今年のドラフト 新たな有望株10選

ドラフト MLB

MLB Pipelineは先週、ドラフトランキングを従来の100位から150位に拡大し、それに伴いプレシーズンリストにも大きな変更が加わりました。高校内野手イーサン・ホリデイが依然として1位の座を守っていますが、ランキング上位には新たな顔ぶれが多く見られます。

最新の「MLB Pipeline Podcast」では、ジム・キャリス、ジョナサン・メイヨ、ジェイソン・ラトリフの3人がランキングの変動について議論し、特に急上昇している10人の選手に焦点を当てました。その中でも5人の選手はすでに1巡目指名候補としての地位を固めており、さらに5人がそれに続く勢いを見せています。

この上昇株のプロスペクトたちは、高校生と大学生がバランスよく含まれており、特に注目されているポジションは投手と遊撃手です。

目次

ケイド・アンダーソン(Kade Anderson)
左投手/ルイジアナ州立大学(LSU)
ドラフトランキング:44位 → 9位(急上昇)

ジム・キャリスのコメント要約
「アンダーソンはトミー・ジョン手術からの復帰後、LSUでは最初ミッドウィークの先発や週末のリリーフで徐々に起用されていました。ポストシーズンでブルペンから登板したときの投球は非常に良く、評価が一気に高まりました。
みんな彼が飛躍することを期待していましたが、それを実際に確認する必要がありました。彼はレギュラーの先発としてはまだ多く投げていませんでしたが、今季は非常に好調です。

球速だけで圧倒するタイプではありませんが、速球の「浮き上がる感覚(キャリー)」が非常に良く、92〜94マイル(最高97マイル)で伸びのある球を投げます。昨年はカーブを使っていましたが、今季は高スピンのスライダーに切り替え、それがプラス評価を得られる変化球になる兆しを見せています。さらに、チェンジアップも投げる頻度が増えることで良くなってきています。コントロールも安定しており、ストライクも十分に取れている。今季の成長を踏まえると、さらに球速や変化球がレベルアップする可能性もあると見られています。」


リアム・ドイル(Liam Doyle)
左投手/テネシー大学
ドラフトランキング:75位 → 10位(急上昇)

ジム・キャリスのコメント要約
「彼は今季、大学野球で最も打たれない速球を投げている投手です。シーズンを通してNCAAディビジョンIの奪三振数をリードしてきました。
常時ミッド90マイル(約150km/h)、最速99マイル(約159km/h)に達し、高いリリースポイントから放たれるボールは、ストライクゾーン上部で爆発するような軌道を描きます。打者は全く対応できません。

現時点で、3つの55グレードの球種(平均以上)と、圧倒的な速球(グレード70以上の可能性)を持っていると言われています。

ただし、投球フォームが非常にユニークで複雑なモーションなのが特徴です。メジャーリーグのスターターで似たようなフォームの投手を探しても、誰も思いつかないくらい独特です。彼の投球は一見すると「力を抜いている」ようにも見えますが、実際には強い意図を持った投げ方をしているという、少し矛盾するような特徴を持っています。」


スティール・ホール(Steele Hall)
ショート(遊撃手)/ヒューイット=トラスビル高校(アラバマ州)
ドラフトランキング:圏外 → 13位(大幅ジャンプ)

ジム・キャリスのコメント要約
「ホールはもともと2026年ドラフトの対象選手でしたが、昨年11月に再分類(リクラス)して今年のドラフト対象になりました。

バッティング練習ではとても良いスイングを見せていて、広角に打球を飛ばす力があります。ただし、実戦では本塁打を狙いすぎる傾向があり、打撃面の天井(ポテンシャル)は同世代のジョジョ・パーカーやダニエル・ピアースよりはやや低いかもしれません。ただし、バットは問題なく通用するレベルです。

彼の強みは打撃ではなく、走塁と守備にあります。脚は70〜80グレード(エリート級のスピード)で、遊撃手としての守備力は非常に優れており、将来的にもポジションを変える必要はないと見られています。肩も十分に安定した強さを持っています。」


ジョジョ・パーカー(JoJo Parker)
ショート(遊撃手)/パーヴィス高校(ミシシッピ州)
ドラフトランキング:86位 → 14位(急上昇)

ジム・キャリスのコメント要約
「パーカーは身体的な成長とともに筋力と運動能力が向上しており、それに伴って評価も大きく上昇しています。
以前はマーリンズが2巡目で280万ドル以上の契約金で指名したカーター・ジョンソンと比較されていましたが、現在は『ジョンソンよりもパワーがある』という声が多く、その比較は適切ではなくなってきたとも言われています。

彼にはプラス評価の打撃技術(ヒッティング)があり、パワーも十分に備えているため、打撃面で大きな期待がかかっています。さらに、肩の強さ(スローイング)も向上しています。

ただし、内野での動きや俊敏性は平均レベルにとどまっており、そのため将来的には遊撃手よりも二塁手か三塁手の方が適正があると考えられています。」


ダニエル・ピアース(Daniel Pierce)
ショート(遊撃手)/ミルクリーク高校(ジョージア州)
ドラフトランキング:57位 → 18位(急浮上)

