レギュラーシーズン第1回目の「先発投手パワーランキング」から2週間が経過しました。この短期間でも、多くのことが変わる可能性があります。
このランキングは、MLB.comのデータチームが構築した数式に基づいており、過去365日間の投手成績を評価対象としつつ、直近のパフォーマンスにより強い重みを置いています。つまり、先発投手にとっては1〜2試合の出来不出来が順位に大きく影響するのです。これは、その時点での「勢い」や「現状の位置付け」を反映させるためです。
したがって、今回のランキングでは、新たに4人がトップ10入りし、中にはいきなり1位に迫る投手も登場しています。
以下が、最新版「先発投手パワーランキング」です(※成績はすべて現地火曜日の試合終了時点のもの)。
🥇1位:ポール・スキーンズ(パイレーツ)
前回順位:3位
4月8日のカージナルス戦でキャリア最多の5失点を喫した後、スキーンズはその後2試合に先発し、13回でわずか3失点と立て直しを見せました。そして今や、スキーンズは通算164回1/3を投げ、規定投球回(162回)に到達。
ここでの通算成績は:
- 13勝5敗
- 防御率2.14
- ERA+(リーグ平均比)196
- FIP(真の防御率)2.36
- 奪三振200
――と、まさに申し分のない数字。
次回登板では、彼のキャリア唯一の“鬼門”とも言える相手、ドジャースとの対戦が予想されています。これまでドジャース相手には2試合登板し、防御率5.73と苦しんでいます。今回の対戦で、スキーンズはどんな修正を見せるのか注目されます。
🥈2位:ギャレット・クロシェ(レッドソックス)
前回順位:ランク外
今ごろホワイトソックスの打者たちは、自分たちのチームがオフシーズンにクロシェをボストンにトレードしたことを悔やんでいるかもしれません。というのも、クロシェの直近2登板はいずれも古巣ホワイトソックス相手。
その結果は――
- 13回1/3、被安打5、失点1、奪三振18
- 被打率OPS .278
- 1試合で“ノーヒット継続”を長時間維持
という圧巻の内容。
レッドソックス加入後の防御率は1.13まで下がり、2024年シーズン開始以降の累計でも:
- 防御率:3.13
- 奪三振:244
- 投球回数:178回
と、エース級の数字を残しています。
🥉3位:ローガン・ウェブ(ジャイアンツ)
前回順位:5位
ウェブが防御率2.40でブリュワーズ戦に先発したこと自体は、驚くようなことではありません。というのも彼は、過去3シーズン連続でサイ・ヤング賞の投票対象となっている、安定感抜群の右腕です。
しかし、今季のウェブには思わぬ“進化”が。なんと、現在の奪三振率はMLB90パーセンタイル(32.8%)。これは、2021年以降ずっと44パーセンタイル以下だった奪三振能力が劇的に向上していることを意味します。
しかもすでに、2023年7月9日以来となる2試合連続の2ケタ奪三振も記録。球威だけでなく“決め球のキレ”も明らかに上がっており、「安定型投手」から「支配型投手」への進化を遂げつつあるかもしれません。
4位:タリク・スクーバル(タイガース)
前回順位:4位(変動なし)
スクーバルは、ここまで三振数がやや伸び悩んでいるものの、それでも安定感は抜群です。過去2シーズンは奪三振率30%超えでしたが、今季は**25%**にとどまっています。
それでも:
- 防御率:2.83
- FIP:2.89(xFIPともに好成績)
- 先発5試合
という優れた内容を維持。さらに、ストライク率は70.1%(MLB規定投手の中で5位)と圧巻の制球力を見せており、与四球と強打の被弾をしっかり抑えているのがポイントです。現時点でも2年連続サイ・ヤング賞の有力候補と見られており、このまま突き進めば受賞の可能性は十分にあります。
5位:ハンター・グリーン(レッズ)
前回順位:1位(↓)
シーズン序盤に4試合連続で好投を見せていたグリーンですが、直近の登板(カムデンヤーズのオリオールズ戦)でついに壁にぶつかりました。
- 3回5失点
- 被本塁打3本(今季被本塁打4本のうち3本がこの試合)
とはいえ、ここまでの総合成績は依然として優秀:
