サンディエゴ — 土曜夜、試合開始からわずか1打者でパドレスが先制。今のチームにとっては、それだけで十分だった。
フェルナンド・タティス Jr. が初回に先頭打者ホームランを放ち、9回にはジャンプキャッチで試合を締めくくった。その間、サンディエゴの投手陣は再び完璧な仕事を果たした。
今季15試合目にして早くも5度目の完封勝利を収めたパドレス。この日はペトコ・パークでのロッキーズ戦を2-0で制した。先発カイル・ハートが6回をわずか1安打無失点に抑える力投を見せ、その後はブルペン陣がしっかりとリードを守り切った。
5回にはジェイソン・ヘイワードが加入後初となるソロホームランを追加し、貴重な追加点をもたらしたが、結果的に必要なかった。パドレスは2015年のアスレチックス以来、シーズン最初の15試合で5度の完封を記録した初のチームとなった。
「驚きではないよ」と語ったのは捕手のマルティン・マルドナード。「彼ら(投手陣)はずっとこんな感じだったし、自分たちのやることに自信を持っている。…これは全員の努力の結晶なんだ。データを準備してくれるスタッフ、ピッチングコーチのルーベン(ニエブラ)、投手陣全体、ブルペンコーチのベン・フリッツ、そして春季キャンプから続くコミュニケーション、すべてが組み合わさって今の結果に繋がっているんだ。」
今季のパドレス投手陣はまさに圧巻。中でも本拠地ペトコ・パークでの活躍が際立っており、これまで記録した5度の完封すべてがホームで達成された。今季のホームゲーム9試合は全勝。チームの12勝3敗という成績はMLB全体でトップとなっている。
「これは積み重ねなんだ」と語ったのはパドレスのマイク・シルト監督。「投手陣が好投できる理由はいくつもある。もちろん才能ある投手たちが揃っている。でもそれだけじゃない。彼らは準備ができているし、ほとんどの場合でストライクゾーンをしっかり制御し、カウントを有利に進めているんだ。」
「(前回の登板は)ここ最近で一番恥ずかしかった瞬間だった」とカイル・ハートはシカゴでの試合を振り返った。「友人や家族が8〜10時間かけて観に来てくれていたんだ。その試合のあと、ずっと気分が悪くて…。だから、もう一度マウンドに立って、チームに勝つチャンスを与えられたことが本当に嬉しかった。」
前回の登板ではわずか2/3回で降板し、初回に4四球を与えるなど制球難に苦しんだハートだったが、この日の内容はまったく別人のようだった。無四球で4奪三振、失点はカイル・ファーマーに許した4回の二塁打のみ。効率的な投球で、見事に自身のリベンジを果たした。
ハートはそれだけにとどまらなかった。この日の球数はわずか74球で、7回のマウンドにも十分上がれる状態だった。しかし、今季のパドレスのブルペンはMLBで最強と評されるほどの安定感を誇っており、ここまでリードをもらって登板した中継ぎ投手が一度も逆転を許していない。だからこそ、ハートは6回無失点での降板を素直に受け入れた。
「彼らに試合を締めてもらえるチャンスを与えるだけさ」とハート。「今のブルペンがどれだけ強力か、どれだけ“猛者”が揃っているか、それを分かってないなら馬鹿だよ。」
パドレスはこの日もいつもの“勝利の方程式”で逃げ切った。ジェレマイア・エストラーダ、ジェイソン・アダム、そして守護神ロバート・スアレスが7回から9回を無失点でつなぎ、完封リレーを完成。パドレスのブルペン防御率1.51はMLB全体でトップであり、チーム全体の防御率2.86もメッツに次ぐ2位と抜群の安定感を示している。
「うちの投手陣は本当に素晴らしい仕事をしてくれている。最初から最後までね」とタティスは語った。「彼らの後ろで守るのは楽しいよ。常に試合に集中させてくれるし、ストライクゾーンにどんどん投げ込んでくれる。そういう投球をしてくれれば、守ってる僕らも自然と集中できる。」
特にその集中力を象徴したのがタティス自身だった。13本目となる先頭打者本塁打を放つ前、試合最初の打者だったロッキーズのエゼキエル・トーヴァーのヒット性の打球をスライディングキャッチで阻止。そして最後は、自らの手で試合を締めくくるスーパーキャッチでエンディングを飾った。
スアレスにとっては、これまでのハイレベルな安定感からすると珍しい「オフの夜」だった。今季、球団史上初めて「開幕から6試合連続無安打登板」を記録した彼だが、この日は2安打を許し、さらにもう1本打たれそうな場面もあった。
9回、同点の走者を背負う緊迫の場面。クリス・ブライアントが右中間への鋭いライナーを放つと、そこにいたのはやはりフェルナンド・タティスJr.。ライン際を猛追し、フェンス際でジャンプ一番、劇的なキャッチで試合を締めくくった。
これでまたひとつ完封勝利が積み重なった。今のパドレスにとって、それはもはや「日常」になりつつある。
AJ.カッサヴェル:MLB.comパドレス担当
引用元:mlb.com