トレイ・ターナーは現在打率.310を記録しており、フィリーズでは2007年のジミー・ロリンズ以来となる「シーズン200本安打達成」ペースでシーズンを進めています。
それでもターナー本人は、2025年シーズン前半2カ月の自身のパフォーマンスに完全には満足していません。
「悪くはないけど、最高ってわけでもないね」とターナー。
彼には、さらなる結果を求める理由があります。今季ここまで本塁打はわずか5本で、ペースとしてはシーズン15本程度。ただし、そのうち3本は直近4試合で記録したものです。長打率は.443で、フルシーズン換算では2018年(ナショナルズ時代)の.416に次いでワースト2位の見込みです。
「まだ完全に自分の打撃が“はまった”って感じはないんだ」と、アスレチックス戦で3試合中2本塁打を放つ前に語っていました。
「もちろん、パワーをもう少し上げたいし、OPS(出塁率+長打率)も上げたい。
その2つは、まあ、ある意味セットだからね。」
とはいえ、カウントで不利な状況でも打率.300を維持しており、ボール球へのスイング率(チェイス率)は28.7%と、2024年(33.9%)や2023年(35.3%)より大きく改善されています。2ストライク後の打撃内容も良化しており、成果が出始めています。
ロブ・トムソン監督は今季前にターナーと話した際、こう伝えたそうです:
「もっとヒットを打ち、もっと四球を選び、もっと走って、もっと得点してくれ」
監督の構想はこうでした:
「ターナーがシーズン100得点、40盗塁、出塁率.380を達成すれば、フィリーズ打線は機能する」
そして今、シーズン2カ月が経過した時点でターナーは:
- 203安打ペース
- 116得点ペース
- 43盗塁ペース
- 出塁率.365
と、ほぼその構想通りの数字を残しています。
なお、過去50年間のフィリーズで「シーズン200安打」を記録したのは、ジミー・ロリンズ(2007年)のほか、チェイス・アトリー(2006年)、ダグ・グランビル(1999年)、ピート・ローズ(1979年)の3人のみ。
1900年以降のモダン・エラで、「200安打&40盗塁」を同一シーズンで達成した唯一のフィリーズ選手は、2007年MVPのジミー・ロリンズです。そして今、トレイ・ターナーがその仲間入りを果たす可能性は、極めて現実的です。
言い換えれば、今のトレイ・ターナーは、フィリーズがまさに“望んでいた姿”そのものなのです。
「本当にそうだよ」とロブ・トムソン監督は語りました。
「シーズン前に彼に言ったんだ――『出塁率.380、それが目標だ』ってね。今のところそこまでは届いていないけど、それに100得点と40盗塁くらいを加えれば、うちはたくさん得点できるはずだってね。あのとき彼に言ったんだ、“それを達成できたら、チームはかなり得点できる”って。」
一方のターナー本人は、シーズン前に200本安打や100得点、40盗塁といった具体的な数字を目標にすることはないそうですが、それぞれの数字を自然に達成できる状態こそが、チームの目標=ワールドシリーズ制覇の実現に貢献している証拠だという自覚はあります。
「そういう節目の数字って、たしかに達成できたらカッコいいとは思うけど、シーズン前に“これをやる”って決めることはないんだ」とターナー。
「ただ、“打率.300を打てたら他の数字は自然についてくる”っていう感覚はずっと持っている。打率.300っていうのは、いろんな面で良い打撃ができているってこと。出塁もできてるし、2ストライク後でも粘れてるし、ボールもちゃんと捉えられてるってことだから。」
ターナー自身はパワー(長打力)の数字をもう少し上げたいと考えてはいるものの、カイル・シュワーバーとブライス・ハーパーが後ろを打っている現在のフィリーズ打線では、そこまで必要とされていないのが実情です。
シュワーバーは本塁打18本でMLBトップタイ、ハーパーは直近12試合で打率.383をマークし、その間にシーズン打率を35ポイント上げました。
ターナーはすでに今季、シュワーバーに11回、ハーパーに8回、打点をつけてもらっています。
「自分がしっかり出塁して、あとの2人に託せるって思えるのは、すごく心強いよ」とターナー。
「もちろん自分も彼らみたいになりたい――ホームランを打って、“危険な打者”になりたい。でも、彼らが彼ららしい活躍をしてるのを見るのは、本当に楽しい。だって、2人とも偉大な選手だからね。」
この点について、トムソン監督はさらにシンプルに表現しています。
「彼(ターナー)が出塁してくれれば、点が入るんだ」と監督は言いました。
ポール・カセラ:MLB.comフィリーズ担当
引用元:mlb.com