メッツとヤンキースは、半世紀以上にわたりニューヨークの豊かな野球文化を共同で支えてきた存在です。ヤンキースは1903年に創設され、メッツはドジャースとジャイアンツが1958年にカリフォルニアへ移転した後の1962年に誕生しました。
この両チームがニューヨークの兄弟球団として共存してきた長い歴史の中で、両リーグの防御率(ERA)リーダーが同時にニューヨークの球団所属だったのは、1978年の一度きり。その年は、ヤンキースのロン・ギドリーがMLBトップの防御率1.74を記録し、メッツのクレイグ・スワンがナ・リーグトップの2.43をマークしました。
そしてもう一つ、シーズンを通して一度も実現していないことがあります。それは――メッツとヤンキースの双方から、防御率+(ERA+)150以上を記録した規定投球回達成の先発投手が出ることです。
しかし、それが今年ついに実現する可能性があります。
ヤンキースのマックス・フリードとメッツの千賀滉大は、それぞれ2025年シーズンのちょうど折り返し地点に差しかかっている。
フリードは現地火曜日のロイヤルズ戦でまたも好投し、これで今季14先発目。千賀は現地木曜日に予定されているナショナルズ戦で13先発目を迎える予定だ。どちらも防御率は2.00を大きく下回っており、フリードが1.84、センガは1.59を記録している。
火曜日の登板前時点で、フリードのERA+は225。千賀も次回登板前の時点でERA+は238と、どちらも驚異的な数値を記録している。
ヤンキースとメッツの両球団から、規定投球回をクリアしつつERA+が140以上だったシーズン:
- 2023年:ゲリット・コール(165/NYY)、千賀滉大(140/NYM)
- 2016年:田中将大(140/NYY)、ノア・シンダーガード(155/NYM)
- 1997年:デビッド・コーン(159)&アンディ・ペティット(156/NYY)、リック・リード(141/NYM)
- 1978年:ロン・ギドリー(208/NYY)、クレイグ・スワン(143/NYM)
- 1975年:キャットフィッシュ・ハンター(144/NYY)、トム・シーバー(146/NYM)
- 1968年:スタン・バンセン(140/NYY)、ジェリー・クーズマン(145/NYM)
ERA+が150以上の両球団先発がいたシーズン:
なし
※ただし、2020年の短縮シーズン(60試合)では、コール(151)とデグロム(180)がともに記録している。
フリードは今季、まさに支配的な投球を続けている。MLBの規定投球回到達投手の中で、速球(フォーシーム)のランバリューは全体2位(+14)。多彩な変化球との組み合わせが、打者に的を絞らせない。
ヤンキースのアーロン・ブーン監督も、打者有利なクアーズ・フィールドで7回1/3を1失点に抑えた試合後にこう語っている:
「彼は今のところ、メジャー最高の投手と言っていい。何より際立っているのは、いろんな方法で打者を打ち取れるところだね。速球、ツーシーム、カッター、ブレーキングボール、チェンジアップ、スウィーパー……。マウンド上の身体能力、フィールディング、走者への牽制能力。すべてが優れている。」
フリードに「成功の秘訣は?」と尋ねれば、返ってくるのは「実行力(execution)」の一言。
一方、メッツの千賀も負けていない。ロッキーズ戦で6回1失点の好投を見せた後、千賀本人は通訳を介してこう語った:
「まだ自分でもわかりません。あなたはどう思いますか?」
彼自身は謙遜するが、数字は雄弁に物語っている。フリードのキーワードが「実行力」なら、千賀のそれは「ゴーストフォーク」の二語に尽きるだろう。
この打者の目の前から消えるように落ちるフォークボールは、打者にとってはまさに悪夢。今季、この球に対する被打率はわずか.118、長打率も.183と、打者はほとんど手が出せない。さらに空振り率は41.6%と圧倒的だ。
今季、ニューヨークの2人のエースがどこまで記録を伸ばすか――歴史的なシーズンになりそうだ。
ニューヨークのフリードとともに、歴史的な記録を打ち立てる可能性について聞かれた千賀の回答は、ヤンキースのサウスポーに対する敬意をにじませるものだった。
「マックス・フリードは素晴らしい投手です」と千賀は語った。
「彼はこれまでのキャリアでもずっと結果を出し続けてきました。だから、防御率が2点を下回っていると聞いても、正直驚きはありません。そういう投手なんです。自分としては、彼のやっていることに何とかしがみついて、自分がやるべきことを積み重ねていきたいと思っています。」
フリードと肩を並べること自体が十分に立派なことだが、千賀と肩を並べることもまた然りだ。事実、このニューヨークの2人のエースが今の投球を維持し続ければ、2人だけの歴史的な領域に到達する可能性もある。
マニー・ランダワ:MLB.com記者
引用元:mlb.com