ジム・キャリスのコメント要約
「ピアースはバランスの取れた優秀なショートです。打撃面では15本塁打前後のパワー(もう少し上もあるかもしれない)を持ち、俊足(ただしスティール・ホールほどではない)かつ守備も安定している選手です。つまり、攻守走の三拍子が揃ったタイプと評価されています。

他の2人――スティール・ホールやジョジョ・パーカーが話題の中心になりがちですが、スカウトの間では『ピアースの方が最もバランスが良いのでは?』という声も多く、実際には2人よりも先に指名される可能性も十分あるとのことです。」


アレックス・ロディーズ(Alex Lodise)
ショート(遊撃手)/フロリダ州立大(Florida State)
ドラフトランキング:圏外(NR)→ 53位(急浮上)

ジョナサン・メイヨのコメント要約
「ロディーズは、打率・長打力ともに優れた打者で、守備もショートとして良好です。もともと遊撃手を守れるかどうか疑問視されていた時期もありましたが、今はショートとして将来的にもプレーできると見られています。

ただし少し気になるのは、

  • スイング&ミス(空振り)がやや多め
  • ボール球への手出し(チェイス)も少し多め
    といった打席での粗さも残っています。

それでも打率.400超+パワーありという結果を出しており、筋力もついて成長中。サステナビリティ(持続性)はやや疑問ですが、現状のパフォーマンスは目を引くとの評価です。」


JB・ミドルトン(JB Middleton)
右投手(RHP)/サザンミシシッピ大学(Southern Miss)
ドラフトランキング:圏外(NR)→ 31位に急浮上

ジム・キャリスのコメント要約

  • 全米の大学投手の中で、上位5人に入る逸材と評される。
  • 身長は6フィート(約183cm)程度と大柄ではないが、Southern Missでの育成で飛躍。
  • 速球は93〜97マイル(約150〜156km/h)で、
    ・ラン(横変化)
    ・シンク(沈む球)
    ・キャリー(浮き上がる球)
    とバリエーション豊かに操れるのが強み。
  • ゾーン内でも空振りを取れ、飛ばされにくい球質。
  • スライダーは上位80マイル台(約140km/h超)で鋭く2方向に曲がる球、時にカッター風にも使い分ける。
  • 86〜88マイル(約138〜142km/h)のチェンジアップもプラス評価で、落差と横の逃げを持つ完成度の高い球種。
  • 全体的にアスリート性が高く、制球力も安定している。

ジョーダン・ヨースト(Jordan Yost)
遊撃手(SS)/フロリダ州の高校(Florida HS)
ドラフトランキング:圏外(NR)→ 61位に急上昇

ジョナサン・メイヨのコメント要約

  • 春先まではプロ入りを本人もあまり意識していなかった可能性がある。
    → 兄のヘイデンが所属するフロリダ大学への強いコミットメントがあるため、契約金次第では進学の可能性も高い。
  • 元々は身体的な強さや打球のインパクトに欠けていたが、この春に筋力が増し、スカウトの注目を集めるようになった。
  • 最大の魅力は、非常に高いバットコントロール力(bat-to-ball skills)。→ 三振が少なく、コンタクト率が非常に優秀
  • パワーはまだ課題だが、伸びしろがある(プロジェクション型)。
  • 俊足で走塁も優れ、野球センスも高い。→ インスティンクト(野球勘)とIQの評価が高く、守備面でも遊撃手として将来的に十分にやっていけると評価。

ジャック・バウアー(Jack Bauer)
左投手(LHP)/イリノイ州・リンカンウェイイースト高校(Lincoln-Way East HS)
ドラフトランキング:圏外(NR)→ 32位に急上昇

ジム・キャリスのコメント要約

  • Twitterで大きな注目を浴びた理由:
    → 高校生左腕としては史上初の102マイル(約164km/h)を記録。
    → この球速はプロ左腕でも非常に稀で、スカウトの注目が一気に集まった。
  • ただし、短い登板(2〜3イニング)しか経験しておらず、サンプルは少ない。
    → 最近の登板を1試合欠場しているが、「深刻ではない」と言われている。
    → とはいえ、急激な球速アップは将来的な健康リスクにもつながる可能性があり、評価が難しい選手。
  • 変化球の精度も向上中:
    • スライダー: 低80マイル台で横の変化が大きく、以前より良くなっている。
    • チェンジアップ: 投げる頻度が増え、感覚(フィール)も良化してきている。
  • 制球(ストライク率)も安定してきており、課題だったコマンド面も前進中。

メイソン・ネヴィル(Mason Neville)
外野手(OF)/オレゴン大学
ドラフトランキング:圏外(NR)→62位に急上昇

ジョナサン・メイヨのコメント要約

  • 昨年の特徴:
    → パワーはあったが、空振り(三振)が非常に多かった。
    → 特にスイングの穴が目立ち、評価は限定的だった。
  • 今年の改善点:
    • パワーはさらに向上:41試合で21本塁打という驚異的なペース。
    • 三振率は大幅に改善し、四球も増えている。
    • 左投手への対応力も上がってきているとのスカウト評価。
  • スカウトの声:
    → 「このままパフォーマンスを維持すれば、次回の200位までの再ランキングではさらに順位が上がる可能性が高い」。

ジョナサン・メイヨ:MLBPipeline.com記者
ジム・キャリス:MLB.com記者
引用元:mlb.com

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