ジム・キャリスがモックドラフト・シーズンの幕開けを正式に告げてから1週間あまり――今回は、春最初の予想を私が担当する番だ。
まだドラフト本番(7月13日)までは時間があり、1巡目全体を通じて多くの不確定要素が残っているものの、今後のドラフト予測において一貫して語られるであろう2つの大きなテーマがある。
◆ テーマ①:高校生ショート/内野手の層が非常に厚い
以下に示す27指名のうち、10人が高校生の内野手となっている。
◆ テーマ②:大学生投手が上位に浮上している
例年、「完成度の高い大学生投手が目立つのでは?」という期待はあるが、過去2年間の1巡目指名では大学生投手はわずか4人にとどまっていた。だが、今年はそこまで層が厚いとは言えないものの、トップ10内に最大4人が入る可能性もある。この数字は、2020年のドラフト以来の多さとなる見込みだ。
🥇 1位:ワシントン・ナショナルズ
イーサン・ホリデイ(遊撃手/三塁手)
Stillwater高校(オクラホマ州)|ランキング:全体1位
前回に続き、ホリデイが全体1位指名として名前を挙げられているが、この段階で「ナショナルズが確定で彼を選ぶ」と読みすぎるのは禁物だ。チームは現在も7〜8人の候補を幅広く精査中であり、ホリデイやセス・ヘルナンデス(投手)が最有力候補であることに変わりはないが、不確定要素の多い今年のドラフトでは、様々な角度からの検討が行われている。
2位:ロサンゼルス・エンゼルス
ジェイミー・アーノルド(左投手)
フロリダ州立大学|ランキング:全体3位
エンゼルスは過去6回のドラフトで毎回大学出身選手を1巡目指名しており、今回もその方針から外れるとは考えにくい。候補は、左腕投手のアーノルド、リアム・ドイル、ケイド・アンダーソン、もしくは大学トップクラスの打者アイヴァ・アーケット。今週の予想では、2年連続で好成績を残しているアーノルドを選択。ただし、今春は球威の浮き沈みが見られている。
3位:シアトル・マリナーズ
リアム・ドイル(左投手)
テネシー大学|ランキング:全体10位
この順位では、3人の左腕投手が有力候補。その他、大学右腕のカイソン・ウィザースプーンや、アーケット、ヘルナンデスも選択肢に。ドイルは直近の登板でバンダービルト大学相手に7回無失点12奪三振と快投。週末時点で全米大学野球(D1)最多奪三振数、K/9でもトップを記録していた。
4位:コロラド・ロッキーズ
アイヴァ・アーケット(遊撃手)
オレゴン州立大学|ランキング:全体5位
過去2年連続で大学投手を指名しているロッキーズが、今年も同様の方針でいくなら、この順位ではアンダーソンが候補になる。だが、昨年チャーリー・コンドンを選んだように大学打者を優先するなら、17本塁打・OPS 1.100超の成績を誇る遊撃手アーケットが最有力となる。
5位:セントルイス・カージナルス
ケイド・アンダーソン(左投手)
ルイジアナ州立大学|ランキング:全体9位
この位置では大学投手指名が最有力と見られており、上位4人の指名状況次第ではアンダーソンが最も現実的な選択肢になる。もし左腕3人が先に指名されるような展開なら、カイソン・ウィザースプーンの可能性も浮上。また、高校生ショートのイーライ・ウィリッツが初めて候補に入る位置とも言える。
6位:ピッツバーグ・パイレーツ
セス・ヘルナンデス(右投手)
Corona高校(カリフォルニア州)|ランキング:全体2位
パイレーツが2年連続で高校生の超有望株を指名する展開になるかもしれない。昨年のコナー・グリフィンに続き、今年は全体2位評価のヘルナンデスが対象に。今ドラフト最高の投手とされているが、高校生右腕というカテゴリはリスクを懸念して敬遠される傾向も強い。
7位:マイアミ・マーリンズ
ビリー・カールソン(遊撃手)
Corona高校(カリフォルニア州)|ランキング:全体6位
