歓声?ブーイング?大きな感動を呼び起こしそうな11選手のホームカミング

MLB メッツ フアン・ソト

ホームカミングというのは、とても感情的になるものです。思い出が詰まった場所、築かれた人間関係――そうした要素が重なり合って、再訪時には誰もが心を揺さぶられるものです。野球でも、それは同じです。

スター選手が移籍した後、トレードやFAでチームを離れて初めて古巣と対戦する際は、選手にとってもファンにとっても、感情が入り混じる場面になるのが常です。

そうした“再会”は、忘れがたい光景を生み出すこともあります。昨季のリース・ホスキンスのフィラデルフィア凱旋や、2022年のフレディ・フリーマンのアトランタ復帰戦を覚えているでしょうか?

2025年シーズンも、選手たちが古巣に戻ることで、感情が揺さぶられるような注目のシリーズがいくつも予定されています。ファンの反応はどうなるでしょうか?スタンディングオベーション?ブーイング?それとも控えめな拍手?

ここでは、特に感情が揺れ動く可能性のある11のシリーズをご紹介します。


レッドソックス @ ホワイトソックス:ギャレット・クロシェ、シカゴ凱旋(4月11日〜13日)

クロシェは、ホワイトソックスで4シーズンを過ごし、その多くをリリーフ投手として投げてきました。しかし、トミー・ジョン手術からの復帰を経て2024年に先発へ転向すると、一気にブレイク。オールスター出場、146回で209奪三振、そしてア・リーグのカムバック賞受賞という大活躍の末、ボストンへトレードされました。今やレッドソックスのローテーションの柱として、ポストシーズン進出を狙うチームを支えています。

現時点では、このシリーズでクロシェが登板する可能性が高く、もし実際にマウンドに立てば、シカゴのファンは彼の昨季の活躍を思い出し、その功績を称えることでしょう。


ブルージェイズ @ オリオールズ:アンソニー・サンタンデール、ボルチモア凱旋(4月11日〜13日)

サンタンデールはボルチモアでの年月を重ねるごとに、着実に力をつけていきました。2017年に初昇格して以来、出場すれば安定して好打を見せる存在でしたが、特に2022年以降はア・リーグ屈指のインパクトバッターとしての地位を築き始め、オリオールズが再び強豪への道を歩む中で、その中心的な存在となっていきました。

ボルチモアで過ごした最後の3シーズンでは、年間平均35本塁打・95打点を記録し、チームのポストシーズン進出に大きく貢献。地元ファンからの支持も厚い存在となりました。昨季は自己最多の44本塁打を放ち、初のオールスター出場、初のシルバースラッガー賞受賞、さらにはMVP票も獲得。そしてオフに、ブルージェイズと5年9250万ドルの大型契約を結び、新天地へと旅立ちました。

そんなサンタンデールのカムデンヤーズ復帰は、本人にとってもファンにとっても、感情が高ぶる時間となることは間違いありません。


メッツ @ ヤンキース:フアン・ソト、ブロンクス凱旋(5月16日〜18日)

ヤンキースファンがソトに対して歓迎ムードを見せないとしても、無理はありません。2024年限りでチームを離れ、ライバル球団であるメッツと15年・7億6500万ドルという超大型契約を結んだのですから。

とはいえ、初打席でスタンディングオベーションが送られる光景が見られても不思議ではありません。ソトは2024年、ヤンキースで7.9のbWARを記録し、オールスター出場、さらにア・リーグMVP投票で3位に入る大活躍を見せました。

そして何より、ヤンキースのポストシーズン史に残るドラマを演出しました。ア・リーグ優勝決定シリーズ第5戦、延長10回に飛び出した勝ち越しの3ランホームラン――あの打席は、ヤンキースをワールドシリーズ進出に導く伝説的な瞬間となりました。

歓声かブーイングか、その答えはブロンクスの空気が決めることでしょう。


ブルージェイズ @ ガーディアンズ:アンドレス・ヒメネス、クリーブランド凱旋(6月24日〜26日)

メッツからクリーブランドへトレードされた直後から、アンドレス・ヒメネスは二塁の守備職人として、そして“隠れたスーパースター”としてその存在感を確立しました。2022年の初のフルシーズンでは、7.4のbWARを記録し、ア・リーグのオールスター出場、さらにゴールドグラブ賞も初受賞。その後も3年連続で同賞を獲得し、守備面での価値は誰もが認めるものとなりました。

