初開催のライバル・ウィークエンドで最も魅力的な5試合


今週末は、メジャーリーグベースボール(MLB)初の公式「ライバル・ウィークエンド」開催週だ。MLB自身の言葉を借りれば、これは「地理的に関係の深いライバル同士の対戦を特集するイベント」であり、すべての球団があらかじめ指定された“ライバル”チームと対戦するようスケジュールが組まれている。(インターリーグ11カード、リーグ内対戦4カード)

このライバル対決は、歴史的・地域的な背景を踏まえて編成されているが、今年のベストマッチアップの多くは、今まさに順位争いの真っ只中にあるチーム同士という点でも非常に注目されている。

もちろん、ライバル・ウィークエンドは“どちらが上か”というプライドをかけた戦いでもあるが、それだけでなく、実際の順位表に直接影響する重要なカードも多く含まれている。このイベントでは、今のMLBでも特に魅力的で実力のあるチーム同士の対戦が見られるのだ。

以下に、「Booking.com presents ライバル・ウィークエンド」で特に注目すべき5つの好カードを、“今この瞬間”のチームの実力を基に紹介する。


目次

メッツ vs ヤンキース

このカードは、名物「サブウェイ・シリーズ」らしく、期待されるすべてのドラマが詰まっている。さらに今回は、フアン・ソトが“憎きメッツの一員”として初めてヤンキー・スタジアムに乗り込むという、これまで以上に話題性と緊張感に満ちた展開となっている。

もちろん、ニューヨークの覇権争いという構図だけでも十分に熱いが、実は今シーズンの両チームは、メジャー全体でも屈指の実力と話題性を兼ね備えた存在なのだ。メッツは、シーズン序盤に驚異的な個人パフォーマンスの連発で一気に加速したが、現在はナ・リーグ東地区でフィリーズの猛追を感じ始めている状況だ。

ちなみに補足しておくと、この瞬間、ソトはチーム内で“3番目に有力なMVP候補”という事実もある。いかにチーム全体が充実しているかがわかるだろう。

ヤンキースは現在ア・リーグ東地区の首位をキープしており、アーロン・ジャッジが史上屈指のシーズンを築きつつあるとも言われているが、実はレッドソックスとのゲーム差は3と意外に接戦。他のチームも調子を上げてきており、油断できない展開となっている。

メッツもヤンキースも、非常にレベルの高い地区で激しい戦いを強いられている。そんな中でのこのサブウェイ・シリーズは、ただの「ライバル対決」以上の意味を持つ。今季の命運を左右する一戦、その1勝1敗が、最終的な順位やポストシーズンに大きく影響する可能性がある――そうした緊張感が詰まった対戦なのだ。

マリナーズ vs パドレス

このカードは、地理的には「ライバル」と言えるかどうか微妙な距離感だが(シアトルとサンディエゴの距離は、シカゴとソルトレイクシティ並み)、フィールド上の内容に限って言えば、今季屈指の注目カードであることは間違いない。

マリナーズは2022年にポストシーズン進出を果たしたものの、その後数年はあと一歩届かないシーズンが続いていた。しかし今季は、攻守ともにバランスの取れた“完成形に近いチーム”として戻ってきた印象が強い。特に「ビッグ・ダンパー」ことカイル・ラリーを中心にした打線は、本物の破壊力とワクワク感を持っている。

一方パドレスも負けてはいない。フェルナンド・タティスJr.がMVP候補クラスの活躍を見せ、さらに今季からはジャクソン・メリルが健康な状態で打線に厚みを加えている。攻撃陣の爆発力はリーグでも指折りだ。

加えて、両チームは先発ローテーションもMLB屈指の安定感を誇る。このカードは、ある意味“通好みのワールドシリーズ対決”とも言える。

もしこれが実際のワールドシリーズだったら?1980年代風の復刻ユニフォームを着て戦ってほしい。そう思わせるほど、魅力とポテンシャルにあふれたカードだ。


このカードは、球団側が本気で盛り上げようとしている点でもボーナスポイントが加わる。両チームは、パール・ジャムのフロントマン=エディ・ヴェダーに敬意を表し、この対戦を「ヴェダー・カップ」と命名。ヴェダーは両都市にゆかりがあり、大の野球ファンでもある。