- 被打率:.164
- 防御率:2.35
- 奪三振/与四球:35対6
次回登板は土曜日のクアーズ・フィールド(コロラド)が予定されており、標高の高い環境(打者有利)での再起戦となるため、ここでのパフォーマンスに注目です。
6位:ハンター・ブラウン(アストロズ)
前回順位:ランク外(NR)
どうやら、名前が「ハンター」で、色にちなんだ姓(ブラウン)を持つ右腕投手にとっては最高の時期のようです。ハンター・ブラウンはここ3試合で連続無失点登板を達成しており:
- 19回で被安打8、与四球3、無失点
- WHIP:0.74(MLBトップ)
という驚異的な安定感を見せています。
さらに、時を少し遡って2024年4月12日以降(※前日に9失点を喫したカンザスシティ戦の翌日)の成績を見ると、
防御率2.61は、規定投球回到達者の中でスクーバルとマックス・フリードに次ぐリーグ3位。現在のパフォーマンスは、アストロズにとってもMLB全体にとっても見逃せないブレイクぶりです。
7位:山本由伸(ドジャース)
前回順位:ランク外(NR)
山本にとってのMLBルーキーイヤー(2024年)は、決して失敗ではなかったものの、序盤は調整期間が必要で、ようやく調子が上がってきたところで上腕三頭筋のケガにより2か月離脱。本領を発揮するタイミングを逃した感がありました。
――しかし2025年、「完全に慣れた山本由伸」がついに戻ってきました。
水曜日時点で:
- ナ・リーグ防御率1位(0.93)
- 奪三振率:MLB95パーセンタイル
- ゴロ率(GB%):MLB95パーセンタイル
という、支配的なピッチング内容を誇ります。
しかも、直近3登板で19イニング連続自責点ゼロ。今週現地金曜には、ポール・スキーンズとの“日米超新星対決”が予想されており、この試合は間違いなく全野球ファン注目の一戦となるでしょう。
8位:ニック・ピベッタ(パドレス)
前回順位:ランク外(NR)
今オフのFA市場ではなかなか行き先が決まらず、キャンプ開始後の2月中旬にパドレスと契約したピベッタ。しかし今や、先発不足に悩む他球団が後悔しているかもしれないほどの活躍を見せています。
- 最初の5登板中3試合で7回無失点かつ被安打3以下
- 防御率:1.20
これまでのキャリア通算防御率は4.76と平凡な数字ながら、実は潜在能力の高さ(球の質)には定評があり、今季の活躍は「環境が整えば開花する投手だった」ことを証明しています。どうやら、西海岸移籍が“覚醒”のきっかけになったのかもしれません。
9位:ローガン・ギルバート(マリナーズ)
前回順位:2位(↓)
ギルバートは今季初の敵地登板となった土曜のトロント戦でやや苦戦。4回2/3、被安打7、2失点と、このランキングではやや順位を落としました。
それでも:
- 防御率:2.63
- 奪三振率:MLBトップの38%
という支配的な数字は健在。
ただし最近は、1打席あたりの平均投球数が3.8→4.4に増加し、直近4試合の平均投球回も約5回と、効率面に課題が見られます。球数がかさんで降板が早まる傾向が、今後の評価ポイントになるでしょう。
10位:コール・ラガンス(ロイヤルズ)
前回順位:8位(↓)
前回登板(デトロイト戦)ではやや打ち込まれたレイガンスですが、その直前には3試合連続で2桁奪三振&3自責点以下という圧巻の投球を披露していました。
- 奪三振率:36.8%(MLB全体3位)
次回登板は木曜日の本拠地 vs ロッキーズ戦。“再浮上のチャンス”としてはうってつけの相手と言えるでしょう。
🏅次点(Honorable Mentions)
- クリス・バシット(ブルージェイズ)
- マックス・フリード(ヤンキース)
- ヘスス・ルサルド(フィリーズ)
- タイラー・マーレ(レンジャーズ)
- マックス・マイヤー(マーリンズ)
- ミッチェル・パーカー(ナショナルズ)
- ドリュー・ラスムッセン(レイズ)
- スペンサー・シュウェレンバッハ(ブレーブス)
- ブライアン・ウー(マリナーズ)
- ザック・ウィーラー(フィリーズ)
アンドリュー・サイモン:MLB.com編集者兼ライター
引用元:mlb.com