まもなくメジャー招集が期待されるトッププロスペクトたち

トッププロスペクト MLB

プロスペクトたちがやってくる。

現地金曜日を迎える時点で、MLBパイプラインの総合トップ10プロスペクトのうち5人(うちトップ2人を含む)がトリプルAにおり、メジャー昇格の可能性が目前に迫っています。

これは単なる偶然ではありません。マイナーリーグ上位カテゴリーで結果を残している選手は、外部のスカウトに「メジャーでも同じレベルで活躍できる」という自信を与えるものです。そして、これだけ多くのハイレベルな才能がメジャーの目前に控えている状況は、プロスペクトを追っているファンにとっては非常にワクワクする展開です。

もちろん、メジャー昇格のタイミングを左右する主な要素は2つあります:
「選手本人がどれほど結果を残しているか」、そして「その時点でのメジャー球団の状況」です。

これらのポイントを踏まえたうえで、次に紹介するのは、これら5人のプロスペクトがメジャー昇格にどれほど近づいているのか、そしていつ「野球界最大の舞台」へたどり着く可能性があるのか、という内容です。

目次

ローマン・アンソニー(外野手/レッドソックス/MLBプロスペクトランキング第1位)

現状の活躍:
5月13日に21歳になったばかりのアンソニーは、今月出場した18試合すべてで出塁を果たしています。この期間中に記録した18四球は、すべてのトリプルA打者の中で最多。5月の85打席での成績は、打率.348/出塁率.482/長打率.470と、非常に優れた数字を残しています。

本塁打数はやや減少しているものの、150打席以上の打者の中では、トリプルAで最多のバレル(24本)、平均打球速度(95.3マイル)、ハードヒット率(60.2%)、期待値wOBA(.453)といった指標でトップに立っています。

また、4月は肩の軽い故障により指名打者(DH)としての出場が多かったものの、最近数週間は主にレフトを守りつつ、ときどきセンターにも入っています。

MLBでの状況:
レッドソックスは勝率5割を超えたいと願ってはいるものの、今のところ外野陣が大きな課題というわけではありません。ジャレン・デュラン(左翼)、セダンヌ・ラファエラ(中堅)、ウィリアー・アブレイユ(右翼)はほぼ固定されており、特にラファエラはゴールドグラブ級の守備に加えて、打撃面でも成長を見せています。ボストンの外野陣全体のfWAR(勝利貢献度)は3.3で、メジャー全体で4位。ヤンキース(6.9)、カブス(6.7)、タイガース(4.8)に次ぐ成績です。

昇格のタイミングは?:
実力だけを見れば、いつ昇格してもおかしくありません。トリプルAの投手たちはアンソニーにまともな球を投げなくなっており、彼は無理に打ちにいかず、四球をしっかり選んでいます。ただ現実的には、外野のレギュラー陣やDHのラファエル・デバースに故障などが起きない限り、アンソニーのための枠が空くことはないでしょう。ちなみに、一塁手として起用されることも期待しない方が良いです。

ババ・チャンドラー(右投手/パイレーツ/MLBプロスペクトランキング第2位)


現状の活躍:
チャンドラーは、インディアナポリス(パイレーツのトリプルA)で金曜日を迎える時点で、防御率2.17、WHIP1.13、奪三振56、与四球16、投球回数37回1/3という成績を残しています。彼の奪三振率(36.8%)はトリプルAの規定投球回到達者の中でトップであり、2位のダーラム所属イアン・シーモア(31.4%)を大きく引き離しています。

チャンドラーのフォーシーム(直球)は平均98.1マイルを記録しており、比較的フラットな軌道で投げられるため、空振り率は40.7%と非常に高いです。さらに、スライダー、カーブ、チェンジアップのいずれも空振り率が29%以上を記録しています。

現時点では1試合あたりの登板は最長で5イニング、球数は最大86球に制限されていますが、9試合を通じて徐々に投球数を増やしてきています。次回の登板は土曜日に予定されています。