マーリンズは過去2回のドラフトで高校生を選んでおり、2023年は右腕ノーブル・メイヤー、昨年は打者PJ・モルランドを指名した。今年も高校生野手の選択が理にかなっている可能性が高く、特に守備力でトップ評価を受けるカールソンとイーライ・ウィリッツの二択になると見られる。一方、2022年のように大学生を選ぶ方針に転じるなら、ウェイクフォレスト大学のマレク・ヒューストン(SS)も候補になる。
8位:トロント・ブルージェイズ
イーライ・ウィリッツ(遊撃手)
Fort Cobb-Broxton高校(オクラホマ州)|ランキング:全体4位
レジー・ウィリッツ(元ヤンキースコーチ)の息子。年齢的にはこのドラフトクラスで最年少クラスで、それが多くの球団の評価モデルでプラスに働くとされる。全体的にツールの質も非常に高く、この順位より上位で指名される可能性も大いにある。
9位:シンシナティ・レッズ
ジョジョ・パーカー(遊撃手)
Purvis高校(ミシシッピ州)|ランキング:全体14位
レッズはここ2年連続で大学投手(2022年:レット・ラウダー、2023年:チェイス・バーンズ)を指名しているが、今回は高校生ショートストップの豊作年で、そちらに注目している可能性が高い。今回はスティール・ホールやケイソン・カニンガムではなく、ジョジョ・パーカーを選出。ただし、大学投手に方向転換する可能性も残されている。
10位:シカゴ・ホワイトソックス
ジェイス・ラビオレット(外野手)
テキサスA&M大学|ランキング:全体7位
身体能力に優れ、通算67本塁打以上を誇る本物の長打力が魅力。しかし現在の成績は打率.274(SEC内では.258)とやや伸び悩んでおり、打撃の確実性(ヒットツール)に対する懸念が高まっている。それでも、開幕前に全体1位指名候補とされていた逸材であることに変わりはなく、高評価を維持しているチームも多い。
11位:アスレチックス
カイソン・ウィザースプーン(右投手)
オクラホマ大学|全体ランキング:8位
彼の名前はトップ10のあちこちで挙がっている。運動能力に優れた右腕で、4球種を使いこなし、今季は制球力が大きく向上した。大学投手の層は上位で早く尽きてしまうため、アスレチックスが投手を狙うならこのタイミングが最適。
12位:レンジャーズ
ダニエル・ピアース(遊撃手)
ミルクリーク高校(ジョージア州)|全体ランキング:18位
ここからは高校生ショートストップの流れが始まるかもしれない。ピアースはツールと本能、野球センスがバランス良く評価され、急速に評価を上げている。
13位:ジャイアンツ
スティール・ホール(遊撃手)
ヒューイット・トラスビル高校(アラバマ州)|全体ランキング:13位
守備力と俊足(スカウトによっては走力80点満点評価)が魅力の選手。テネシー大学への進学予定だが、ショートとしての資質は十分。
14位:レイズ
ケイソン・カニンガム(遊撃手/二塁手)
ジョンソン高校(テキサス州)|全体ランキング:15位
身長は5フィート9インチ(約175cm)と小柄だが、左打ちの打撃は高く評価されている。昨年夏のパフォーマンスは圧巻で、USA代表でも活躍。
15位:レッドソックス
マレク・ヒューストン(遊撃手)
ウェイクフォレスト大学|全体ランキング:12位
守備に関しては疑いの余地のないショート。カンファレンス戦での打撃成績が若干落ちているが、打撃を信じる球団にとっては15位はお得な指名となる可能性。
16位:ツインズ
ギャビン・カイレン(二塁手)
テネシー大学|全体ランキング:16位
2024年にはルイビル大学で好成績を残し、今季はさらに打撃が向上。現在14本塁打、16三振、OPS 1.200近くという圧倒的な数字を記録中。
17位:カブス
タイラー・ブレムナー(右投手)
UCサンタバーバラ|全体ランキング:17位
直近6登板中5試合で2桁奪三振を記録。今のペースでいけば、17位まで残っているとは考えにくい。
18位:ダイヤモンドバックス
