パイレーツ・スキーンズ 今季初登板で4奪三振の好投

MLB パイレーツ ポール・スキーンズ

SARASOTA(フロリダ州)– 2025年シーズンのポール・スキーンズの新たな章が、土曜日の午後、エド・スミス・スタジアムで始まった。

ナショナルリーグ新人王 に輝いたスキーンズは、この春に予定されていたデビュー戦が雨で流れた後、ついに今季初登板を果たした。


パイレーツがオリオールズに 5-2 で勝利した試合で、スキーンズは 3イニングを投げ、4奪三振、4被安打、1四球、1失点 の内容だった。彼の代名詞である速球は、安定して 99マイル(約159km) を記録した。


スキーンズは昨シーズンの勢いそのままに、1回裏の先頭打者セドリック・マリンズをシンカーで三振 に仕留めた。その後、アドリー・ラッチマンに鋭いシングルヒットを許し、ライアン・オハーンには4球で四球 を与えた。

続くライアン・マウントキャッスルの打球はスキーンズの元へ転がるも、スキーンズは二塁でアウトを取るのが精一杯だった。しかし、二塁手ニック・ソラックがダブルプレーを狙って一塁へ送球する際にエラーを犯し、その間にラッチマンがホームへ生還。これにより、スキーンズは 自責点0ながら1失点 となった。


スキーンズは1回の最後と2回の最初に連続で空振り三振を奪い、最後はラモン・ラウレアーノをこの日2度目の三振 に仕留めて登板を終えた。

自身の登板について、スキーンズは 「結構良かったと思う」 と振り返り、新たに取り入れたカッターとツーシーム・ファストボールを試したことにも言及した。

「試合に入ると自然と体が速く動くようになる。それがいい方向に出ることもあれば、制球が乱れることもある。今日はその両方があったと思う。でも完璧を求めるものじゃない。ファンの前で投げることで、徐々に調整していけばいい」 と語った。

監督のデレク・シェルトンは試合前に 「スキーンズは速球だけでなく、それを補う球種の精度を上げていくことが重要だ」 と話しており、この日の登板ではまさにその課題に取り組む内容となった。


スキーンズは 「とにかく試してみて、色々と学んでいくだけ。いい感触を得られると思う」 と語った。
「新しい球種を試しているときは、相手の打線はそこまで重要じゃない。どう影響し合うのかを理解するのが大事。今日の一番の目的は、ストライクゾーンに投げ込んで、自分の状態を確認することだった」 と振り返った。

この日、スキーンズは53球を投げ、そのうち30球がストライク だった。久しぶりに実戦形式で投げられたことを 「最高の気分だった」 と表現した。

「自分の経験では、3イニングから4イニングに伸ばすときが一番大変なんだけど、今日は3イニング目に入るのが思ったより楽だったのが意外だった」 と話し、順調な調整ぶりをうかがわせた。


スキーンズは昨年のキャンプに ノンロスター招待選手 として参加し、わずか3イニングを投げただけだった。しかし、それからの成長はまさに彗星のごとき躍進 だった。

2023年の MLBドラフト全体1位指名を受けたスキーンズには、当然ながら大きな期待が寄せられていた。だが、過去の例を見ても、必ずしも球団や選手の思惑通りに進むとは限らない。しかし、今の彼を見れば、「ただものではない」 という評価は控えめすぎるだろう。

2024年5月11日にメジャーデビューを果たして以来、スキーンズは野球界で最も注目を集める投手となった。23先発登板では、パイレーツのファンだけでなく、野球界全体が彼の投球を「見逃せない」と思うようになった。そして、その期待を裏切ることはなかった。

133イニングを投げ、防御率 1.96、170奪三振 を記録。さらに、100マイル超えの速球を連発し、ファンを熱狂させた。

その過程で、スキーンズは数々の歴史を塗り替えた。

  • 新人投手として史上5人目のオールスター先発(1995年以来初)
  • ドラフト翌年にオールスター出場した初の選手
  • パイレーツの新人記録となる奪三振数を樹立
  • ナ・リーグのサイ・ヤング賞投票で3位入賞(11勝3敗の成績)

そして、2年目の今季、スキーンズはより安定したシーズンを迎えようとしている。「自分の役割が明確になり、何を求められているかを理解している」 のが最大の強みだ。


昨年、スキーンズはフォーシーム・ファストボールを最も多く投げ、使用率は39% に達した。続いて、スプリンクラー(スプリッター+シンカーの混合球) を 28%、カーブ(11%)、スウィーパー(10%)、スライダー(6%)、チェンジアップ(5%) の順で使用した。

スキーンズと対戦し、シングルヒットとライナーアウトを記録したオールスター捕手アドリー・ラッチマン は、打席で感じたことを次のように語った。

「球が速いし、迫ってくる感じがする」
「今日は彼のほとんどの球種を見ることができたが、本当に素晴らしい投手だと感じた。決断を素早く迫られるし、ゾーンの両サイドをうまく使い分けている。すごい球を投げているのがよく分かる」
「昨年のスプリングトレーニングで1打席、今日2打席対戦したが、彼が並外れた投手であることは明らかだ。打者に真っ向勝負を挑むし、それがまた彼の魅力なんだ」

スキーンズの奪三振率(33.1%)はMLB全体で95パーセンタイルに位置し、昨シーズンは9イニングあたり11.5奪三振 を記録した。また、WHIPは 0.947 と圧倒的な安定感を誇る。

さらに、投球の得点価値(Pitching Run Value)やファストボールの得点価値(Fastball Run Value)(相手の得点抑制効果を示す指標)において、スキーンズはMLB全体で99パーセンタイル に入るほどの圧倒的な支配力を見せている。


スキーンズはすでにスプリングキャンプで効率的な投球を意識して取り組んでいると語っており、その姿勢をレギュラーシーズンにも持ち込みたいと考えている。特に球数の管理を意識することで、若手の才能を活かして勝利を目指すチームにとって、より大きな影響を与えることができるはずだ。

新しい球種を取り入れることで効率的な投球が可能になるか? という質問に対して、スキーンズは慎重に答えた。

「役に立つとは思う。でも、どの程度かはまだ分からない」
「コントロールミスを少なくして、ストライクゾーンでの存在感を確立しなければならない。それ自体はこれまでと同じアプローチだけど、違う方法で実践していくつもりだ」

シンプルな答えではあるが、スキーンズはただ球種を増やすだけではなく、より精度を高めた投球を目指していることがうかがえる。

土曜日の試合は完売となった。オリオールズの有望な若手チームを見ようとする地元ファンが詰めかけたのはもちろんのこと、スキーンズの背番号30を背負った黄色いジャージを着たファンの姿も目立った。

スキーンズはこの1年間で 野球という枠を超えた存在 になりつつある。彼のプライベートな話題から記録的な価値を持つルーキーカードに至るまで、注目が途絶えることはない。

特に話題になっているのが、彼の「1-of-1 Topps Rookie Debut Patch Autograph」カードだ。このカードは11歳のコレクターがパックから引き当てたもので、今月オークションに出品される予定だ。落札額は少なくとも6桁(10万ドル以上)に達すると見られており、収益は慈善事業に寄付される見込みである。

スキーンズが2025年にどんな成績を残すのか—。
野球界全体が彼の次なる飛躍を固唾をのんで見守っている。

引用元:mlb.com

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