プレーオフがまだ見えている出遅れた6球団!?

メモリアルデーを過ぎ、シーズンの3分の1が終わった今、順位を見直すにはちょうど良いタイミングです。もちろん、この時点で地区の首位に立っていれば大きなアドバンテージですが、ここまで苦戦しているチームにもまだ十分に希望はあります。

昨年のプレーオフ進出チームのうち、アストロズ、メッツ、タイガースの3球団は、メモリアルデー時点で勝率5割を下回っていたにもかかわらず、その後の巻き返しでポストシーズンに進出しました。パドレスも同時点で勝率5割ちょうどでした。

では、今年も巻き返してプレーオフ進出を果たす可能性があるチームはどこでしょうか? ここでは、スロースタートを乗り越える力を秘めた6球団を紹介します。

ブレーブス

2025年の成績:25勝28敗(ナ・リーグ東地区3位)

うまくいっていない点: 攻撃陣です。アトランタはナ・リーグで得点数13位、下にはロッキーズとパイレーツしかいません。正規メンバーのうち4人がOPS.700未満で、オールスターに3度選ばれた二塁手オジー・アルビーズ(.654)や中堅手マイケル・ハリス2世(.587)といった主力選手たちが期待を大きく下回っています。また、過去4シーズン中3回MVP投票対象となった三塁手オースティン・ライリーも、OPSは.752止まり。全体として2〜5番打者の得点圏でのOPSは.631と、攻撃力不足が深刻です。

それでもプレーオフに行ける理由: ロナルド・アクーニャJr.がACLの怪我から復帰し、すでにリードオフで打ちまくっています。その存在が打線全体に火をつけることが期待されます。同様に、先発右腕スペンサー・ストライダーも復帰し、本来の圧倒的な投球内容を取り戻しつつあり、ナ・リーグサイ・ヤング賞の現保持者クリス・セールが率いる先発陣にさらに厚みを加えています。打線では、一塁手マット・オルソンが5月10日以降OPS.890と上昇中で、指名打者マルセル・オズナ(出塁率.425)も安定して出塁を重ね、ルーキー捕手ドレイク・ボールドウィン(OPS.912)が驚きの活躍を見せています。

さらに重要なことに、彼らにはこの状況を跳ね返してきた実績があります。過去4シーズン中2度、開幕から53試合を終えた時点で勝率5割未満でしたが、いずれもポストシーズンに進出しています。2021年にはそのままワールドシリーズを制し、2022年には101勝で地区優勝を果たしました。つまり、「アトランタの夏のように熱くなる」このチームには、巻き返しの前例があるのです。

ジェイソン・フォスター


ブリュワーズ

2025年の成績:29勝28敗(ナ・リーグ中地区3位)

うまくいっていない点:ブリュワーズは毎年のように下馬評を覆してきましたが、今季はまさに「平凡そのもの」といえるパフォーマンスで、勝率5割をわずかに上回る程度。得失点差はわずか「+1」(得点246、失点245)です。ここ数年で主力選手を多く失っており、フリーエージェントでウィリー・アダメスを、トレードでコービン・バーンズやデビン・ウィリアムズを放出。主力に不調が出ると、チームを支える人材層が不足しているのが現状です。今季はその「不調」に苦しめられており、ウィリアム・コントレラス、ジャクソン・チョーリオ、クリスチャン・イェリッチらが期待されたほどの成績を残せていません。

それでもプレーオフに行ける理由: 波はあるものの、ブリュワーズは依然としてナ・リーグのワイルドカード争いの中に位置しており、最近の打線復調が続けばさらに順位を上げられる可能性があります。

5月12日〜17日に5試合中4試合で無得点に終わった直後から、コントレラスとイェリッチの調子が上がってきており、その後の試合では平均4.8得点を記録しています。21歳のチュリオはまだ本領発揮とは言えませんが、ポテンシャルは高く、長く不振が続くタイプの選手ではありません。

投手陣にも明るい兆しがあります。ブランドン・ウッドラフ(右肩手術、足首の腱炎)とホセ・キンタナ(左肩の炎症)が間もなく復帰予定。すでに先発陣は健闘を見せており、毎年のように「どこから見つけてきたのか」と思わせる投手を発掘しています。

