ドジャースはここ10年以上、ナショナルリーグ西地区をほぼ独占しており、2013年以降で実に11回も地区優勝を果たしてきました。
ア・リーグ中地区ではガーディアンズ(旧インディアンス)とツインズが、ナ・リーグ東地区ではフィリーズとブレーブスが、ナ・リーグ中地区ではブリュワーズとカージナルスがそれぞれ長年支配してきました。しかし、今季はその勢力図が大きく変わる可能性があります。
タイガースは2014年以来地区優勝から遠ざかっており、メッツも2015年以降は失敗続き。パドレスに至っては、NL西地区制覇から約20年も経過しています。カブスもフルシーズンで最後にNL中地区を制したのは2017年まで遡ります。
ところが今季、これらのチームはいずれも好位置につけています。パドレスこそ首位からわずか0.5ゲーム差ですが、他は首位に立っており、今週は「自分たちがリーグのエリートにふさわしい存在だ」と証明する絶好のチャンスとなるシリーズが組まれています。
さらに、2024年のプレーオフ進出チーム同士によるア・リーグ東地区の注目対決も控えています。
ヤンキース vs オリオールズ
(現地月曜〜水曜の3連戦)
■ 対戦成績
2024年のポストシーズン進出チーム同士が、2025年シーズン初対戦。昨年はボルチモアが13試合中8勝(カムデンヤーズでは4勝3敗)を挙げ、2年連続でシーズン対戦成績を制しました。それ以前の6年間はヤンキースが勝ち越していました。
■ ストーリーライン
オリオールズは、混戦模様のアメリカン・リーグに再び食い込むことを目指しています。ただし現状は厳しく、チーム打率はメジャー27位、得点数は19位。一方、本塁打数は33本で9位タイと長打力は維持しています。しかし、防御率はメジャー最下位の5.37(ヤンキースの3.70より1.5点以上悪化)、得失点差もア・リーグワーストのマイナス39と、投手陣が大きな課題となっています。
■ 注目選手
アーロン・ジャッジ
身長6フィート7インチ(約201cm)、体重約280ポンド(約127kg)と、フィールドで見逃すことはできない存在ですが、今季はその規格外のスラッガーぶりにさらに磨きがかかっています。打率.406はさすがに維持できないにしても、30代に入って以降、コンタクト能力も向上。20代の頃(通算打率.276)に比べ、2022年以降は打率.311を記録しており、圧倒的な長打力に加え、打撃技術も進化しています。
タイガース vs アストロズ
(現地月曜〜水曜の3連戦)
■ 対戦成績
2025年シーズン最初の直接対決。昨年(2024年)は6試合中ヒューストンが4勝を挙げましたが、総得点はアストロズ29、タイガース27と接戦でした。両チームが初めて対戦した1998年以降の通算成績は、ヒューストン50勝、デトロイト38勝(得失点差+4)です。
■ ストーリーライン
昨年のポストシーズン進出組ながら、両チームの勢いには大きな違いが見られます。2024年のワイルドカードシリーズでヒューストンを2勝0敗でスイープしたタイガースは、今季もア・リーグ最高の18勝10敗と好調。一方、アストロズは依然プレーオフ争いには加わっているものの、ア・リーグ西地区ではレンジャーズとマリナーズの後塵を拝しています。
■ 注目ポイント
ヒューストンが得意とする投手力を、今年はデトロイトが上回っています。アストロズのチーム防御率3.18はメジャー4位ですが、タイガースは2.80で2位。今シリーズ、タイガースはジャック・フラハティ、リース・オルソン、ジャクソン・ジョーブを先発予定。この3人は今季合計83回1/3で88奪三振を記録しており、注目の先発陣です。
ダイヤモンドバックス vs メッツ
(現地火曜〜木曜の3連戦)
■ 対戦成績
