ポート・セントルーシー(フロリダ州)発 —月曜日、ポート・セントルーシーに雨が降った。それは、大問題だった。
「雨は最悪だよ」とメッツの戦略コーチ、ダニー・バーンズは語った。「本当に困るんだ。」
バーンズがレインコートを忘れたわけではない。彼の仕事はクローバー・パークで行われるすべてのトレーニングを管理すること。それ自体が大変な作業だが、今はいつも以上に難しい状況にある。
メッツのキャンプには現在68人の選手が参加しており、スプリングトレーニング施設はまるで小さな町のような状態になっている。
キャンプの慌ただしい日常
朝になると、選手たちは一斉に集まり、ジェレミー・ヘフナー投手コーチが「フットボールのストレッチ」と呼ぶウォームアップを行う。そこから9つのグラウンドに散らばり、それぞれのメニューをこなす。
打者はバッティングケージに流れ込み、早朝から日が暮れるまで打ち込む。投手たちは6つのマウンドをローテーションで使いながら投球練習を行う。中には、小さなゴルフカートで移動する選手もいる。
スタッフたちは68人の選手をサポートするため、施設内を絶えず動き回る。誰かは救急キットを運び、また誰かは電解質ウォーターを詰めたホルスターベルトを装備している。こうして、それぞれの役割を果たしながら、キャンプは一日中、分刻みのスケジュールで進行していく。
POV: You're a MLB catcher in the bullpen 🔥⚾️
— New York Mets (@Mets) February 23, 2025
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キャンプには選手を含め、約150人のスタッフが常駐している。
「洗濯物が山ほどあるよ」と、クラブハウスのスタッフの一人が嘆く。「みんな違うメニューをこなしているからね。」
雨がもたらす混乱
雨が降ると、メッツのキャンプはクラブハウス、バッティングケージ、そして2つの室内マウンドだけに制限される。68人の選手が限られたスペースを順番に使うことになり、スケジュールの調整はまさに悪夢。
さらに、遠征時の代替プランを考えながら、天候の影響を受けた選手のトレーニングを組み直す必要がある。
「雨は間違いなく最悪だよ」とバーンズは再び繰り返した。
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— New York Mets (@Mets) February 24, 2025
ポート・セントルーシーへようこそ!68人の選手がいると、やはり多い…
4年前、メッツは今回と同じく68人の選手をキャンプに招集した。しかし当時は新型コロナウイルスの影響で、予期せぬ離脱に備えるための特別な措置だった。
今年の大所帯は、MLB全体の傾向を反映したものだ。リーグのキャンプ参加選手の平均は65人で、チームごとの人数はブレーブスの56人から、マリナーズの73人までと幅広い。メッツより多い選手を抱えているチームは7つある。
選手68人分の食事事情
「68人が普通の範囲内」と言っても、運営が簡単なわけではない。例えば、これだけの大人数が必要とするものを考えてみよう。
スタッフの推計によると、メッツは1日に少なくとも30ケースの電解質ウォーターを消費。1回の食事で最大60ポンド(約27kg)の牛肉を使用する。
さらに、1日あたり消費される卵の数は約540個!(単純計算で1人あたり約3.5個になる。)
スプリングトレーニング期間中のメッツの消費量
メッツはキャンプを通じて、1,300個以上のボールを使用し、洗濯用洗剤は240ガロン(約900リットル)を消費する。
ホームクラブハウスでは、ロッカーが2つを除いてすべて埋まっている。さらに、16人のマイナーリーグスタッフが一時的にメジャーのコーチ陣に合流しており、コーチングルームも満員状態。
キャンプ初日の全体ミーティングでは、会議室があまりにも混雑し、スタッフが壁際に立って会議に参加するほどだった。3つの壁がスタッフで埋め尽くされるほどの大人数だったという。
Vibes are immaculate in the sun ☀️ pic.twitter.com/gVm0uQmLNl
— New York Mets (@Mets) February 21, 2025
では、なぜメッツにはこんなにも多くの選手がいるのか?
まず第一に、スティーブ・コーエンの豊富な資金力がマイナーリーグFA市場での優位性をもたらしている。これにより、メッツは他球団よりもわずかに高い契約オファーを提示でき、経験豊富な選手を引き寄せることができる。
もちろん、大半の選手は組織全体に大きな影響を与えることはないかもしれない。しかし、もしホセ・イグレシアスのような実力者が1人でも台頭すれば、その投資は十分に価値のあるものとなる。
第二に、有望な若手がすでに上位マイナーにいる。メッツのトッププロスペクトの多くはすでにマイナー上位レベル(2A・3A)にいるため、まだメジャー昇格していない選手へのキャンプ招待が例年よりも増えている。
そして、第三は、レギュラー選手の早期出場を避ける新たなトレンド。現代のトレーニング理論に基づき、メッツのようなチームはスプリングトレーニングの序盤(2月)の試合でレギュラーを起用することを避ける傾向にある。ブランドン・ニモやスターリング・マルテのような主力選手が出場しないなら、代わりにプレーする選手が必要になる。
最後に、チーム編成の考え方の変化。近年では、従来の「26人・40人枠」だけにとらわれないロスター構築が主流となっている。実際に、現在のMLBチームは1シーズンに60人以上の選手を起用するケースが増えており、メッツもスプリングトレーニングを活用し、できるだけ多くの潜在的な戦力を把握しようとしている。
「本気で勝ちたいチームなら、こうなるのは当然だよ」と、リリーフ投手のケビン・ハーゲットは語った。
「でも、これが現実的にどう影響するかというと…」と野球運営部門の社長デビッド・スターンズは冗談交じりに言った。「ダニー・バーンズの仕事がめちゃくちゃ大変になるってことだよ。」
最終的に、ここにいる68人のうち42人は開幕ロースターに残らない。それまでの間、バーンズは選手たちのスケジュール管理を続けなければならない。
通常、バーンズは朝5時30分にはクローバー・パークに到着。遠征試合がある日は助手席に座り、帰りの車中で仕事を進める。それでも、夜にはさらに書類作業が待っている。
ようやく準備が整うのは午後6時~6時30分頃。しかし、日によってはさらに忙しくなることもある。
例えば火曜日がそうなりそうだ。天気予報によると、また雨が降るらしい…。
アンソニー・ディコモ:MLB.comメッツ担当
引用元:mlb.com