ヤンキースが「ビジター」としてジョージ・M・スタインブレーナー・フィールドに戻ってきた木曜の夜は、まさに“奇妙な光景”だったとアーロン・ブーン監督は語りました。
通常はスプリングトレーニングでの本拠地であり、選手にとってもなじみ深いスタジアムですが、この日はハリケーンの影響で本拠地を一時移したレイズの暫定ホームゲームとして使用されていたため、ヤンキースは三塁側のビジターベンチに陣取りました。
そんなイレギュラーな状況の中で、ベン・ライスがキャリア初の4安打を記録するなどの活躍を見せ、ヤンキースは6-3でレイズに勝利。慣れ親しんだ球場ながら、普段と異なる環境下でも力を発揮しました。
この球場では選手ロッカーや練習施設の大規模改修が進められており、多くの選手が絶賛していますが、この日はそれらにアクセスできず、まさに“アウェイ気分”の一戦となりました。それでも勝ち切るあたり、さすがはヤンキースといったところですね。
ベン・ライスは、かつてヤンキース傘下のA級チームとして2021年と2022年にこのスタインブレーナー・フィールドを“本拠地”としてプレーしていた選手。そんな馴染み深い場所で、彼はスプリングトレーニングからの好調をそのままレギュラーシーズンに持ち込んでいます。
この試合では、
- 1回と3回にシングルヒット
- 5回にはツーベースヒット
- 6回には2点タイムリー
と合計4安打(4-for-4、2打点)の活躍を見せました。
また、オズワルド・カブレラは5回にソロ本塁打を放ち、ヤンキースは序盤に制球難で1回途中で降板したウィル・ウォーレンをカバーしました。
一方のレイズは、ジュニア・カミネロがライアン・ヤーブローから2ランを放ちましたが、反撃及ばず。さらに、ジャズ・チザムJr.が7回に球審への抗議で退場処分となる場面もあり、流れを掴みきれませんでした。
一から十まで、まるでスプリングトレーニングにタイムスリップしたかのような感覚――でもこの試合は「本番」でした。
ヤンキースの選手たちは、ホテルからバスでスタインブレーナー・フィールドへ移動し、今シーズンから一時的に本拠地として使用しているこの球場を初めて「敵チーム」として訪れました。
この球場は元々1996年からヤンキースの春季キャンプ地(旧レジェンズ・フィールド)として使用されてきましたが、昨年10月のハリケーン・ミルトンによる被害でトロピカーナ・フィールドが使えなくなったレイズのため、急ピッチで改装が進められてきました。
主な変更点は以下の通りです:
- 両翼の大きな「YANKEES」サイン → 「RAYS」に差し替え
- 新たな電子スコアボードの設置
- クラブハウス内を含む**「NY」ロゴの多くを「TB」ロゴに変更**
とはいえ、ジョージ・スタインブレーナー像やヤンキースの永久欠番展示など、球場の象徴的な部分はそのまま残されています。
春の間「ホーム」だった場所が、今は「ビジター」。ヤンキースにとっても不思議な一戦となりました。
「ヤンキースのシンボルをきちんと隠して、ここをできるだけ“レイズ仕様”にしてくれた」と語ったのは、レイズの内野手ブランドン・ラウ。
「でも、ここはトロピカーナ・フィールドじゃない。結局はスプリングトレーニング用の複合施設。練習用のフィールドがすぐそばにあるし、上段席(アッパーデッキ)もない。やっぱり違うし、変な感じもするよ。でも今年はここが僕たちのホーム。だんだん慣れてきた」
ちなみに、ヤンキースのアーロン・ブーン監督は、レイズのケビン・キャッシュ監督のオフィスの机に“幸運を祈るメモ”を残していたとのこと。
ブーン監督は内容について「“この場所、大事に使ってね”っていう感じのメッセージだよ」と説明。実は一緒にテキーラのボトルも置いておく予定だったが、それを忘れてしまい、木曜に持参して贈ったそうです。
「これは野球界全体にとっても良いことだったと思う」とブーン監督。
「レイズのためになることだし、両球団も協力してこうした対応ができた。お互いライバル関係にはあるけど、“正しいことをする”っていうのは、やっぱり気持ちがいいよ」と語っていました。
ブライアン・ホック:MLB.comヤンキース担当
引用元:mlb.com