この2チームの今季全6試合の直接対決は、今後9日間で全て行われます。まずはシティ・フィールドでの3連戦から。昨シーズンは、ニューヨークでは2勝2敗で分け合い、その後アリゾナでメッツが2勝1敗と勝ち越しました。
■ ストーリーライン
アリゾナは、ナ・リーグ東地区の強豪チームとの厳しいロードトリップに挑みます。このメッツ戦の後はフィリーズとの対戦が控えています。ただ、ダイヤモンドバックスはすでに今季、各地区首位チームとの対戦を10試合もこなしており、タフな相手には慣れています。このシリーズは「何かが起きる」対決になりそうです。メッツはチーム防御率でMLBトップを誇り、一方アリゾナは得点数でメジャー2位にランクインしています。
■ 注目ポイント
好調エウヘニオ・スアレスが、最高峰の投手陣相手に勢いを維持できるか。土曜日に1試合4本塁打を放ったスアレスは、2025年シーズン最速で二桁本塁打(10本)に到達しました。今回のシリーズでは、メッツの好投手たちと対戦予定。なお、ダイヤモンドバックスは1.09 ERAのタイラー・メギルとの対戦を回避しましたが、デビッド・ピーターソン、千賀滉大、クレイ・ホルムズと、合計86回2/3でわずか3本塁打しか許していない精鋭たちに挑みます。
ジャイアンツ vs パドレス
(現地火曜〜水曜の2連戦)
■ 対戦成績
2025年初対戦となる地区ライバル対決です。昨シーズンは非常に拮抗したシリーズとなり、最初の12試合を6勝6敗で分け合いました。その後、サンディエゴがオラクル・パークでの3連戦を延長戦勝利で締めくくり、シリーズを制しました。
■ ストーリーライン
今季もドジャースの独走を予想する声が多かったナ・リーグ西地区ですが、開幕から1か月経った現在、パドレスとジャイアンツも首位争いに加わっています。現在、19勝10敗のジャイアンツが地区首位に立っており、ドジャースに0.5ゲーム差、パドレスに1.5ゲーム差をつけています。ナ・リーグ全体でも、サンフランシスコより多くの勝利数を挙げているのはメッツだけ。また、得点数でもナ・リーグで上位3チームに入っています(同地区のダイヤモンドバックスも得点力で上位に位置)。
■ 注目ポイント
2連戦という短期シリーズでは、必ずしも好カードの投手戦が実現するとは限りません。しかしこのシリーズでは、サンフランシスコのエース、ローガン・ウェブと、今季からパドレスに加入したニック・ピベッタという、どちらも防御率2.00未満を誇る投手同士が火曜日に激突予定。ペトコ・パークでの白熱必至の一戦に注目です。
カブス vs ブリュワーズ
(現地金曜〜日曜の3連戦)
■ 対戦成績
2025年シーズン初対戦となる両チーム。昨季はミルウォーキーが13試合中8勝を挙げ、シリーズを制しました。ブルワーズはカブス相手に直近3年連続でシーズン対戦成績を勝ち越しており、その間の通算成績は24勝21敗です。
■ ストーリーライン
ナ・リーグ中地区をめぐる争いは、シカゴが王座奪還を目指す展開に。ミルウォーキーは過去4年間で3度地区優勝を果たしており、ここ2年連続で地区制覇中。カブスは、2017年(ワールドシリーズ優勝の翌年)以来、162試合制シーズンでの地区優勝がありません。現在、カブスは17勝11敗で、ブリュワーズ(13勝14敗)に4ゲーム差をつけています。
■ 注目ポイント
意外なリーグリーダーたちに注目。
・ブリュワーズの二塁手ブライス・トゥランは、ナ・リーグ最多の36安打&26得点をマーク中。
・カブスのピート・クロウ=アームストロングは、ナ・リーグ最多の12盗塁を記録(オニール・クルーズと並び、エリー・デラクルーズに1個差でリード)。
クロウ=アームストロングは、ルーキーながらもエリートスプリンターたちと肩を並べる走塁力を見せています。
引用元:mlb.com