トロント — ブルージェイズは、以前から理にかなう存在だった選手との契約にようやくたどり着いた。外野手アンソニー・サンタンデールと5年契約で合意した。
この契約は月曜日の夜、球団によって発表され、契約内容は5年総額9250万ドル。サンタンデールの代理人によると、契約にはオプトアウト（契約破棄条項）が含まれ、加えて契約延長のオプションが発動すれば最大6年1億1000万ドルとなる可能性がある。
サンタンデールはブルージェイズの打線に即戦力としての補強をもたらし、ウラジミール・ゲレーロJr.の後ろを打つ存在になると見られている。ゲレーロJr.はクラブコントロール最終年を迎え、さらなる活躍が期待されているが、サンタンデールはこのオフシーズンにまさに理想的なタイミングでFA市場に出て、大型契約を勝ち取った。
サンタンデールはブルージェイズやそのファンにとって未知の存在ではない。直近ではオリオールズで44本塁打を放つ活躍を見せた。このパワーは本物であり、過去2シーズンでもそれぞれ28本、33本の本塁打を記録している。この長打力は、これまでコンタクト重視の打線を組んできたトロントにとって、まさに必要不可欠な要素だ。
12月にフアン・ソトがメッツと契約を結んだことで、ブルージェイズは市場に残る「第二層」の打者たちにターゲットを切り替えた。その中で、サンタンデールをかつてのチームメイトテオスカー・ヘルナンデスと比較するのは興味深い。ヘルナンデスもまた補強候補の一人だった。
ヘルナンデスは依然として球団内で多くの人々に愛されていたが（それも当然のことだ）、サンタンデールはよりコンタクト率が高く、両打ちのため左打者としても機能する点でトロントにとって魅力的な存在だった。サンタンデールはブルージェイズが求めるタイプの選手であり、ついに「ぴったりのピース」をはめることができたと言える。
守備面での適性はやや不透明だが、それは二次的な問題だ。30歳のサンタンダーはオリオールズ時代、主に右翼を守っていたが平均以下の守備力と評価されている。しかし、ブルージェイズにはあと2年ジョージ・スプリンガーがいる。また、サンタンデールは左翼の経験もあり、現在そのポジションにはジョーイ・ロペルフィドやデービス・シュナイダーが候補としている。さらに、DHの枠が空いているため、この点も考慮されるだろう。
ブルージェイズにとって、この契約は財政的にも理にかなっている。特に、今後2年間で多くの契約が終了する予定であることを考慮するとなおさらだ。球団は今後の競争力のある時代をどのように築くかを決める必要があるが、その基盤には若手選手の波が含まれるべきだろう。その一方で、サンタンデールのような安定したベテランをチームに加えることで、補強の方向性を明確にすることができる。
また、サンタンデールはオリオールズからクオリファイング・オファーを拒否しているため、ボルチモアは2025年のMLBドラフトの1巡目指名後に補償指名権を獲得する。一方、ブルージェイズはドラフトの2番目に高い指名権と国際契約金プールから50万ドルを失うことになる。
この契約はブルージェイズのファンにとっても大きな救いとなるはずだ。この14か月間、ファンは厳しいニュースの連続にさらされてきたからだ。
まず、大谷翔平の獲得競争で敗れ、さらに最近ではフアン・ソトやコービン・バーンズの獲得にも失敗した。そして金曜日には、若き日本人スター・佐々木朗希の争奪戦でも敗北。ブルージェイズは、その日の早い時間にガーディアンズとトレードを行い、国際契約金プールの枠を増やすためにマイルズ・ストローの契約を引き受けたにもかかわらず、最終的に佐々木の獲得には至らなかった。これは、厳しい1年の終わりに、さらに厳しい1か月の終わりを迎えるという最悪の展開だった。
サンタンダデールの獲得により、ブルージェイズは待望の前進を遂げた。 彼は安定した実績と確かな評価を持つ選手であり、チームの土台を固める役割を果たすだけでなく、攻撃力の向上にも大きく貢献するだろう。
また、この契約がブルージェイズにとって今オフ最大の補強として終わるべきではないことも明らかだ。特にゲレーロJr.とボー・ビシェットがトロントで過ごす最後の年になる可能性があることを考えると、球団は積極的に動くべきタイミングにある。サンタンデールの獲得は、その方向性をより明確にする一手となった。
ブルージェイズにはまだ、さらなる攻撃力の強化、高水準のリリーフ投手、MLBレベルの先発投手が必要だ。これまでのフリーエージェント市場での動きを見ても、球団が積極的に資金を投じる準備があることは明白であり、さらなる補強の可能性も十分に残されている。
しかし現時点では、ブルージェイズとそのファンは、この補強を「勝利」として記録できる。
キーガン・マセソン：MLB.comブルージェイズ担当
引用元：mlb.com