MLBでの状況:
パイレーツは水曜日にカルメン・ムロジンスキをローテーションから外しましたが、代わりに昇格したのはマイク・バローズでした。ローテーションはもともと有望株のジャレッド・ジョーンズを失っており(今春に右肘のUCL捻挫を負い、今週手術を受けた)、層が薄くなっています。それでも、ポール・スキーンズ(防御率2.44)、ミッチ・ケラー(3.88)、アンドリュー・ヒーニー(2.91)、ベイリー・ファルター(3.50)といった投手陣は順調なスタートを切っており、パイレーツの先発陣はfWAR4.5でMLB全体9位につけています。

昇格のタイミング:
チャンドラーは投球数に若干の制限があるものの、球質と結果の両面ではすでにメジャー級です。昨年のスキーンズのデビュー(5月11日)をすでに過ぎており、チャンドラーも「枠を空けてでも昇格させるべき投手」のタイプ。デビューまでのカウントダウンは「数週間」ではなく「数日」であるべきです。

アンドリュー・ペインター(右投手/フィリーズ/MLBプロスペクトランキング第5位)


現状の活躍:
2023年・2024年シーズンは肘の故障とトミー・ジョン手術により完全欠場。2024年秋のアリゾナ・フォールリーグで復帰し好調な投球を見せました。2025年はシングルAクリアウォーターで開幕し、その後5月8日にトリプルAリーハイバレーでデビュー。ここまで3先発(直近は水曜日)し、防御率3.09、奪三振27、与四球7(投球回数23回1/3)と安定した成績を残しています。ここ2試合はいずれも71球まで投げており、リハビリからの「段階的負荷増加」の途中です。フォーシームの平均球速は96.6マイルで、変化球も一通り投げられており、チェンジアップも最小限ながら有効です。

MLBでの状況:
フィリーズは金曜時点でナ・リーグ最高勝率を誇っており、その原動力は先発陣です。ザック・ウィーラーとヘスス・ルサルドはサイ・ヤング候補に見えるほど好調で、不調気味のアーロン・ノラでさえローテ落ちは考えにくい状況です。日曜にMLBデビューしたミック・エイベルもスキーンズを上回る好投を見せたにもかかわらず、すぐにトリプルAに戻されています。

昇格のタイミング:
球団編成本部長デーブ・ドンブロウスキは春の時点で「7月頃」がペインターのメジャー昇格時期になると明言しており、投球数の管理とMLB先発陣の好調を踏まえると、その予定が早まるとは考えにくいです。

マルセロ・メイヤー(遊撃手/レッドソックス/MLBプロスペクトランキング第8位)


現状の活躍:
4月は23試合で7本塁打と快調でしたが、5月は17試合で長打がわずか3本とやや失速。ただしアンソニー同様、12四球を選び出塁率.372を記録しています。金曜時点のシーズン成績は打率.265/出塁率.344/長打率.452、本塁打8本(42試合)。90パーセンタイルでの打球速度は106.2マイルとトリプルA平均を上回っており、22歳としては優秀な数値です。特筆すべきは、5月前半の12試合中1試合しか二塁を守っていなかった彼が、直近5試合のうち4試合で二塁手として出場している点です。

MLBでの状況:
一塁のトリストン・カサスがシーズン絶望となり、レッドソックスの内野陣には大きな穴が空いています。先週金曜日にはクリスチャン・キャンベルを初めて一塁で起用するなど、暫定策(エイブラハム・トロ、ニック・ソガード、怪我中のロミー・ゴンザレス)に頼るより、内野配置換えで乗り切ろうとしています。これはメイヤーにとっては最も明確な昇格ルートとなります。加えて、現地金曜日にはアレックス・ブレグマンが右太ももの張りで途中退場しており、レッドソックスが「今勝ちに行く」体制であることを考えると、メイヤーの昇格は数日〜数週間のうちに実現する可能性があります。