アイク・アイリッシュ(外野手/捕手)
オーバーン大学|全体ランキング:20位
左打ちの強打者で、アプローチの良さと大学での長打力が特徴。2017年にDバックスが1巡目で指名したパビン・スミスを彷彿とさせるという声もある。
19位:オリオールズ
ブレンダン・サマーヒル(外野手)
アリゾナ大学|全体ランキング:22位
今季序盤は全米トップレベルの打撃成績を記録していたが、骨折で約1ヶ月離脱。復帰後は7試合で8安打・8四球・7打点・三振ゼロという好成績。
20位:ブリュワーズ
ルーク・スティーブンソン(捕手)
ノースカロライナ大学|全体ランキング:19位
今ドラフトでは1巡目候補の捕手は多くない。スティーブンソンは2年間で30本塁打を記録し、守備面も優秀である点から1巡目指名圏内に入る。
21位:アストロズ
ショーン・ギャンブル(二塁手/外野手)
IMGアカデミー(フロリダ州)|全体ランキング:21位
左打ちの好打者で、一部スカウトからはブライソン・ストット(フィリーズ)に似ていると言われている。アストロズは高校生の指名に積極的で、ギャンブルもその路線に合致。
22位:ブレーブス
クルーズ・スクールクラフト(左投手)
サンセット高校(オレゴン州)|全体ランキング:11位
2026年卒から早期進級してきた若き大器。サイズがあり、サウスポーである点も魅力。春の成績には波があるが、将来的にはドラフトNo.1左腕になる可能性も十分ある。
23位:ロイヤルズ
ギャビン・フィーン(三塁手)
グレートオーク高校(カリフォルニア州)|全体ランキング:29位
昨年夏のショーケースサーキットでは、最も純粋な打者として高評価を受けたフィーン。今春の成績はやや控えめだが、それでも昨夏に見せた打撃力を評価する球団が上位指名に踏み切る可能性は十分にある。
24位:タイガース
スレーター・デ・ブラン(外野手)
サミット高校(オレゴン州)|全体ランキング:25位
タイガースは左打ちの高校生野手を好む傾向にある。過去2年のドラフトでは、2023年にマックス・クラークとケビン・マクゴニグル、昨年はブライス・レイナーを指名している。デ・ブランは小柄ながらも打撃センスが非常に高い選手だ。
25位:パドレス
ザビエル・ネイエンズ(三塁手)
マウントバーノン高校(ワシントン州)|全体ランキング:26位
太平洋岸北西部の高校生打者が連続指名される流れに乗った形。ネイエンズには空振り率の高さが懸念されるが、それでも非常に高い競争レベルの中で自慢の長打力を発揮してきた点が評価されている。
26位:フィリーズ
メイソン・ネヴィル(外野手)
オレゴン大学|全体ランキング:62位
2018年、トレバー・ラーナックがオレゴン州立大学での活躍を経て一気にドラフト上位に駆け上がったように、今年のネヴィルも同様の道をたどっている可能性がある。現在、ディビジョンI(全米大学)で最多の26本塁打を記録しており、爆発的な打撃力が評価されている。
27位:ガーディアンズ
アンドリュー・フィッシャー(一塁手/三塁手)
テネシー大学|全体ランキング:35位
これでテネシー大から3人目の1巡目指名選手となる可能性もある。フィッシャーはミシシッピ大学からの転校生で、今シーズンは左打ちの強打者としての実力を発揮しており、高い評価を受けている。
指名される可能性の高い注目選手5名:
- ウェヒワ・アロイ(遊撃手)
アーカンソー大学|全体ランキング:24位 - JB・ミドルトン(右投手)
サザン・ミシシッピ大学|全体ランキング:31位 - ジャック・バウアー(左投手)
リンカーン・ウェイ・イースト高校(イリノイ州)|全体ランキング:32位 - ライリー・クイック(右投手)
アラバマ大学|全体ランキング:33位 - パトリック・フォーブス(右投手)
ルイビル大学|全体ランキング:34位
ジョナサン・メイヨ:MLBPipeline.com記者
引用元:mlb.com