テンピ(アリゾナ州)――中堅手から右翼手へのコンバートから約1か月が経過し、エンゼルスのスーパースター、マイク・トラウトはすでに体の感覚に違いを感じており、新ポジションでのプレーを楽しんでいるという。
ア・リーグMVPを3度受賞し、11度のオールスター選出経験を誇るトラウトは、2019年以来となるシーズンを通した健康なプレーを目指しており、右翼への移動が今後の肉体的負担を軽減すると確信している。MLB14年目のベテランは、右翼では走る距離が少なくて済むことを実感しており、コーチのボー・ポーター氏、エリック・ヤング・シニア氏、元右翼手のトリー・ハンター氏やティム・サーモン氏とともに、ポジションについて多くを学んでいる。
「実際、とても楽しんでるよ」とトラウト。「投手交代のときに中堅に行くと、『うわ、思ってたより広いな』って感じる。あそこには本当に広いスペースがある。でも、やっぱりたくさんの守備機会をこなして、角度やポジショニングに慣れてきたし、コーチたちと取り組んできたおかげで、すごく順調だと感じているよ」
春季キャンプ序盤には浅いフライボールの対応でいくつか課題も見られたが、トラウトはすでに右翼でいくつもの好守を披露している。3月14日のロイヤルズ戦では背走しながらのランニングキャッチを見せ、さらに水曜日の試合ではガーディアンズの一塁手カイル・マンザードを本塁で刺すスローイングも決めた。トラウトはグラブを上げてあたかも捕球するかのようにフェイクを入れ、マンザードを油断させた。マンザードはそのフェイクに引っかかったが、それでも本塁突入を試み、アウトになった。
「彼はすべての能力を持ってるよ、本当に」と、今季中堅へコンバートされたジョー・アデル(ミッキー・モニアックも中堅へ移動)が語った。「本当に頭のいいプレーだった。相手に『捕るんだ』と思わせて、実際には届かなかったけど、そこから素早く本塁に送球してアウト。あれこそ“ヴィンテージ・マイク”だよ。」
GMペリー・ミナシアンの特別補佐を務めるトリー・ハンターは、トラウトとともに右翼の守備練習を1週間行い、メジャー昇格時から親交を深めてきた彼とは今も頻繁に連絡を取り合っているという。ハンター自身も現役晩年に中堅から右翼へ転向した経験を持ち、「中堅は体への負担が大きい」と語る。
そして、ハンターも野球界の誰もが願っているように、「トラウトの健康」を心から願っている。
「みんな、彼がフィールドに立ち続けてくれることを願い、祈っている。なぜなら、彼の持つ運動能力、天賦の才は世界中が目にすべきものだからだ」とハンター。「エンゼルスファンだけじゃなく、誰もがマイク・トラウトがプレーする姿を見たがっているし、彼の健康を応援している。こんな選手はそうそう現れないからね。右翼を守ることでフィールドに立ち続ける可能性が広がることに、僕はワクワクしているよ。」
33歳となったマイク・トラウトは、この春の打撃でも好調を維持しており、13試合で打率.250、出塁率.462、長打率.500、2本塁打、1二塁打、4打点という成績を残している。これは、キャリア通算のスラッシュライン(打率.299/出塁率.410/長打率.581)に近い数字であり、本人も「近年よりもボールがよく見えている」と手応えを語った。また、打撃フォームにもいくつか修正を加えたという。
過去のMVP級のシーズンと近年の自分のスイングを比較したビデオを見て、スイング時にバットを「巻き込んでいた」ことに気づいたと説明。これは、スイングに入る際にバットのヘッド(バレル)が頭の後ろに残り過ぎていた状態を意味し、現在はその動きを修正済みだ。
「今はいい感触を得ているよ」とトラウト。「数打席ほどしっくり来なかったこともあったけど、ここ数日は本当に良い感じだね。」
トラウトは今季、指名打者(DH)としての出場機会も増える見込みで、その役割に慣れるため、アルバート・プホルスがキャンプを訪れ、ルーティン作りのアドバイスを提供した。トラウトはこれまで「守備に就く方が好きだ」と公言してきたが、今後はDHの役割にも適応する必要がある。
プホルスは「DHの時は、ケージにこもってただひたすら打つのではなく、体をほぐしておく工夫が必要だよ。それをやりすぎると逆に疲れてしまうからね。これはデービッド・オルティスから学んだことだ」と語った。
トラウトは健康を維持することに加えて、若手とベテランが融合した今のエンゼルスで「サプライズを起こすこと」が目標だとし、次のように意気込んでいる。
「やっぱり目指すのはプレーオフ進出だよ。それが僕たちの望むところ。山あり谷ありだろうけど、一丸となって戦っていく必要がある。チームとしての絆を深めていけば、何が起きてもおかしくないからね。」
レッド・ボリンジャー:MLB.comエンゼルス担当
引用元:mlb.com