ジャック・カリアノーネ(一塁手/外野手/ロイヤルズ/MLBプロスペクトランキング第10位)


現状の活躍:
昨年のドラフト全体6位指名で、今週火曜日にトリプルAデビューしたばかり。ダブルAのノースウエストアーカンソーでは38試合で打率.322/出塁率.394/長打率.553、本塁打9本を記録し、大きな注目を集めていました。木曜日の試合では初本塁打を記録(初速113.6マイルの弾丸弾)。高めのボールに手を出しすぎたり、カーブやチェンジアップに課題はあるものの、それを補って余りある打球速度を誇ります。守備では、元フロリダ大学の二刀流選手として開幕当初は一塁をメインに守っていましたが、4月24日にライトで初出場。トリプルAでは3試合中2試合で右翼を守っています。

MLBでの状況:
ロイヤルズはア・リーグ中地区での踏ん張りをかけて、現地金曜日にベテランのハンター・レンフローをDFA(事実上の戦力外)にしました。レンフローは今季35試合でチーム最多の右翼先発出場数を誇っていましたが、打率.182/出塁率.241/長打率.242と低迷していました。その影響で、ドリュー・ウォーターズが右翼での出場機会を増やしており、今回のレンフロー放出による恩恵を受ける最有力候補です。ロイヤルズの右翼手全体ではfWAR -1.1でMLB29位(最下位はロッキーズの-1.3)。対応する補充としては、内野手が本職のニック・ロフティンが昇格しました。

昇格のタイミング:
金曜の動きを受けてカリアノーネに注目が集まりましたが、彼はまだ右翼での出場が8試合、左翼での出場が1試合しかありません。メジャーで起用する前に外野守備の経験をさらに積ませる必要があるでしょう。ただし打撃面での昇格スピードは非常に速いため、6月末までにトリプルAを卒業していても不思議ではありません。

注目すべきその他の選手たち

サミュエル・バサーロ(捕手/一塁手/オリオールズ/MLBプロスペクトランキング第16位):
春季キャンプで肘の炎症、4月にはハムストリングのケガで3週間離脱しましたが、復帰後は打撃好調で、直近12試合で6本塁打・長打率.857を記録。5月13日には捕手としてのプレーも再開し、一塁やDHでも起用されています。アドリー・ラッチマンがいるため捕手として昇格する可能性は低いですが、オリオールズが打線に若返りを求めるなら、左打ちの強打者バサーロが候補に挙がるでしょう。

カイル・ティール(捕手/ホワイトソックス/MLBプロスペクトランキング第28位):
ホワイトソックスはトリプルAでトップ100に入る捕手の中からまずエドガー・ケーロを昇格させましたが、ティールもデビューを狙っています。今オフにギャレット・クロシェとのトレードで加入した23歳のティールは、金曜時点で29試合連続出塁中(トリプルAで現役2位タイ)。その間の成績は打率.321/出塁率.410/長打率.491、本塁打4本。打者有利のシャーロットでの成績とはいえ、ホワイトソックスに必要な若手旋風の一翼を担う可能性があります。

ジェイコブ・ミショロウスキー(右投手/ブリュワーズ/MLBプロスペクトランキング第72位):
最速103マイルの速球を持つ23歳の右腕で、トリプルAでは52回1/3を投げ、防御率1.55、WHIP0.92、奪三振63(マイナー4位タイ)という驚異的な成績を残しています。直近6登板のうち5試合で四球1以下という制球の安定も見せています。ブルワーズの投手陣は故障者が相次ぎ流動的ですが、球団は「制球をもう少し安定させる必要がある」としており、今しばらくはトリプルAで腕を磨くことになりそうです。

サム・ダイクストラ:MiLB.comおよびMLB.comリポーター
引用元:mlb.com

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