これらの功績により、ヒメネスは7年1億650万ドルの契約を結び、ガーディアンズでの将来は明るいと思われていました。しかし、近年は打撃成績が下降気味だったことから、昨オフにブルージェイズへとトレードされることに。

とはいえ、クリーブランドのファンからは非常に愛されていた選手であり、その別れを惜しむ声も多く聞かれました。6月の凱旋シリーズでは、多くの温かい拍手と歓迎ムードが彼を包むことでしょう。


カブス @ アストロズ:カイル・タッカー、ヒューストン凱旋(6月27日〜29日)

カイル・タッカーがヒューストンで過ごした日々は、まさに波乱万丈で輝かしいものでした。レギュラーとして定着した5シーズンの間に、平均OPS+143という驚異的な打撃成績を残し、2022年から3年連続でオールスター出場、ゴールドグラブ賞とシルバースラッガー賞も獲得。さらに3度のワールドシリーズ出場、2022年の世界一と、アストロズの黄金期を象徴する選手の一人でした。

その価値の高さは、昨シーズンの数字にも表れています。脛のケガでわずか78試合の出場にとどまりながらも、23本塁打・4.7 bWARを記録。まさに“最も恐れられる打者”のひとりでした。

そんなタッカーが2025年シーズン開幕前にカブスへトレードされ、アストロズファンにとっては衝撃的な別れとなりました。まだキャリアのピークにいる選手だけに、その存在感は一層大きかったことでしょう。

この6月末の凱旋シリーズでは、彼がチームにもたらした数々の功績を称え、ミニッツメイド・パークは温かく彼を迎えるはずです。熱烈なスタンディングオベーションが待っていることでしょう。


ヤンキース @ ブレーブス:マックス・フリード、トゥルイスト・パーク凱旋(7月18日〜20日)

マックス・フリードは、ブレーブス史上でも屈指の先発投手のひとりでした。アトランタでの151先発登板で防御率3.07を記録し、2度のサイ・ヤング賞投票入り(2022年には2位)を果たした実績を誇ります。さらに2021年のワールドシリーズ第6戦では6回無失点の快投を見せ、ブレーブスに1995年以来の世界一をもたらしました。

そのキャリアの完成度は歴代の名投手たちと並ぶレベルで、ブレーブスで150試合以上先発登板し、防御率3.07以下を記録した投手は、フリードの他にはグレッグ・マダックス(2.63)とウォーレン・スパーン(3.06)だけ。それほどまでに、彼の存在はチームの屋台骨を支えていたのです。

オフシーズンにはヤンキースと8年総額2億1800万ドルの契約を結び、ついに別のユニフォームをまとうことになりました。

この7月の凱旋シリーズで、フリードが登板するかどうかはまだ不透明ですが、もし彼がトゥルイスト・パークのマウンドに立つことになれば、アトランタのファンは間違いなく温かい拍手と歓声で迎えることでしょう。彼の残した偉大な功績を称える瞬間になりそうです。


アストロズ @ ダイヤモンドバックス:クリスチャン・ウォーカー、アリゾナ凱旋(7月21日〜23日)

2019年にダイヤモンドバックスのラインアップに定着して以降、クリスチャン・ウォーカーはチームの最も信頼できる打者の一人として台頭しました。最初の6シーズンで平均OPS+は115と安定した打撃を見せ、2020年のCOVID短縮シーズンやケガに悩まされた2021年を経て、最後の3年間では平均32本塁打を放ちました。

さらに、一塁守備でも3年連続ゴールドグラブ賞を受賞。攻守両面でチームを支え、2022年のワールドシリーズ進出にも大きく貢献しました。特に2022年はキャリアハイの36本塁打、OPS+125という素晴らしい成績を記録しました。

その実績が評価され、昨オフにはアストロズと3年6000万ドルの契約を結んでアリゾナを離れました。

今回の凱旋では、たとえウォーカーが新たなユニフォームを着ていても、フェニックスのファンからは温かい拍手と称賛が送られること間違いなしです。彼の貢献は、決して忘れられることはないでしょう。


