カンザスシティ――レッドソックスの筆頭オーナージョン・ヘンリー、球団社長サム・ケネディ、そしてチーフ・ベースボール・オフィサーのクレイグ・ブレスロウは現地金曜日、カウフマン・スタジアムでの試合(延長12回、2-1で敗戦)に先立ち、ラファエル・デバースと面会するために共に現地入りした。これは、デバースが「一塁を守るよう求められたことに不満を感じた」と発言した件を受けた対応である。
ブレスロウはこう説明した。
「実際にラフィーに直接声をかけたのはジョン(・ヘンリー)でした。昨日の件を受けて、“レッドソックスとして私たちが何を大切にしているのか、どんな価値観を持っているのか”を率直に話すことが重要だと感じたのです。
我々にとって大切なのは、互いに良きチームメイトであることです。」
そしてこう続けた。
「生産的な会話ができたと私たちは考えていますし、ジョンもそう感じているようです。
現時点では、それがすべてです。」
現地金曜日の面会には、ジョン・ヘンリー、ラファエル・デバース、アレックス・コーラ監督の3人だけが同席した。
この話し合いの影響で、試合前のメディア対応は80分以上遅延。デバースがフィールドに姿を現したのは午後5時(中部時間)を過ぎてからで、すでにほとんどのチームメイトがキャッチボールや打撃練習を始めていた時間帯だった。
「良い話し合いができたよ」と、コーラ監督はコメント。
「(デバースは)自分の気持ちを率直に伝えたし、ジョンも同じく思いを伝えていた。
誰がそこにいたかを見れば分かるだろうし、それがクラブハウスでの重みを持つのは確かだね。」
ただし、デバースの今後の守備位置については何も決まっていない。当面は、これまで通り指名打者(DH)として起用される。
この日の試合では2番DHで出場し、5打数1安打、11回には内野ゴロの間に打点1を記録。試合後、デバースはメディア対応を辞退した。
チーフ・ベースボール・オフィサーのブレスロウはこう語っている。
「彼のポジションについての決定が、カンザスシティのオフィスのソファの上で出るようなものではないのは明らかだし、あの話し合いはまだ継続中なんです。」
現地木曜日、ラファエル・デバースは、トリストン・カサスが左膝の膝蓋腱(しつがいけん)を断裂し、手術を受けて今季絶望となった直後に、レッドソックスから一塁転向の打診を受けたと明かした。
これに対し、デバースはこう語っている。
「レッドソックスは、僕に全てのポジションを守れと期待するべきじゃないよ。」
キャリアを通じて主に三塁を守ってきたデバースは、今春のキャンプで指名打者(DH)への転向を要請された。これは、オフにアレックス・ブレグマンと3年1億2000万ドルで契約したことが背景にある。
当初は「三塁にとどまりたい」と主張していたデバースだったが、最終的に開幕前にDH転向を受け入れた。
しかし木曜日には、一塁へのさらなるコンバートについて、
「そこまで柔軟にはなれないと思う」
と明言している。
「ラフィー(デバース)は明らかに今回の状況にフラストレーションを感じていたと思います」と、クレイグ・ブレスロウは語った。
「私の受け止めとしては、コミュニケーションの中で何か誤解があったか、あるいは説明が不十分だった可能性があると感じました。今回の対話が、正しい方向へ進むための一歩になっていればと願っています。」
「……生産的な場になったとは思います。正直で率直な意見をぶつけ合う機会でしたし。
何より大事なのは、このチームには勝てる力があり、シーズン終盤に意味のある戦いができると信じていることです。
だからこそ、そこに集中するべきなんです。」
一方、チームメイトのトレバー・ストーリーは、デバースの発言について直接話はしていないとした上で、こうコメントしている。
「クラブハウス内では特にこの件について騒いだりしていないよ。誰かが炎上させようとしているわけでもないしね。」
自身が一塁への起用を打診されたことはないとしつつも、チームとしては今はただ「カンザスシティに勝つことに集中している」と語った。そして、デバースとはいずれ話すつもりだと付け加えた。
「ああ、ちゃんと話し合うつもりだよ。もちろん、今はまだ状況が“新しくて感情的”なタイミングだけど、ちゃんと話すつもりさ。俺たちは皆大人だし、最終的には何とか折り合いをつけられると思う。どんな形であれ、“試合に勝つこと”が一番大事なことだって、全員が理解しているはずだからね。」
レッドソックスは金曜日の試合、先発ハンター・ドビンズが6回無失点の好投を見せ、親族24人が「The K(カウフマン・スタジアム)」に応援に来ていたと話したが、昨季ポストシーズン進出チームであるロイヤルズ相手に惜しくも勝利には届かなかった。
アレックス・コーラ監督とクレイグ・ブレスロウCBO(チーフ・ベースボール・オフィサー)は共に、レッドソックスがプレーオフを狙える戦力を持っているという信念を改めて強調した。現在チームは20勝20敗の五分だが、外部の騒動に惑わされることなく、「勝利に集中している」という姿勢を示している。
そのためにも、フロントは今回のデバースの問題に迅速に対応し、「本来の野球に立ち返る」ための環境づくりを重視したのだという。
「昨日、(デバースの発言が)非常に公の場で広まったことで、今こそ我々が何を重要と考えているのかを明確に伝える好機だと捉えました。これはこのオーナーグループが大切にしてきた価値観であり、選手やスタッフ、フロントすべてに関わることでもあります」とブレスロウは語った。
「そして、それを実行できたと思います。もちろん、ラフィーはこのチームにとって非常に大きく、重要な存在です。だからこそ、こうした問題を放置せず、しっかり対処することが大事なのです。」
さらにブレスロウは、組織として最善を尽くすためには、時に“難しく、不快な決断”を下す必要があることも認めた。
「数か月の間で(デバースのように)大きな役割変更を経験した選手にとって、こうした会話は特に難しいことだと思います。でもだからといって、“難しいから避ける”というのは正しい判断ではありません。」
ジャクソン・ストーン:MLB.com記者
引用元:mlb.com