佐々木朗希の契約をあらゆる角度から分析

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佐々木朗希がついに待望の決断を下した。超逸材の23歳右腕は金曜日、ドジャースと契約することを発表した。複数の報道によると、契約金は650万ドルとされているが、球団からの正式発表はまだない。

佐々木は、ポスティングの45日間の交渉期限が終了する6日前に決断を下した。佐々木が所属していた日本プロ野球(NPB)の千葉ロッテマリーンズは12月に彼をポスティングし、佐々木は1月15日の2025年国際契約期間開始を待って移籍先を決めることを選んだ。(25歳未満のため、大谷翔平が2017年12月にエンゼルスと契約した際と同様に、国際ボーナスプールの制限が適用された。)

佐々木は数多くの関心を寄せる球団の中から、最終的に少なくとも8球団と対面での面談を実施。その中からブルージェイズ、ドジャース、パドレスの3球団が最終候補に残り、最終的にワールドシリーズ王者であるドジャースへの入団を決めた。これにより、佐々木はMLBの最新の日本人スターとしての地位を確立することを目指すことになる。

佐々木の成績(NPB)

2024年:18試合登板、111イニング、2.35ERA、K/9 10.5、BB/9 2.6
通算(2021-24年):69試合登板、414 2/3イニング、2.02ERA、K/9 11.4、BB/9 2.0


目次

MLB.com専門記者による見解

ドジャースにとってこの契約の意味

(担当記者:ソーニャ・チェン)

ドジャースは、MLBレベルの投手の能力を最大限に引き出す実績を持っており、佐々木がMLB屈指の先発投手へと成長するのをサポートする体制が整っている。すでにNPBで高いレベルの成功を収めているため、大幅なフォーム改造は不要だが、さらなる成長のための調整が行われるだろう。

ロサンゼルスは2025年シーズンの開幕を6人ローテーションで迎える予定であり、佐々木は日本時代と同じような登板間隔で投げることが可能になる。彼はブレイク・スネル、山本由伸、タイラー・グラスナウとともに、トニー・ゴンソリン、ダスティン・メイ、ランドン・ナックらの一部とともに、開幕ローテーションに入る見込みだ。

また、二刀流スターの大谷翔平は、2024年は右肘手術の影響で登板しなかったが、シーズン序盤にマウンドへ復帰する予定となっている。大谷、山本、佐々木の日本人トリオに、スネルとグラスナウを加えたローテーションは、MLB史上でも最強クラスになる可能性を秘めている。


パドレスにとってこの契約の意味

(担当記者:A.J. カッサヴェル)

全30球団が佐々木を欲しがっていた。しかし、パドレスほど彼を必要としていた球団はなかったかもしれない。現在のパドレスは、優勝を狙える戦力を保持しており、ほぼ同じロースターが来季も戻ってくる予定だ(このチームは昨季のナ・リーグ地区シリーズでドジャースをあと一歩まで追い詰めた)。

しかし、現時点のロースターには大きな弱点がある――特に先発ローテーションだ。短期的には、ジョー・マスグローブがトミー・ジョン手術のため来季を全休する予定で、ローテーションには少なくとも2つの空席がある。長期的には、ディラン・シースとマイケル・キングが来オフにFAとなる予定で、ダルビッシュ有はその時点で39歳になる。

佐々木がいれば、これらの問題を大きく緩和できただろう。パドレスはオフシーズン当初から彼を最優先ターゲットとしていた。しかし、よりによって彼がパドレスが打倒を目指すドジャースに加入することになった。これがサンディエゴにとって痛手であることは間違いない。

希望の光はあるのか?
1年前のこの時期、パドレスはフアン・ソトをトレードし、給与総額を削減したことで、多くの人に見限られていた。しかし、A.J. プレラーGMは巧みな補強とトレードを駆使し、これまでで最高のロースターを作り上げた。今オフも同じような手腕が求められることになる。佐々木がドジャースに行ってしまった今、パドレスは別の道を模索しなければならない。


ブルージェイズにとってこの契約の意味

(担当記者:キーガン・マシソン)

これはブルージェイズにとって痛恨の打撃だ。このような失望にはもう慣れているはずだが、経験を積んだからといって楽になるわけではない。大谷翔平、フアン・ソト、コービン・バーンズを逃した失望の直後に、佐々木まで獲得できなかったことは特に厳しい。佐々木はブルージェイズにとって、現在のベテラン主体の戦力を超えて、次の競争時代へと橋渡しをする存在になり得たからだ。

もちろん、ブルージェイズにはまだFA市場でアンソニー・サンタンデール、ピート・アロンソ、アレックス・ブレグマンといった選手を獲得する選択肢がある。また、トレード市場も引き続き活用できる。しかし、佐々木は非常に貴重な存在だった。

ブルージェイズは今オフ、ジミー・ガルシアやジェフ・ホフマンを獲得し、ブルペンをうまく補強してきた。しかし、攻撃陣の強化が急務であることに変わりはない。特に、ウラジミール・ゲレーロJr. にとってトロントでの最後のシーズンになるかもしれない2025年に向けて、さらなる補強が必要だ。


ストーブリーグへの影響

(MLB.comシニアナショナルリポーター:マーク・ファインサンド)

