グッディイヤー(アリゾナ州)発 — まずは冷静に四球を選び、次にトラビス・バザーナはそのパワーを見せつけた。
昨年のMLBドラフトで全体1位指名を受けた22歳のバザーナは、今春のスプリングトレーニングでメジャーリーガーたちとともに汗を流している。ガーディアンズの“デプスキャンプ”の一員として、彼は他のプロスペクトと同じように火曜日の試合(対ブルワーズ戦)の6回から途中出場した。
しかし、彼は「ただのプロスペクト」ではなかった。
クリーブランドの球団史上初のドラフト全体1位指名選手であり、MLB史上初めて全体1位で指名されたオーストラリア出身の選手であるバザーナに、周囲の視線が集まった。彼はこの試合で6番・二塁として先発し、2打点を挙げたタイラー・フリーマンに代わって途中出場。
6回裏、彼の初打席。最初のストライクを見送り、その後はしっかりとボールを見極めて四球を選んだ。この試合、ガーディアンズの打者たちは合計11個の四球を選び、最終的に9-6でブルワーズに敗れた。
そして8回裏、2度目の打席。再び最初のストライクを見送り、今度は2-0からのスライダーを見極めた。何球かファウルで粘った末、最終的にまたもボールを2つ選び、2打席連続の四球を記録した。
バザーナに最後のチャンスが巡ってきたのは9回裏。
今度は慎重にボールを見送ることなく、初球から勝負に出た。右腕アレクサンダー・コルニエルが投じた87マイル(約140km)のチェンジアップを豪快に捉え、右中間へ特大の443フィート(約135メートル)の本塁打を放った。
その打球は芝生席をほぼ越えそうな勢いだったが、すでにファンは帰り、スタンドに残っていたのは警備員だけだった。彼がボールを拾いに行く姿が、この一撃の凄まじさを物語っていた。
「たぶん、(ベンチコーチのクレイグ・アルベルナに)直前に言ったんだ。『トラヴィーがスイングしてるのをまだ見たことないかも』ってね」試合後、ガーディアンズのスティーブン・ヴォート監督は笑顔でそう語った。
「で、彼はしっかりスイングしたよ。あの打球はすごかった。彼は競争心の強い選手だね。」
少なくとも、バザーナは最初の2打席を使ってメジャーの投手の球筋を見極めることができた。
「たくさん見てたよ」 バザーナは笑いながら答えた。
この試合でクリーブランドの打線は9回までわずか3安打に抑えられていたが、バザーナの一発を含む3得点で最終回に打線が活気づいた。
「僕は結構選球眼がいいタイプで、ダメージを与えられる球を常に探してるんだ」 バザーナはそう説明した。
「もちろん、ツーストライクからもっと積極的に振るべきだった場面もあったけど、基本的には自分の狙っているゾーンに球が来るのを待っている。そして、今日はボールの見え方が良かったから満足してるよ。できるだけ真ん中寄りの球を狙うようにしてるんだけど、まさにそんな球が来たんだ。」
バザーナは昨年11月、オーストラリア代表としてプレミア12(日本・台湾開催)に出場。その後、1月初めにはすでにアリゾナ入りしていた。
スプリングキャンプが始まってからは、メジャーの環境を存分に吸収している。
「このチームの選手たちと一緒にベンチにいるのは本当にいい経験だし、彼らから学びながら、試合に貢献しようとしてるんだ。」
「毎日しっかりとしたルーティンをこなすことで、確実に成長できていると感じるよ。」
球団は、バザーナを将来の二塁手として期待しており、彼の持つ”5ツールプレイヤー”の潜在能力を高く評価している。今はまだ彼自身がメジャーの環境を学ぶ段階だが、その姿勢は前向きだ。
「もしクリーブランドに来て一番学んだことがあるとすれば、それは守備と走塁に対する細かい意識の高さだね。」
「毎日プレーするたびに、自分がどんどん二塁手として自信を持てるようになっていると感じる。大学時代もそこそこ守れていたとは思うけど、プロに来てからは本当に大きく成長できたよ。」
引用元:mlb.com