パイレーツ・スキーンズ 新たな球種を追加か?

ポール・スキーンズ MLB パイレーツ

ブラデントン(フロリダ州)――ポール・スキーンズの持ち球の中でも、彼自身が「偶然から生まれた」と語る最高の球種がある。それが“スプリンクラー”――スプリッターとシンカーのハイブリッドだ。この球は昨年、何気ないキャッチボール中に生まれ、そこから研ぎ澄まされ、今や球界屈指の武器となった。スキーンズは生来の“いじり屋”であり、その探究心がこの宝石のような球をもたらした。

「本気になれば、野球のボールでできないことはないって、改めて実感するよ」とスキーンズは語る。その言葉はまるで、ベートーヴェンがピアノについて語るかのように、あるいはジュリア・チャイルドが鶏肉について語るかのような響きがあった。

そして、この冬、スキーンズは再びその探究心を武器に2つの新球種を習得した――カッターとシンカーだ。カッターは90マイル台のブレーキングボールが欲しいという思いから生まれ、今春のオープン戦3試合で既に披露されている。一方のシンカーは、まだ多くは使われていなかったが、月曜日の登板(スプリングトレーニング最終登板のひとつ前)でついに投入された。


スプリンクラーとシンカーを見分けるのは非常に難しい。そもそもスプリンクラーは、半分がシンカーそのものだ。Baseball Savantのデータによると、スキーンズのスプリンクラーは平均94マイル、垂直変化30.3インチ、水平変化14インチ、スピン量1,760rpm。ちなみにSavantでは、現在この球は「シンカー」と分類されている。

月曜の登板後にスキーンズが「今日はシンカーで2つアウトを取れた。それがすべてのフィードバックだよ」と話したことが、我々にとって最大の手がかりだ。彼のファストボールの軌道データを見ると、他と違う特徴を持った球がいくつかあり、それがシンカーである可能性が高い。

「春のキャンプでは今日まであまり投げていなかったけど、今の仕上がりには満足している」とスキーンズは語った。

サンプル数が少ないことを念頭に置いたうえで――スキーンズの投じた“フォーシーム”でも“スプリンクラー”でもない、いわば「異端」の球たちに注目すると、平均97マイル、垂直変化22インチ、水平変化14.3インチ、スピン量約2,250rpmという数値が出ている。つまり、スキーンズは縦の変化を少し犠牲にする代わりに、球速とスピン量を引き上げているのだ。

このデータを文字で追うよりも、「実際に見る」方が分かりやすいかもしれない――どうぞ、このピッチを映像で確認してみてほしい。


これら2つの投球結果は、スキーンズがこのシンカーをどう使おうとしているかのヒントにもなるかもしれない。スキーンズ本人はこの春、「もっと効率的に投げたい」と語っており、実際、月曜の登板序盤はやや非効率的だった――85球を要し、4回途中で一度ベンチに下がり、5回を投げるために再登板する場面もあった。

そんな中で「初球のインサイド・シンカーで、簡単に打ち取る」――まさにこのライアン・ジェファーズへの初球でサードゴロを打たせたシーンは理想的な効率性の体現だったと言える。

さらに3回、ランナー2人を背負った場面でも、同じく“推定シンカー”を使い、ホセ・ミランダをポップフライに打ち取る。この球は「要所でゴロや凡打を引き出す武器」として、今後も活躍しそうだ。


「打者に尊敬される(意識させる)もう1つの球種を加えたかったんです」とスキーンズは語る。「他の球種とうまく補完し合って、バットの芯を外せる球だと思います」

もちろん、「スキーンズの球種構成はすでに十分に厄介であり、”良いものを詰め込みすぎるのも考えもの”」という見方もある。大学時代は主にフォーシームとスライダーの2球種を武器に支配的な投球を見せ、2023年のドラフトでは全体1位で指名された。いわば「素の状態」でも十分に一級品だ。

だが、もし彼が新しい握りや球種に挑戦する「探究心」を持っていなければ、今や打者の悪夢となっているスプリンクラーも存在しなかったかもしれない。

「スキーンズに限らず、彼のような“武器”を持つ投手は、別に新しいことに挑戦しなくてもやっていけるんだよ」とパイレーツのデレク・シェルトン監督も語る。「エリートなフォーシーム、スプリンクラー、どれでもやっていける。でも、スプリングトレーニングの目的は“試すこと”。1球ずつ目的を持って投げ分けられるスキーネスのような投手は、数少ない存在だよ」

ちなみに、このシンカーが“最終形態”になる保証もない。 スキーンズは半ば冗談交じりに「レギュラーシーズン中にも新しい球を投げるかもね」と語り、「インスピレーションはいつ降りてくるか分からない」と常に新たな挑戦に意欲を見せていた。

「探究心は一生尽きないと思うよ。10年後にはナックルボール投げてるかもしれないしね」――と笑うスキーネスだった。

アレックス・スタンプ:MLB.comパイレーツ担当
引用元:mlb.com

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