レッドソックス @ アストロズ:アレックス・ブレグマン、ヒューストン凱旋(8月11日〜13日)

アレックス・ブレグマンは、過去10年間で8年連続ポストシーズン進出、4度のリーグ優勝、2度のワールドシリーズ制覇を成し遂げたアストロズの黄金期を支えた主力選手でした。

ヒューストン時代には、MLB屈指の攻撃型三塁手として輝きを放ち、ア・リーグMVP投票で2度トップ5入りを果たしました。さらに、ブレグマンはポストシーズンでも高いパフォーマンスを見せており、アストロズで出場した20のポストシーズンシリーズで通算19本塁打を放っています。特に2019年のワールドシリーズと2023年のア・リーグ優勝決定シリーズでは、それぞれ3本塁打を記録しました。

多くの人がオフシーズンにブレグマンがアストロズと再契約することを予想していましたが、彼はレッドソックスと3年1億2000万ドルの契約を結び、新天地を選びました。

それでも、彼がアストロズとファンに与えた貢献を思えば、凱旋初戦でスタジアムが大きな歓声に包まれることは間違いないでしょう。ブレグマンにとってもファンにとっても、感慨深い再会の瞬間となりそうです。


ヤンキース @ カージナルス:ポール・ゴールドシュミット、ブッシュ・スタジアム凱旋(8月15日〜17日)

ポール・ゴールドシュミットは、セントルイスでの6年間で153本塁打、通算OPS+は130を記録し、2022年にはナ・リーグMVPにも輝いた名スラッガーです。今季はヤンキースと1年1,250万ドルの契約を結び、2018年以来となる異なるユニフォームでのブッシュ・スタジアム再訪となります。

MVP級の活躍を毎年再現できたわけではなかったものの、ゴールドシュミットは安定したパフォーマンスに加え、地域社会への貢献でも大きな存在感を示してきました。2024年にはロベルト・クレメンテ賞のチーム代表に選ばれ、MLBからはルー・ゲーリッグ賞を受賞しました(通算9度目のクレメンテ賞候補)。

そのようなフィールド内外での功績を考えれば、セントルイスのファンからの温かい拍手と歓迎は確実でしょう。ゴールドシュミットにとっても、記憶に残る感動的な凱旋となりそうです。


ジャイアンツ @ ブリュワーズ:ウィリー・アダメス、ミルウォーキー凱旋(8月22日〜24日)

ウィリー・アダメスは、2021年5月にレイズからトレードで加入して以来、3シーズン以上にわたってブリュワーズの正遊撃手として活躍しました。長打力と堅実な守備でチームを支え、ミルウォーキーでの3年間では平均29本塁打、97打点をマーク。彼の在籍中、ブルワーズは4シーズン中3度ポストシーズン進出を果たしました。

地元ファンからの支持も厚く、2024年シーズン最終戦で交代した際には、スタンディングオベーションで送り出されるほどでした。多くのファンが、彼がこの年限りでチームを離れると感じていたことでしょう。

オフシーズンには、アダメスはジャイアンツと7年1億8200万ドルの契約を結び、新天地へと旅立ちましたが、古巣ミルウォーキーへの帰還は、両者にとって感動的な再会となるはずです。温かく迎えられることは間違いないでしょう。


タイガース @ ヤンキース:グレイバー・トーレス、ブロンクス凱旋(9月9日〜11日)

グレイバー・トーレスはヤンキースでのキャリア初期に大きなインパクトを残しました。
2018年にはア・リーグ新人王投票で3位に入り、2019年には38本塁打を記録して2年連続のオールスター選出。しかしその後は守備・打撃の両面で波があり、近年は安定感に欠ける場面も見られました。

昨季は成績不振と全力疾走を怠ったプレーを理由に2度ベンチに下げられるなど厳しいシーズンとなりましたが、シーズン終盤の35試合ではOPS.861と復調し、ポストシーズンでも重要な一打を放ちました。

トーレスに対するヤンキースファンの評価はその時々で変わってきましたが、今春のスプリングトレーニングでは温かい歓迎を受けており、ブロンクス凱旋でも拍手が送られる可能性が高いでしょう。


ジェイソン・フォスター:MLB.com記者
引用元:mlb.com

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