ニューヨーク — オースティン・ウェルズが迎えたこの試合7回の2打席目、満塁の場面で打席に向かう前、ヤンキースの捕手はオンデッキサークルでこう思った。「みんながつないできたこの攻撃、見ていて本当に楽しいな」と。
そして彼自身もその盛り上がりに大きく貢献することとなる。ウェルズはキャリア初となるグランドスラム(満塁本塁打)を右翼席にライナーで運び、ヤンキー・スタジアムをお祭りムードに包んだ。この回のヤンキースは10得点の猛攻を見せ、最終的にパドレスを12対3で下した。
「僕たちには本当に優れた打者が揃っている」とウェルズは語った。「何か一つの要因があったわけじゃないけど、ストライクをしっかり振って、準備万端で打席に立てているのが大きいと思う。」
この7回、ヤンキースは13人の打者を送り出し、2015年7月28日にアーリントンで行われたレンジャーズ戦(第2回に11点を記録)以来、最も多くの得点を挙げたビッグイニングとなった。
3連敗中だったヤンキースは、この予想外の大勝で連敗を止めた。7回表を1点ビハインドで迎えたが、打線のほぼ全員が反撃に貢献した。口火を切ったのは、代わったばかりのアドリアン・モレホンから二塁打を放ったジェイソン・ドミンゲス。
「彼の走りを見るのは本当に楽しい。驚くほど速い」とアーロン・ブーン監督。「振り返れば、あのプレーがこのイニングの流れを作ってくれた。そこから素晴らしい打席が続いたね」と語った。
このヒットは、スイッチヒッターのジェイソン・ドミンゲスにとっても大きな一打となった。今季ここまで左投手に対しては38打数4安打と苦しんでいたからだ。
「右打席では苦しんでいたから、この一本は本当に意味がある」とドミンゲス。「チーム全体が良い打席を重ねていたし、本当に素晴らしい攻撃だった」と振り返った。
続くアンソニー・ボルピーも安打を放ち、オースティン・ウェルズのゴロのヒットで同点に追いつくと、元ヤンキースのワンディ・ペラルタからトレント・グリシャムが押し出し四球を選び、ヤンキースが勝ち越し。だが、爆発的な攻撃はまだ終わらなかった――むしろ、ここからが本番だった。
ベン・ライスがライト線への2点タイムリーツーベースを放ち、続くコディ・ベリンジャーとアンソニー・ボルピーもタイムリーヒットで加点。さらに、オースティン・ウェルズがペラルタのチェンジアップをスタンドへ運び、7号となる満塁ホームランを放ってこの回だけで自身5打点を記録。ヤンキースの猛攻を締めくくった。
「打線がああやって一巡すると、本当に勢いが伝染するんだ」とボルぺは語った。
ウェルズの5打点は自身キャリア最多で、ヤンキースの選手として1イニングでの最多打点は、2009年10月4日のアレックス・ロドリゲス(6回7打点)以来の記録となった。
「正直、自分がこれまで(どのレベルでも)5打点を挙げたことがあるか分からない」とウェルズは驚きを語った。
この夜は、サンディエゴの救援陣にとっては珍しい崩れとなった。試合前まで14回2/3連続無失点を続けていたパドレスのブルペンだが、この試合で防御率は1.68から2.34へと上昇――それでも依然としてメジャー最優秀の数値を誇っている。
驚くべきことに、ヤンキースはアーロン・ジャッジを“脇役”に据えたままで大量得点を挙げた。ジャッジは7回の攻撃では敬遠で出塁し、ウェルズの満塁弾の際には三塁走者としてホームを踏んだ。
なお、ジャッジは試合中に第12号ソロ本塁打を放っており、これでメジャーのホームラン争いでトップタイに立っている。相手は元同僚のマイケル・キングだった。
「真ん中ど真ん中のストレートを、野球界で一番の打者に投げてしまった」と、マイケル・キングは語った。「あれを取り返せるなんて思ってないよ。」
ジャッジのこの本塁打で、マリナーズのカル・ローリー、フィリーズのカイル・シュワーバーと並び、今季メジャー最多の12本塁打に到達した。ただし重要な補足がある――4月20日にタンパのジョージ・M・スタインブレナー・フィールドで行われたレイズ戦で、リプレイ検証の結果取り消された本塁打がジャッジにはあるのだ。
さらに、ジャッジはこの試合で出塁を32試合連続に伸ばし、自身のキャリアで3番目に長い記録に並んだ。
ヤンキースの先発クラーク・シュミットは、サンディエゴ打線を6回7安打2失点に抑える好投を見せた。
シュミットは4回に満塁の場面でボークを犯して1点を失い、続くジェイソン・ヘイワードの犠牲フライでさらに1点を許したが、それ以外は安定した投球を見せた。6回にはフェルナンド・タティスJr.に勝ち越しのタイムリーツーベースを浴びたものの、フェルナンド・クルーズが今季初勝利を挙げた。
「先週は本当に良い接戦が多かったけど、いつかはこっちに流れが来るって感じてた」とシュミットは語った。「今夜の攻撃は本当に圧巻だった。あんな風に打線が噛み合うと、同じチームにいるのが本当に楽しいね。」
ブライアン・ホック:MLB.comヤンキース担当
引用元:mlb.com