佐々木朗希がドジャースと契約したことは、MLBのFA市場よりも国際アマチュアFA市場に大きな影響を与える可能性がある。佐々木を獲得できなかったブルージェイズやパドレスは、国際ボーナスプールの資金をそのまま使うことができるため、新たな国際選手の獲得に動くかもしれない。

一方で、MLBのFA市場に関しては、一つの疑問が浮かぶ。クレイトン・カーショウのドジャース残留はなくなるのか?
現在のドジャースのローテーションは、山本由伸、ブレイク・スネル、佐々木朗希、大谷翔平(今季中に右肘手術から復帰予定)、そしてタイラー・グラスナウで構成されている。さらに、トニー・ゴンソリン、ダスティン・メイ、ランドン・ナック、エメット・シーハンといった若手投手も控えている。この充実した先発陣の中で、カーショウが戻る余地はあるのだろうか? これまではカーショウの復帰は既定路線と見られていたが、今回の補強で状況が変わる可能性が出てきた。

また、ブルージェイズは今オフずっと「大物獲得」を狙ってきたが、佐々木を逃したことで、新たに先発投手の補強を検討するかもしれない。現在FA市場に残っている主な先発投手には、ジャック・フラハティ(市場最高の投手とされる)、ニック・ピベッタ、マックス・シャーザーなどがいる。


スカウティングレポート

(MLBパイプライン:ジョナサン・メイヨー)

「彼は評判通りの素晴らしい投手だ」とある国際スカウトディレクターは語る。
「理想的な体格で、細身でありながら非常に運動能力が高い。腕の振りや投球フォームは優れており、3つのプラス評価のパワーピッチを持っている。コントロールはあるがコマンド(制球力)はまだ発展途上。将来的には球界を代表するエースになれるポテンシャルを持っている。」

佐々木朗希の球種

  • フォーシーム(速球)
    スカウティング評価基準(20-80スケール)で最低でも70。
    見るタイミングによっては、最上級の80評価がつくこともある。
  • スプリッター
    **88~90mph(約141~145km/h)**で投げる決め球。
    回転を抑え、直球と同じ軌道から急激に落ちるため、打者にとって極めて厄介なボール。
  • スライダー
    佐々木にとっては「第3の球種」だが、一部のスカウトは平均以上、あるいはプラス評価を与えている。

徹底分析

(アナリスト:マイク・ペトリエロ)

実際のところ、ドジャースはブレイク・スネルを獲得した後でも、もう一人先発投手を必要としていた。というのも、ワールドシリーズの5試合のうち4試合では、すでにチームを去った投手が先発を務めるか、リリーフ陣でしのぐしかなかったからだ。3か月前の時点では、最も重要な場面でさえ先発の駒が足りなかったのだから。

とはいえ、その投手が、すでに世界で最もエキサイティングな23歳の剛腕で、三桁の速球とおそらく世界最高のスプリッターを持つ佐々木朗希である必要があったか?
正直、それはまるで「フェラーリやランボルギーニを持っているのに、ポルシェをガレージに置いておく」ような贅沢さだ。しかし、国際契約金の制限によりたった650万ドルで獲得できたという事実を考えれば、佐々木自身が「ドジャースでならさらに成長できる」と確信していたことの証でもある。

すでにこのローテーションは非常に強力だったが、今や歴史に名を刻むレベルになりつつある。
佐々木には計り知れないポテンシャルがあるが、健康面での不安も抱えているのは確かだ。それでも、グラスノー、スネル、山本由伸、そして「少し投げる指名打者」こと大谷翔平がいるこのチームに加わることで、恐るべき先発陣が完成した。

現在、FanGraphsの2025年の奪三振率予測トップ11のうち4人がドジャースの先発投手(山本は31位)であり、彼らのローテーションは合計1,064奪三振を記録する見込み。これはMLB史上2番目の記録となる可能性がある。

この予測には、クレイトン・カーショウの復帰も含まれていない。
さらに、2023年に将来のスターと目されながら、2024年は怪我に苦しんだボビー・ミラーの貢献も考慮されていない。

つまり、佐々木はローテーションの5番手かもしれないが、同時に世界最高の投手の一人になり得る。
2025年、ドジャースが敵地で浴びるブーイングの数は、おそらく彼らが積み上げる三振数にしか及ばないだろう。

注目のデータ

(MLB.comリサーチチームより)

57.1% – これは、佐々木朗希が2024年NPBシーズンでスプリッターを投げた際の空振り率である。

彼のフォーシームの球速が目を引くのは当然だが、実は最も強力な武器はスプリッターかもしれない。
MLBには日本のエースたちがスプリッターで成功してきた歴史があるが、佐々木もその系譜に加わる可能性が高い。

2024年シーズンで、MLBの投手のうち50回以上スプリッターを投じた59人の中で、佐々木の57.1%を超えたのはわずか1人しかいなかった。
その投手は、レッズからヤンキースにトレードされたフェルナンド・クルーズ(59.3%)。

また、先発投手として最高の空振り率を記録したのは、マリナーズのローガン・ギルバート(50.6%)だった。

つまり、佐々木のスプリッターはMLBでも間違いなく最上級の決め球となるだろう。

引用元:mlb.com

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