2025年シーズン デビュー戦で印象的だった投手10人

ナショナルズ マッケンジー・ゴア MLB

シーズンはまだ始まったばかりだが、すでに注目を集めている投手たちが数多くいる。

若手が新たなステージに突入したり、ベテランが新たな武器を加えたり、健康を取り戻して本来の姿を見せたりと、今季初登板で印象的な投球を見せた先発投手たちには事欠かない。

ここでは、今季初登板で輝きを放った10人の投手を紹介する。

目次

マッケンジー・ゴア(ナショナルズ)
6回 1安打 無失点 無四球 13奪三振(3月27日 vs. フィリーズ)

今シーズンこそ、ゴアがすべてを噛み合わせて完全開花する年になるのかもしれない。26歳の左腕は以前から野球ファンの間ではよく知られた存在で、昨シーズンは166回1/3を投げて防御率3.90、FIP3.53と、その才能の片鱗を見せていた。

しかし今シーズンの開幕戦で見せたパフォーマンスは、これまでで最も完成されたゴアだった。ゴアはア・ナ両リーグの歴史で、開幕戦において「13奪三振&無四球&無失点」という快投を記録した2人目の投手となった。最初の達成者はボブ・ギブソン(1967年)だ。

この快投の鍵となったのは、新たに加えたスライダー。この球で6つの三振を奪い、相手打者のスイング10回中8回を空振りに仕留めた。


ヘスス・ルサルド(フィリーズ)
5回 5安打 2失点 2四球 11奪三振(3月29日 vs. ナショナルズ)

フィリーズは今オフ、すでに充実している先発投手陣にさらなる才能を加える必要はなかったかもしれないが、それでもマーリンズからルサルドを獲得した。2024年はケガに悩まされたシーズンだったが、フィリーズでの初登板では、2023年の好調時(防御率3.58/208奪三振)に近い姿を見せた。

27歳の左腕は、わずか5イニングでナショナルズ打線から11三振を奪い、相手打者のスイング43回中18回を空振りに仕留めた。フォーシームの平均球速は前年より1.7マイル上昇し、スライダーと新たに加えたスウィーパーの両方で5つずつ三振を奪うなど、多彩な球種で打者を圧倒した。


シェーン・バズ(レイズ)
6回 7安打 無失点 無四球 10奪三振(4月1日 vs. パイレーツ)

バズは今季初登板で圧巻の投球を披露し、自身を2017年ドラフト1巡目(全体12位)で指名した古巣パイレーツ相手に強烈な印象を残した。かつてはMLBパイプラインで全体12位にランクされた有望株だったバズだが、トミー・ジョン手術の影響で2023年シーズンを丸ごと棒に振るなど、今季までに投げたメジャーのイニング数はわずか119回2/3にとどまっていた。

しかし2025年の開幕戦では、長年の評価が間違っていなかったことを証明するかのような投球を見せた。25歳の右腕は、フォーシームの平均球速が97.1マイルと速球でも圧倒したが、特に際立っていたのはミッド80マイル台のカーブ。10奪三振のうち8つがこの鋭いカーブによるもので、打者を翻弄した。


ケイシー・マイズ(タイガース)
5回2/3、1安打、無失点、3四球、6奪三振(4月1日 vs. マリナーズ)

2018年ドラフト全体1位指名のマイズにとって、ついに待望のブレイクの始まりとなるのだろうか?これまでタイガースで4シーズンにわたり通算291イニングを投げ、防御率4.36、FIP4.60という成績を残してきたマイズは、2023年シーズンをトミー・ジョン手術と腰の手術によって丸々欠場していた。

28歳を目前に控えたマイズは、マリナーズ戦で圧巻の復帰登板を披露。キャリアでわずか3度目となる5回2/3以上の無失点投球を達成した。空振り率は驚異の42.8%を記録し、フォーシームで5回、スプリッターで5回、スライダーで4回の空振りを奪うなど、多彩な球種で打者を圧倒した。


ダスティン・メイ(ドジャース)
5回 1安打 1失点(自責0)3四球 6奪三振(4月1日 vs. ブレーブス)

メイにとって、まさに波乱万丈の道のりだった。2021年のトミー・ジョン手術、2023年の屈筋腱手術、そして昨年には命に関わる食道の手術まで経験し、今季までのメジャー登板数はわずか191回2/3にとどまっていた。

そんな中、2023年5月17日以来となる実戦登板で、メイはブレーブス打線を相手に堂々たる復帰を果たした。5回を投げて許した得点は失策絡みの1点のみ、被安打1と完璧に近い内容で、その“電光石火”のボールのキレは健在だった。