ブルペンの防御率はやや高め(4.55)ではあるものの、終盤を任せられる信頼の中継ぎ陣は揃っており、プレーオフ争いを戦い抜く土台はできています。

トーマス・ハリガン


レッドソックス

2025年の成績:27勝31敗(ア・リーグ東地区4位)

うまくいっていない点:まずはラファエル・デバースを巡る論争です。これは実際には彼のプレーには影響を与えておらず(OPS.932、12本塁打)むしろ好調なのですが、スプリングトレーニング以来、チームにとってはネガティブな話題となっています。さらに、チームの投手陣はMLB全体で17位タイの防御率(3.99)と中途半端な成績で、リーグ最悪の「14回のセーブ失敗」を記録しています。また、1点差の接戦で「6勝15敗」と大きく負け越しており、これはホワイトソックスを除けばMLB最下位の数字です。追い打ちをかけるように、主力アレックス・ブレグマンが右太ももの張りで夏まで離脱予定という悪材料もあります。

それでもプレーオフに行ける理由: 「運が悪かった」と言える部分も多いです。得失点差は「+12」で、期待勝敗(ピタゴラス勝率)では「30勝28敗」相当。これは現在の成績よりも上で、プレーオフ圏内に入り、地区首位のヤンキースにも手が届く位置にあることを意味します。ブレグマンの離脱は確かに痛手ですが、デバースに加えて、ギャレット・クロシェ、ジャレン・デュラン、そしてリーグ屈指の若手有望株たちが揃っており、今後の上昇余地は大きいです。レッドソックスがプレーオフ戦線に再浮上する可能性は十分にあります。

ブレント・マグワイア


レンジャーズ

2025年成績:27勝30敗(ア・リーグ西地区3位)

うまくいっていない点:ほとんどの選手が打てていないのが現状です。ジョシュ・ヤング(打率.274、7本塁打、20打点)とワイアット・ラングフォード(10本塁打、21打点、10盗塁)は奮闘していますが、チームを牽引するほどの存在にはなっていません。コーリー・シーガー(打率.288/出塁率.333/長打率.500)は安定していますが、右ハムストリングの故障で約1か月を欠場し、2度もIL(負傷者リスト)入りしました。ジェイク・バーガーはあまりに不調だったため、一時的に3Aに降格。マーカス・セミエンは依然として打率2割以下で苦しんでおり、アドリス・ガルシアも2023〜24年と比べて長打力が激減し、2025年は長打率が.400を下回っています。さらに追い打ちとなったのが、オフに加入したジョク・ピーダーソンが打率.131のまま、5月24日に死球で右手を骨折したこと。2024年に故障続きだったプレーオフのヒーロー、エバン・カーターも右太もも裏の怪我でわずか11試合出場にとどまっています。

こうしたすべての要素が重なり、チームのOPSは.635とMLB最下位という悲惨な攻撃成績に陥っています。

それでもプレーオフに行ける理由: ローテーションが非常に優秀だからです。ジェイコブ・デグロム(防御率2.42、WHIP 0.96)は、満を持してメジャー復帰し素晴らしい内容を披露。ネイサン・イオバルディとタイラー・マーリーも防御率2点未満とほぼ打たれていません。さらに、ここ数年「MLBワーストの先発投手」とまで言われたパトリック・コービンが、今季は“普通に戦力になる”レベルまで復活しています。もちろん、これらの先発陣には故障歴が多く耐久性の不安はあります。実際、イオバルディは最近の登板中に右上腕三頭筋の張りで途中降板しました。それでも、ジャック・ライターやクマー・ロッカーの昇格候補も控えており、ローテの層は厚くなりつつあります(ロッカーは現在右肩のケガから復帰途上)。

実際、レンジャーズ先発陣の成績はMLB最高水準です。

  • 防御率:2.87(MLB1位)
  • 被打率:.216(ヤンキースに次いで2位)
  • WHIP:1.09(MLB1位)

