+123)はスロースタートから徐々に調子を上げてきたものの、アドリー・ラッチマン、ジョーダン・ウェストバーグ、タイラー・オニール、ライアン・マウントキャッスルといった主力たちはまだ本調子にほど遠い状態です。

そんな中、31歳のオハーンはプラトーン起用ながらしっかりと役割を果たし、打率.295、本塁打7本、OPS.896、wRC+159(127打席)とチームを救う存在になっています。打線が低迷する中で、オハーンの活躍は非常に貴重な存在となっています。


ジェレミー・ペーニャ(SS/アストロズ)

2022年にア・リーグ優勝決定シリーズとワールドシリーズのMVPを受賞する鮮烈なルーキーイヤーを過ごしたジェレミー・ペーニャですが、その後2年間はやや印象の薄い成績に終わっていました。しかし今季、いよいよスター選手への飛躍を果たす兆しを見せています。

カイル・タッカーのトレードが行われ、ホセ・アルトゥーベやヨルダン・アルバレス、新加入のクリスチャン・ウォーカーら主力がなかなか調子に乗れない中で、ペーニャはヒューストンの攻撃陣を支える存在となっています。

今季の成績は、打率.313/出塁率.363/長打率.470、本塁打6本、盗塁6、wRC+137という素晴らしい数字を記録しており、wRC+ではアイザック・パレデス(136)を僅かに上回ってチームトップとなっています。攻守両面でアストロズに欠かせない存在となりつつあります。


ジョシュ・スミス(ユーティリティ/レンジャーズ)

昨季に続き、今季もジョシュ・スミスは「起用しない理由が見つからない男」として、ブルース・ボウチー監督の信頼を集めています。27歳のスミスは、2025年シーズンで投手と捕手以外のすべてのポジションに出場しており、その万能ぶりは際立っています。

しかし、彼がラインアップに名を連ね続けている理由は守備の多様性だけではありません。スミスは打撃面でも絶好調で、今季は打率.306、4本塁打、4盗塁、wRC+は139を記録。打撃内容も優れており、チームの得点創出に大きく貢献しています。

コーリー・シーガーが複数回故障者リスト入りし、他のレギュラー陣も調子を欠く中、スミスの存在はテキサス・レンジャーズにとって不可欠なものとなっています。攻守両面でチームを支えるスミスは、まさに“縁の下の力持ち”として躍動しています。


パヴィン・スミス(DH/ダイヤモンドバックス)

ダイヤモンドバックス打線の中心選手といえばコービン・キャロルですが、今季ここまでwRC+167を記録しているのはパヴィン・スミスです(※ただし出場機会は限定的)。オフにジョク・ピーダーソンがFAで退団したことで、左打ちのスミスが対右投手用の指名打者(DH)としてレギュラーの座を獲得しました。

29歳のスミスは、昨年の短期間での成功(wRC+142)を今季もしっかり再現。打率は.519と高く、出塁率は.436でMLB全体2位(100打席以上)という驚異的な数字を残しています。

目立ちやすいスター選手ではありませんが、スミスはダイヤモンドバックス打線の中で非常に重要な役割を担っており、チームの得点力を底上げする存在となっています。


ジョージ・スプリンガー(外野手/ブルージェイズ)

4月にウラディミール・ゲレーロJr.との14年総額5億ドルの超大型契約延長が発表されたものの、ブルージェイズはここまで43試合で21勝22敗と足踏み状態が続いています。そんな中で35歳のスプリンガーがまさかの復活劇を見せ、チームを大きく支えています。

ここ数年は不振に苦しんでいたスプリンガーですが、2025年は打席でのアプローチを改善し、ボールに対する打撃インパクトも格段に向上。

  • バレル率は18.5%(全体97パーセンタイル)
  • 四球率は15.4%(全体94パーセンタイル)

いずれもキャリア最高レベルの数字で、ここまでwRC+151という驚異的な成績を残しています。ブルージェイズが大きく崩れずにいられるのは、スプリンガーのこうしたベテランとしての復活があるからこそと言えるでしょう。


メイソン・ウィン(遊撃手/カージナルス)

カージナルスが今季の流れを好転させたタイミングは、ウィンが4月22日に故障者リストから復帰した時とぴったり重なります。当時チームは9勝14敗と低迷していましたが、その後の21試合で15勝6敗と大きく巻き返しを図っています。その中心にいたのが、23歳の若きショートストップ、ウィンです。

復帰後の成績は圧巻で、以下のような好成績を記録中です:

  • 打率:.319
  • 出塁率:.407
  • 長打率:.580
  • 本塁打:4本
  • 二塁打:6本
  • 打点:12
  • 得点:15

この活躍により、シーズン通算のwRC+は137まで上昇。昨季(wRC+103)は守備面での貢献が中心だった彼ですが、2025年は打撃面でも大きく成長を遂げており、カージナルス浮上の原動力となっています。


ジェイコブ・ウィルソン(遊撃手/アスレチックス)

3度の首位打者に輝いたルイス・アラエスを彷彿とさせる打撃スタイルを持つウィルソンは、ここ数年で最も好調な滑り出しを見せているアスレチックスを支える存在となっています。2024年に好成績を残したブレント・ルーカー、ローレンス・バトラー、JJ・ブレデイが軒並み成績を落とす中で、チームの1試合平均得点は昨年の3.97点から4.45点に上昇。その改善の中心にいるのが、新人遊撃手のウィルソンです。

ウィルソンの成績(176打席時点)は以下の通り:

  • 打率:.347
  • 本塁打:5本
  • 二塁打:9本
  • 三振数:わずか9回(非常に高いコンタクト能力)

その結果、wRC+は149を記録しており、アスレチックス内でトップなだけでなく、ナショナルズのCJ・エイブラムス(157 wRC+)に次ぐ、全遊撃手中2位の成績を残しています。アスレチックス再建の鍵を握る存在として、今後の成長にも大きな期待がかかります。


トーマス・ハリガン:MLB.com記者
引用元:mlb.com

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