シリーズの勝者には、ヴェダー本人のギターをあしらったトロフィーが贈られる予定だ。もしかすると、“エアギター・ホームランセレブレーション”が初めて飛び出す瞬間を目撃できるかもしれない。

ブレーブス vs レッドソックス

ブレーブスは今季開幕から苦しいスタートを切ったが、ついに勝率5割まで巻き返してきた。しかも、もうすぐスペンサー・ストライダーとロナルド・アクーニャJr.が復帰予定。つまり、いまの成績は「序章」に過ぎず、この先に本領発揮が待っているチームだ。ただし、ナ・リーグ東地区ではメッツやフィリーズを追いかける展開となるため、プレーオフ進出へのハードルは決して低くない。

対するレッドソックスも、今季は様々なドラマやケガに見舞われた。特にアレックス・ブレグマンの獲得は、今季を“飛躍の年”と予感させるものだったが、現状はほぼ5割前後を行き来するもどかしい状態にとどまっている。

ただ、両チームともに「ポストシーズン進出のポテンシャルは間違いなくある」という点では共通している。あとは、それを“いつ”本格的に見せてくるのか――それが今シリーズ最大の注目ポイントだ。

この「ブレーブス vs レッドソックス」のライバル関係は、現在の地理的にはややピンと来ないかもしれないが、実はかつては完全に“同じ街のライバル”だった。ブレーブスは1952年までボストンに本拠地を置いていたため、当時は正真正銘の“ボストン・ダービー”だったのだ。(1953年にミルウォーキーへ、1966年にアトランタへ移転)

カージナルス vs ロイヤルズ(ミズーリ州対決)

1か月前(4月19日時点)までは、「このカードに注目する人は少なかった」かもしれない。

その時点で、カージナルスは3連敗中で、記者たちからは「クローザーのライアン・ヘルズリーをトレードするのか?」「ノーラン・アレナドをまた放出するのか?」といったネガティブな質問が飛び交っていた。

一方のロイヤルズも、前年はプレーオフ進出を果たした有望株だったが、6連敗中とさらに状況が悪く、「今季は思ったより厳しそうだ」という空気が漂っていた。

──だが、それはもう過去の話だ。

4月19日以降、ロイヤルズはMLB全体で最多勝を記録。絶好調のローテーション、そしてもちろんボビー・ウィットJr.の活躍がけん引している。

さらに驚きなのはカージナルスだ。直近では9連勝を記録し、一時は再建モードかと思われたチームが、“若手が主役の面白いチーム”として再浮上してきた。中でも「ビクター・スコット II」は、“1980年代のカージナルスらしさ”を感じさせる選手として注目されている。

この2チームは1980年代に幾度も激戦を繰り広げてきた因縁の相手だが、同時に両方が好調という年は意外と少ない。今年はその数少ない“両者本気のミズーリ州対決”。しかも順位にも影響する重要な一戦なのだ。


アスレチックス vs ジャイアンツ

──たしかに、もはや「ベイエリア対決」とは呼べなくなったかもしれない。(アスレチックスがラスベガス移転を控えているため)しかし、今でもこれは“北カリフォルニアのライバル対決”に変わりはない。そして驚くべきことに、このカードが今季の“優勝争い”の一角を担っている**というのが、最大の注目点だ。

アスレチックスは、開幕前の予想を良い意味で大きく裏切ってきた。シーズン序盤には地区首位にあと1勝と迫る快進撃を見せ、もしもあの「9回に逆転された試合」を勝っていれば、一時は首位に立っていた可能性すらあった。

一方のジャイアンツも、バスター・ポージーの新体制下で大躍進中。最近やや調子を落としているものの、それまではドジャースやパドレスと堂々と首位争いを演じていた。そして失速したとはいえ、地区争いから完全に脱落したわけではない。両チームの本拠地は物理的に離れつつあるが、このカードの“重要度”は、むしろかつて以上に高まっている。順位的にも、物語的にも、今こそ“真の意味で熱いライバル対決”なのだ。

引用元:mlb.com

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