この日は特に回転数3,000を超えるスウィーパーを軸に組み立てつつ、ミッド90マイル(約152km/h)帯のフォーシーム、シンカー、カッターという3種類の速球を織り交ぜて攻めた。

すでに豪華すぎるとも言えるドジャースの先発ローテーションだが、メイが健康を維持できれば、彼らの先発陣はメジャー最強と言っても過言ではないだろう。


ブレイディ・シンガー(レッズ)
7回 1安打 無失点 2四球 8奪三振(3月31日 vs. レンジャーズ)

シンガーがレンジャーズ戦で7回無失点の快投を見せたことで、レッズの投手としてデビュー戦で7回無失点を達成したのは、1977年のトム・シーバー以来初となった。しかも、それを強力なレンジャーズ打線相手に、打者有利の球場として知られるグレート・アメリカン・ボール・パークでやってのけたのだから、なおさら印象的だ。

シンガーが「被安打1で7回無失点」を達成したのはキャリアで3度目で、最後は2022年7月28日まで遡る。さらにこの日は、複数の球種で空振りを奪う内容で、スライダーで6回、シンカーで4回、フォーシームで3回、新たに加えたカッターでも3回の空振りを記録した。


ジャック・ライター(レンジャーズ)
5回 5安打 1失点 1四球 4奪三振(3月28日 vs. レッドソックス)

今シーズン開幕に向けて、ライターには明るい兆しが見えていた。スプリングトレーニングでは球速の大幅アップに加え、新球のシンカーと“キック”チェンジアップを披露し、大きな進化を感じさせた。

その期待は初登板でしっかりと証明された。強力なレッドソックス打線を相手に、右腕ライターは5回を投げてわずか1失点、4奪三振の好投を見せた。

ライターは2021年ドラフトでレンジャーズに全体2位で指名された逸材で、名門ヴァンダービルト大からプロ入りした当初から先発ローテーションの柱として期待されてきた。今年こそ、その期待が現実になる年になるかもしれない。


ジェフリー・スプリングス(アスレチックス)
6回 3安打 無失点 1四球 9奪三振(3月28日 vs. マリナーズ)

スプリングスは2022~23年にレイズで頭角を現し、151回1/3を投げて防御率2.26、FIP2.91という素晴らしい成績を残した。しかし2023年はわずか3登板でトミー・ジョン手術を受け、戦線を離脱。その後2024年に復帰し、レイズで7先発(33回、防御率3.27)の好投を見せ、オフにアスレチックスへトレードされた。

アスレチックスでの初登板では、まさに彼がなぜ貴重な存在なのかを証明した。6回を無失点、9奪三振という圧巻の内容で、持ち味である抜群のコマンドとキレ味鋭いチェンジアップが光った。

もしスプリングスとルイス・セベリーノが本来の力を発揮できれば、アスレチックスは今季の注目チームとなる可能性を秘めている。


クリス・バビッチ(ロイヤルズ)
6回 3安打 無失点 2四球 8奪三振(3月31日 vs. ブリュワーズ)

昨シーズン、ロイヤルズがワイルドカードでサプライズのプレーオフ進出を果たした際、その原動力となったのが先発投手陣だった。そして今季、もしバビッチの初登板がその前兆だとすれば、先発陣はさらに強力になりそうだ。

バビッチはトミー・ジョン手術によって15か月の離脱を経験したが、昨年7月に復帰し、ブルペンで好投(防御率2.67/30回1/3で39奪三振)を見せた。そして今季からは、2020〜2023年に担っていた本来の先発ロールへと戻り、さっそく結果を出した。

この登板では、相手打者のスイング47回中15回の空振りを奪い、特に92.5マイルのフォーシームでは11回もの空振りを記録。平均18.5インチという優れた垂直変化量を誇り、打者に的を絞らせなかった。


タイラー・メギル(メッツ)
5回 3安打 1失点 1四球 6奪三振(3月28日 vs. アストロズ)

メッツは、先発投手陣を最大限に引き出す育成力で近年評価を高めており(昨年のショーン・マネイアやルイス・セベリーノがその好例)、今季はメギル、クレイ・ホルムズ、グリフィン・キャニングといった選手たちがその流れに続くかもしれない。

メギルは今季初登板で5回1失点、6奪三振の好投を披露。その中で特に目を引いたのが、球速をやや落とす代わりに縦の落差を増したスライダーの進化形だ。さらに、フォーシームの平均球速は96.4マイルを記録。この球速を維持できれば、メギルは今季メッツの大きな武器となる可能性がある。


ブレント・マグワイア:MLB.com記者
引用元:mlb.com

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