このまま投手力を維持し、シーガーの復帰を機に攻撃陣がほんの少しでも援護できれば、プレーオフ進出は現実的といえます。

シャーンティ・セペ=チェプル


ダイヤモンドバックス

2025年成績:27勝29敗(ナ・リーグ西地区4位)

うまくいっていない点:2025年のここまでで、先発ローテーションもリリーフ陣も全体的に低調です。中でも注目されているのがエース右腕のザック・ギャレンで、水曜日のパイレーツ戦では5回を投げて6失点(自責5)と打ち込まれ、防御率は5.54にまで悪化しました。コービン・バーンズとメリル・ケリーはまずまずの内容ですが、左肩の炎症からの復帰を目指しているエドゥアルド・ロドリゲスは、今季9先発で防御率7.05と苦戦しています。ブルペンも深刻で、チームの救援防御率は5.49とMLB全体で27位。特に重要な中継ぎの一人であるケビン・ギンケルは、右肩の炎症で開幕1か月を欠場し、復帰後も13登板で防御率12.60という惨憺たる数字です。直近では火曜日の試合で、6対2とリードしていた8回にリリーフ陣が7点を失って逆転負けを喫し、ブルペンの課題を再び浮き彫りにしました。

それでもプレーオフに行ける理由:投手陣に不安を抱えながらも、ダイヤモンドバックスは勝率5割近くを維持しており、連勝をきっかけにNL西地区の争いに戻れる位置にいます。特に打線は強力で、チームOPSは.776とMLB全体4位の好成績。コービン・キャロルは2023年の新人王シーズンを彷彿とさせる活躍を見せており、今季も再びMVP候補の風格を漂わせています。ヘラルド・ペルドモもブレイク中で、打率.292/出塁率.391/長打率.453に加え、6本塁打・11盗塁と攻守で存在感を発揮。さらに、常に脅威となるケテル・マルテや長距離砲のエウヘニオ・スアレスといった面々も健在です。

投手陣さえ立ち直れば、シーズン終盤に非常に手強いチームになる可能性を秘めています。ギャレンはこれまでに2度のサイ・ヤング賞投票トップ5入りを果たしており、通算防御率3.46の実績からも立ち直る可能性は高いです。ブルペンについては、トレード期限前の補強が鍵になるかもしれません。今季はクローザーを固定せず「クローザー・バイ・コミッティ(複数人による抑え継投)」で対応してきましたが、本格的な守護神の獲得がポストシーズン復帰へのラストピースとなる可能性もあります。

マニー・ランダワ


レイズ

2025年成績:28勝27敗(ア・リーグ東地区2位)

うまくいっていない点:最近はほとんど問題なし。レイズは現在ア・リーグで最も勢いのあるチームで、直近8試合で7勝と絶好調。この連勝によって、4月上旬以来初めて勝率5割超えを果たしました。ただし、この勢いが持続するかは打線の復調にかかっているといえます。特に、ダニー・ジャンセン、ヤンディ・ディアス、クリストファー・モレルといった主力選手たちの打撃成績は物足りず、シーズン2か月経過時点で3人とも長打率が.400未満。チーム全体の長打率も.378と、やや低調な数字にとどまっています。

それでもプレーオフに行ける理由:レイズは例年通り、シーズンが進むにつれて強くなっていくチームです。すでにジョシュ・ロウ(OPS.829)は、開幕戦で斜腹筋を痛めて離脱していたものの復帰し、打線に活気をもたらしています。さらに追い風となるのが、オフシーズン最大の補強であるキム・ハソンの復帰。今週からリハビリ出場を開始しており、近いうちに戦列に加わる見込みです。そして、レイズといえばやはり投手陣。シーズン序盤こそやや出遅れましたが、現在のチーム防御率は3.58でMLB全体9位と、いつもの「レイズらしい」安定感が戻ってきています。さらに今夏にはエースのシェーン・マクラナハンが先発ローテーションに復帰する見通しもあり、こうなれば昨年逃したポストシーズンへの返り咲きも現実味を帯びてきます。

ジャレッド・グリーンスパン


引用元:mlb.com

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