シカゴ — カブスの救援投手ネイト・ピアソンは、信じられないという表情でマウンド上に立ち尽くしていた。あごが外れそうになり、両手は頭の上へ。左翼線のファウルゾーンに座り込んだイアン・ハップは、片膝をつきながら、あり得ないボールをキャッチし、そのままボールを内野に返した。
土曜日の試合、パドレスを7対1で下したカブスにとって7回表のこのプレーは、ある意味で象徴的だった。この日はハップにとって、カブスでの通算1000試合出場という記念すべき日。その節目に、彼がこのチームの中心的存在へと成長した理由をファンに示すかのような、驚異的なダイビングキャッチを披露した。
代打ギャビン・シーツが打った左翼線へのスライス気味の飛球に対し、ハップは全力で追いかけ、身を投げ出して捕球。その姿に、スタンドからは大歓声が巻き起こった。
「素晴らしいプレーだった」と、カブスのクレイグ・カウンセル監督は称賛した。「打球が飛んだ瞬間、“ああ、ヤバいな”って思ったよ。」
リグリー・フィールドの左翼側フェンスは飛び出すような形状になっており、カブスのダグアウトからは、あのエリアでのプレーが見えにくい。だが、観客が一斉に息を呑み、その直後に大歓声が上がったことで、監督は「ああ、ハップが捕ったな」とすぐに察したという。
「観客が助けてくれたね。見事なキャッチ、見事な努力だった」とカウンセル監督は語った。
このプレーの捕球確率は、スタットキャストによるとわずか25%だった。しかし、ハップはここ数年、リグリー・フィールドの左翼の守備を徹底的に学び、熟練の域に達している。ファウルラインから数フィートしか離れていないサイドウォールがある特殊なエリアを巧みに攻略してきたことが、彼がカブス外野手として唯一、通算3度のゴールドグラブ賞を受賞した理由のひとつだ。
ハップは、左翼のフェンス際でのプレーを得意としており、通常は沈むようなライナーを処理する際には足から滑り込むスタイルで身体を守ることが多い。しかし今回のプレーでは、前方にダイブしてキャッチ、そのまま勢いよく倒れ込み、ブリック(レンガ)を覆う薄いパッドに体ごとぶつかる形となった。
「リグリーはファウルゾーンがすごく狭いんだ」とカブスの遊撃手ダンズビー・スワンソンは語った。
「外野の形自体が他の球場とは全然違う。でも、彼は本当に“プロ”だよね。いつでも準備を怠らないし、自分がフィールドのどこにいるか常に把握してる。そういう感覚って、守備の技術以上にすごいことだと思う。」
この日は、北シカゴのファンにとって、ハップに大きな拍手を贈る機会がもう一つあった。
1回表が始まる前、リグリー・フィールドに詰めかけたファンたちは、通算1000試合出場を達成したハップに盛大なスタンディングオベーションを贈った。カブス球団史上、1000試合出場を果たした32人目の選手であり、カブスにドラフト指名され、1000試合以上プレーした選手は、マーク・グレース、ショーン・ダンストンに続いて3人目となった。
ハップはヘルメットを取り、観客席に向かって掲げた。その視線の先には、パドレスのダグアウトから見守るかつての恩師――元カブス外野手のジェイソン・ヘイワードの姿もあった。
「正直、あそこで感情がこみ上げないようにするのが大変だった」とハップは語った。
「ファンやチームメートにヘルメットを掲げて挨拶できたこと、そしてジェイソンが相手ベンチにいたこと…すべてが本当に特別だった。本当にクールな瞬間だったよ。」
2015年のドラフト1巡目でカブスに指名されたハップは、メジャー通算1000試合目を、カブスでの1000試合目として迎えたMLB史上21人目の選手となった。カブスでは、アンソニー・リゾー(2018年)とアラミス・ラミレス(2011年)がこの記録を達成して以来となる。
なお、現在1000試合以上を同一球団でプレーしている現役選手は、ハップを含めてわずか8人しかいない。
「僕にとって一番意味があるのは、“同じチームで1000試合”というところだよ」とカウンセル監督は語った。
「今の時代の野球では、そんなことはなかなか起こらない。本当に珍しいことなんだ。それは、イアンがどういう姿勢でこのチームに取り組んできたかを物語っていると思う。簡単にできることじゃない。」
そんな節目の試合で、ハップは初回にサンディエゴのニック・ピベッタの投球をセンター奥深くへ弾き返し、先頭打者としてツーベースヒットを放ち、ファンへの感謝をバットで表現した。
さらに2回には四球を選んで出塁し、その直後、カイル・タッカーの押し出し四球につながるなど、カブス打線が勢いに乗るきっかけを作った。
この日は、先発左腕マシュー・ボイドが6回無失点の好投を見せ、ハップの記念すべきゲームを見事な勝利で彩った。
「このユニフォームで、ここシカゴで1000試合を迎えられたこと――」とハップは語った。
「この街で、たくさんの素晴らしい人たちと出会いながらやってこれたこと。コーチ陣、スタッフ、サポートしてくれたすべての人たちのおかげで、この記録を達成できた。本当に意味のあることだよ。」
「ファンの皆さんと一緒にこの瞬間を迎えられたこと、そしてカブスの一員でいられることを、心から誇りに思ってる。」
ジョーダン・バスティアン:MLB.comカブス担当
引用元:mlb.com